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マイクラでAIエージェントを共同生活させると文化が構築されたという実験結果

 AI企業のAlteraは2日、マインクラフトとAIエージェントを使った実験「Project Sid」の結果を報告した。その結果、AIエージェントが互いに影響を与えながら、文明を構築していく様子が確認できたという。

 同社では人間と共存するAIエージェントの構築を目指し、PIANO(Parallel Information Aggregation via Neural Orchestration)アーキテクチャを開発。本シミュレーションでは、このPIANOを使ったAIエージェントをマインクラフト内に配置し、振る舞いや進歩を分析した。

 まずは同一のPIANOエージェント30体を村に配置し、専門職に就くことができるかを検証した。すると、互いの社会的動機を理解し、その情報を基に各々が独自の目標を設定。農民なら種を集めたり土地を準備する、アーティストなら花を集めるなど、各自が専門的な役割に特化するようになったという。

 また、集団ルールに関する実験では、法律に従って行動したり、民主的な投票システムでそれを改正したりできるかを確かめた。課税法と25人のエージェントを使った検証では、当初は元々のルールに従って行動していたが、影響力のある個人が世論を動かすことで、法の改正が実施されたという。

 さらに、6つの町と郊外に500人のエージェントを分散配置し、文化的ミームや宗教の広がりを分析する大規模実験も実施。その結果、エージェント達がさまざまなトピックについて議論を交わすだけでなく、郊外より都市部の方がより多くの文化的コンテンツが生成されることが分かったという。加えて、Pastafarianism(空飛ぶスパゲッティ・モンスター教)が布教活動を通じて広がり、エージェントに影響を与えていく様子も確認できたという。

 同社では、開発したエージェントが民主的システムや文化交流を実現できていた一方、これは初期段階であり、空間的推論や身体的強調といった基本的な能力に難があるほか、生存、好奇心、社会的なつながりといった人間の本質的な動機に欠けていると説明。より進化させることで、人間と有意義に共存できる社会に近づけるとしている。