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日本HP、Lunar Lake搭載の14型2in1を国内投入
2024年10月4日 19:58
日本HPは、Core Ultraシリーズ2(Lunar Lake)を搭載した個人向け14型2in1「OmniBook Ultra Flip 14 AI PC」を国内向けに発表した。すでに受注を開始しており、10月下旬より順次出荷予定。価格は24万9,700円から。
Intelの最新プロセッサとなるCore Ultraシリーズ2を採用した14型2in1。同社では、40TOPS以上のNPU性能を持つPCを「次世代AI PC」と呼んでおり、これまで5月にSnapdragon X Elite搭載の「OmniBook X 14 AI PC」、7月にRyzen AI 300シリーズ搭載の「OmniBook Ultra 14 AI PC」を投入してきた。今回のOmniBook Ultra Flip 14 AI PCはそれに続くもので、同社としては大手3社のCPUを搭載した次世代AI PCがこれで出揃ったことになる。
CPUはモデルにより、Core Ultra 5 226V(16GBメモリ)、Core Ultra 7 258V(32GB)、Core Ultra 9 288V(32GB)の3種類を選択可能。NPU単体で最大48TOPS、プロセッサ全体で最大120TOPSの高いAI性能に加え、メモリ・オン・パッケージによる省電力性も特徴としており、最大20時間のバッテリ駆動を謳う。Copilot+ PCには11月のアップデートを通じて対応予定だとしている。
独自のAIソリューションとなる「HP AI Companion」を搭載。ChatGPTのようにプロンプトを通じて対話的にAIを使えるDiscover、個人ファイルをライブラリ化して分析し、ドキュメントの要約などをできるAnalyze、PCパフォーマンスの可視化などを行なえるPerformの3つの機能を備えている。自然言語の対話でトラブルシュートをするといったことも可能だという。
それ以外にもAIを活用した機能として、ハンドジェスチャーによる操作に対応。ドキュメントのスクロールやプレゼンテーションのページ送り、音量調整などを本体に触れることなく行なえる。Webカメラ向けにもAIベースの補正機能であるPoly Camera Proを用意しており、光量やフォーカスの調整、背景ぼかしやフィルタ、自動フレーミングなどが利用できる。
ディスプレイは14型2,880×1,800ドット/タッチ対応のOLEDを装備。48~120Hzの可変リフレッシュレートもサポートしている。音響面ではPoly Studioのクアッドスピーカーを内蔵する。
セキュリティ機能としては「HP Wolf Secutiry for Consumer」を搭載。Wolf Securityは法人製品向けのソリューションだが、ユーザーの機微なデータを本体に蓄積してローカルAIを活用するAI PCにとって、セキュリティの重要度は高いため、個人製品向けに調整して導入したという。セキュリティ専用のハードウェアチップである「HP ESC(Endpoint Security Controller)」や、BIOSが改ざんされた場合に自ら回復できる「HP Sure Start」が利用できる。
なお、本機は個人向けフラグシップ製品として展開されていた「Spectre x360 14」の実質的な後継機種となる。コンバーチブルな設計とAIを組み合わせることで、新たなコンピューティング体験を届けられると説明している。
Spectre x360 14と比べると、筐体サイズがやや小さくなるとともに、重量が100g軽い約1.34kgとなった。ヒンジ側の左右の角を斜めに切り落とし、Thunderbolt 4ポートを配置するSpectreカットエッジデザインは踏襲。カラーは新色となるイクリプスグレーを採用している。
そのほか、休憩を促したり画面との接近を警告したりするウェルネス機能も搭載。再生アルミニウムやプラスチック、100%リサイクル可能な梱包材の採用など、環境への配慮も行なっている。
ラインナップは3種類。主な仕様はスタンダードモデルの場合、Core Ultra 5 226V(16GBメモリ)、1TB M.2 NVMe SSD(PCIe 4.0対応)、14型2,880×1,800ドット/タッチ対応OLED、Windows 11 Homeなどを搭載。価格は24万9,700円。
パフォーマンスモデルの場合、Core Ultra 7 258V(32GBメモリ)、1TB M.2 NVMe SSD(PCIe 4.0対応)、14型2,880×1,800ドット/タッチ対応OLED、Windows 11 Homeなどを搭載。MPP 2.0対応のアクティブペンも付属する。価格は29万9,200円。
スプリームモデルの場合、Core Ultra 9 288V(32GBメモリ)、2TB M.2 NVMe SSD(PCIe 4.0対応)、14型2,880×1,800ドット/タッチ対応OLED、Windows 11 Homeなどを搭載。MPP 2.0対応のアクティブペンも付属する。価格は34万9,800円。本モデルのみ12月以降の販売開始を予定している。
インターフェイスは共通で、Thunderbolt 4×2、USB 3.2 Gen 2、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、900万画素Webカメラ(Windows Hello顔認証対応)、指紋認証センサー、音声入出力などを備える。
本体サイズは約313×216×14.9mm、重量は約1.34kg。バッテリ駆動時間は最大20時間。
OmniBook X 14 AI PCにSnapdragon X Plus搭載版や32GBメモリ版が登場
あわせて、販売中のSnapdragon搭載14型ノート「OmniBook X 14 AI PC」に、新たにSnapdragon X Plus採用した「スターターモデル」と、プロセッサはそのままにメモリを32GBに増量した「アドバンスプラスモデル」を追加した。価格はそれぞれ19万8,000円、26万9,500円。なお、既存の構成は「アドバンスモデル」となっている。
スターターモデルは、Qualcommが9月に発表した8コア版「Snapdragon X Plus X1P-42-100」を採用するとともに、ストレージを1TBから512GBへと変更することで価格を抑えたモデル。さらに、バッテリ駆動時間が最大26時間から最大24時間へとやや短くなり、本体カラーもセラミックホワイトからグレイシャーシルバーに変わっている。すでに受注を開始しており、10月下旬以降の出荷を予定している。
一方のアドバンスプラスモデルは、アドバンスモデルからメモリ容量を32GBへと倍増した上位モデルとなる。こちらは10月下旬以降の発売を予定している。
共通の仕様として、14型2,240×1,400ドット/タッチ対応IPS液晶、Windows 11 Homeを搭載。インターフェイスはUSB4、USB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 2、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、500万画素Webカメラ(Windows Hello顔認証対応)、音声入出力などを備える。
本体サイズは約312×223×14.3~14.4mm、重量は約1.34kg。
ナレッジワーカーのAI利用は飛躍的に増加
4日に開催された説明会では、日本HP 執行役員 パーソナルシステムズ事業本部 本部長の松浦徹氏、同社パーソナルシステムズ事業本部 コンシューマービジネス本部 製品部 プロダクトスペシャリストの吉川直希氏が登壇し、新製品に関する説明のほか、AIの利活用に関する調査結果の紹介も行なった。
HPがグローバルで実施している「Work Relationship Index」の調査結果によれば、ナレッジワーカーの仕事でのAI利用はこの1年で飛躍的に増加。調査した12カ国平均で前年度比+28ポイントの66%に達したという。なお、日本は12カ国中最低の36%となっているが、それでも前年度から+11ポイント伸びている。年代別でみると、年齢が低くなるほど利用率は高まっており、Z世代やミレニアル世代がAI利用をけん引しているという。
また、実際にAIを利用したナレッジワーカーは、12カ国平均で73%が「AIが仕事を楽にしてくれる」と回答するなど、AIがもたらす利益を感じ取っていると分析。使い方についても翻訳や検索だけでなく、データ分析や戦略プランニングなどより高度に活用する人も2~3割程度いたという。
そういった状況の中、次世代AI PCに求められるものは、パーソナライズされた体験、セキュリティとプライバシー保護、スピード、コスト削減の4つだと説明。同社では次世代AI PCを提供することで、ユーザーがAIを活用して生産性を高め、より重要なことやクリエイティブなことに時間を使えるようにしていきたいと語った。