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Slackの全てに目を通さないでも要約が分かる「Slack AI」提供開始

Salesforceが提供開始するSlack AI。まずは米語/英語のエンタープライズ向けからで、それ以外のプランや言語はまもなく提供開始予定

 Salesforceは、Slackに生成AIの機能を付与する「Slack AI」の一般提供開始を開始した。Slack AIは、2023年にSalesforceが構想を明らかにしていた生成AIの機能で、チャンネルの要約、スレッドの要約、検索など、AIを活用した機能がSlackに追加される。

 Slack AIは、本日よりエンタープライズ向けプランの有料アドオンとして一般提供が開始され、まずは米語(米国英語)と英語(英国英語)でのみで提供され、追加のプランや言語向けはまもなく提供される予定。日本語対応を含む日本での提供開始は4月予定とSalesforceは説明している。

チャンネル、スレッドの要約や会話型検索をもたらすSlack AI

 ERM(顧客管理ソリューション)などのクラウドサービスを企業に提供しているSalesforceは、2020年にコミュニケーションツールを提供するSlackを買収。現在SlackはSalesforceの一部門としてサービスを提供している。

 2023年にSalesforceは、そうしたSlackの生成AI系の機能として「Slack AI」の構想を明らかにしていた。今回、そのSlack AIが正式にロールアウトし、一般提供(GA、General Availability)が開始されたことになる。

 Slack AIには大きく、チャンネルの要約、スレッドの要約、検索の3つの機能がある。

(1)チャンネルの要約

チャンネルの要約。要約する日付を指定できる
要約されたチャンネル

 Slackのチャンネルには、さまざまなユーザーが参加して、スレッドになっているコメントも含めて多くの会話がなされている。そうしたチャンネル内でやりとりされている話題について、複数のトピックにまたがっている場合も含めて、重要なハイライトを生成してくれる機能になる。

 それにより、たとえば複数のチャンネルを見る必要がある上司が、すべてのチャンネルに目を通さなくても、チャンネルで話題になっていることなどを短時間に確認できる。ユーザーが要約をする範囲(日付)を指定して要約を行なうことも可能だ。

(2)スレッドの要約

スレッドの要約を行なうには、右上の星マークをクリックする
要約中の画面
要約

 Slackのチャンネルでチームがコミュニケーションを取っていると、話がスレッドに分岐していくことはよくある。スレッドがいくつもできているチャンネルでは、そうしたスレッドを全て読むことが一仕事になっていることは少なくない。左側のペインに「スレッド」という項目が用意されているぐらい、スレッドを消費するのに骨が折れるのはSlackユーザーにはおなじみだろう。

 Slack AIにより提供されるスレッドの要約では、ワンクリックでそうしたスレッドの会話を要約してくれるため、スレッドで何が話されているかを短時間で把握して、最新の状況に追い付くことが可能になる。

(3)検索

Slack AIによる自然言語による検索

 対話型AIの機能がSlackに実装されるような機能。ユーザーが会話形式で質問を投稿すると、Slack AIが関連する会話データを読み込み、解析して、それにもとづいた明確で簡潔な回答を表示してくれる。

 こうしたSlack AIの新機能についてSalesforce Slack CEOのデニス・ドレッサー氏は「過去10年にわたってSlackは、人やアプリ、システムを1カ所に集めて働き方に革命をもたらしてきた。そうしたSlackにSlack AIを導入することで、この変革を次のレベルに引き上げられることをうれしく思っている。

 これらの新AI機能により、顧客はSlack内の集合的な知識にアクセスできるようになり、よりスマートに作業し、より迅速に行動し、真のイノベーションと成長のきっかけとなることに時間を費やせる。生成AIの時代において、Slackはビジネスのあらゆる部分をつなぎ、チームの生産性を飛躍的に向上させる、信頼できる会話型プラットフォームになっていく」と述べ、Slack AIがSlackの利便性をさらに伸ばし、Slackユーザーの生産性を向上させると強調した。

まずは米語/英語でエンタープライズ向けに有料で提供開始。日本では4月から

サードパーティAIツールとの連携も開始。インシデント管理ツールのPageDuty Copilotと連携

 Slackによれば、こうしたSlack AIはSlackのクラウド・インフラストラクチャ上で動作しており、Salesforceがエンタープライズの顧客に提供しているセキュリティ基準およびコンプライアンス基準を満たしているという。

 また、Slack AIを実現する大規模言語モデル(LLM)はSlack内だけで直接ホストされ、顧客のデータはその顧客組織専用にだけ活用される。異なる組織のデータは互いに隔離されており、ほかの組織のために学習に使用されるといったことはないとSalesforceは説明している。

 加えて、Salesforceは今後のSlack AIのロードマップも明らかにしている。具体的には、ユーザーが情報を要約して、優先順位を付けるための補助機能や、ユーザーがさほど注目していないが、最新情報は注視したいチャンネルのハイライトをまとめたダイジェストを作成する機能が追加。そのほかにも、Salesforce CRM向けの新しい会話型AIアシスタントである「Einstein Copilot」との連係機能を実装し、CRMの顧客データを活用してSlack AIが直接質問に回答できる機能も搭載する予定。

 さらに、サードパーティが提供するSlackアプリ(Slackに機能を追加するアドオン)にも生成AIの導入が始まっており、今後サードパーティからもAI関連の機能が提供されることになる。