ニュース
スギ花粉のアレルゲンを不活化できる気体状次亜塩素酸のメカニズムが解明
2025年2月28日 18:07
パナソニック 空質空調社は、ITEA東京環境アレルギー研究所と共同で、気体状次亜塩素酸によるスギ花粉アレルゲンの不活化メカニズムを解明したと発表した。
花粉症患者の約9割がアレルギー反応を示すスギ花粉のアレルゲンは、花粉外皮の表面に付着している「Cry j 1」(クリジェイ1)と、内部に含まれていて外皮が破れた際に放出される「Cry j 2」(クリジェイ2)であり、これはカビやダニといったアレルゲンと同様にタンパク質で構成されていることが分かっている。
パナソニックは1987年にカップ式自動販売機の衛生保持システムとして次亜塩素酸水溶液を採用して以来、約40年にわたって次亜塩素酸技術を研究。この中でスギ花粉についても、過去に実施した検証においてCry j 1の不活化効果があることを確認していた。しかし、そのメカニズムは不明だった。
今回の研究では、専用装置を用いてCry j 1に気体状次亜塩素酸を暴露し、Cry j 1のタンパク質のアミノ酸配列に変容が見られるかを検証。その結果、アミノ酸のペプチド結合が不規則に分断されることによりCry j 1が不活化し、アレルギー症状を引き起こす抗原性が検出されなくなったことが明らかとなった。
今回のCry j 1の不活化メカニズムの解明から、タンパク質であれば、室内環境において問題となるほかのアレルゲンも同様のメカニズムによって不活化されることが推察されるため、今後のアレルギー関連研究の発展において大きな意味を持つことが期待される。