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Slack AIが国内でも展開へ。生成AIによる会話形式での検索やチャンネル/スレッド要約機能

Slack AIで新たに使えるようになる3つの機能

 株式会社セールスフォース・ジャパンは、コミュニケーションツール「Slack」に生成AI機能をもたらす「Slack AI」について、4月17日に日本語を含む複数言語向けに正式リリースすると発表した。料金などについてはリリース時に改めてアナウンスするとしている。

 Slack AIは、Salesforceが2月に発表したSlack用の生成AI機能。米国および英国のエンタープライズ向けプランにはすでに一般提供が始まっていたが、今回日本語を含めて対応言語が拡大されたかたちとなる。新たに、回答の検索、チャンネルの要約、スレッドの要約の3点に生成AIの技術が導入される。

 回答の検索では、従来からある検索ボックスにユーザーが会話形式で質問すると、Slack内のデータを元にAIが回答を生成してくれる。たとえばプロジェクトの詳細や会社の制度など、これまでSlack上に蓄積されたデータを使って明確で簡潔な回答を提供できる。

 チャンネルの要約とスレッドの要約では、チャンネル内の未読メッセージややりとりが続いて長くなったスレッドなどから、要点を抽出してまとめて教えてくれる。たとえばプロジェクトの最新情報、仕事から離れていた期間の状況などを、全体を見返さずとも把握できる。

回答の検索のデモ。会話形式で質問すると(上)、Slack内のデータを元にAIが回答を生成する
要約機能のデモ。右上から呼び出せる

 なお、Slackでは生成AIの導入に関してのアプローチとして、ユーザーが簡単な操作をするだけで良質な結果を生成できること、Slack内に蓄積された非構造化データを使うこと、AIモデルを自社でホストすることを重要視しているという。

 特に信頼性や安全性については、プライベートチャンネルなどそのユーザーがアクセス可能な範囲のデータしか使わない仕組みとしたほか、独自のLLMを構築してSlackのデータセンター内で運用する仕組みなどを採用し、機密性の高いデータがSlackの外に出ることがない設計とした。さらに、検索や要約で出力する結果には、どこのデータを参照したのかについても注釈のようにあわせて提示されるため、情報の信憑性をすぐに確認できるようになっている。

 先行してSlack AIを利用した顧客への調査によれば、平均するとユーザー1人あたり97分の時間を1週間で節約できたといい、生成AIの導入によって業務の生産性や速度を大きく改善できると説明している。

生成した結果の参照元データもすぐに確認できる
ユーザーの操作を受けて、プロンプトの生成からデータの取得、要約、生成までをSlack AIがSlackの領域内で実行する

Slack内で完結するAIで信頼性を確保。AIで生産性はまだまだ上がる

 国内向けSlack AIの発表にあわせて28日に開催された説明会では、同社製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 シニアディレクターの山瀬浩明氏と、Slackユーザーインターフェイス/ユーザーエクスペリエンス担当SVPのクリスティーナ・ジャンザー氏(オンライン)が登壇し、Slack自体やSlack AIの説明、SlackのWorkforce Labが実施した最新の調査結果の紹介などを行なった。

山瀬浩明氏
クリスティーナ・ジャンザー氏

 山瀬氏はSlackについて、単なるコミュニケーションだけでなく、ワークフローによる自動化にも活用できるプラットフォームだと紹介。サードパーティの開発者によりアプリも多数開発されており、そのうち2023年だけでみても、1万3,000ものアプリですでにAIが活用されていたという。

 会話やコラボレーションを1カ所に集約することで、業務の生産性向上を実現しているが、ワークフローを活用した自動化の余地はまだまだあるといい、ノーコードないしはローコードで実装できる点もメリットだと説明。Slackは活用すればするほど膨大なデータが蓄積されるが、さらに生成AIが加わることで、社内全体に蓄積された膨大なデータをより有効活用できるようになり、さらなる業務の効率化が図れると語った。

サードパーティ開発のアプリではすでにAI機能を搭載したものも多い
会話やコラボレーション、自動化に加え、AIを搭載することで業務を支援

 ジャンザー氏は、SlackのWorkforce Labが米国、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、英国の計1万281人のデスクワーカーを対象として、2024年1月に実施した調査の結果について紹介した。

 これによると、グローバルでは、職場でのAI利用が前四半期と比べて24%増加しており、AI利用者の約80%がこのテクノロジーによってすでに生産性が向上していると回答し、文章作成のサポートや要約などに役立てているという。一方日本では、AIの利用状況は前四半期から10%減少となったものの、AIや自動化に期待する人の割合は他国と比べて最も高かったという。

 また、AI利用に際して、明確にガイドラインを定めている企業のデスクワーカーは、そうでない企業の人に比べて、AIの利用経験がグローバルで6倍近く高いことが判明。さらに、デスクワーカーは自身の業務時間の平均41%を、価値が低く反復的または本業にさほど寄与しないタスクに費やしているという結果も得られた。

グローバルでは、職場でのAI利用が前四半期と比べて24%増加
一方日本では前四半期から10%減少
文章作成や要約などでAIが役立てられている
デスクワーカーは自身の業務時間の平均41%を、価値が高くないタスクに費やしているという
明確なガイドラインは業務でのAI利用率を大きく高める

 こういった結果からジャンザー氏は、AIや自動化の導入による生産性向上の機会はまだ多くあると、今後はAIを活用する上で必要になることとして、ガイドラインの明確化、AIの役割を理解して業務に取り入れるための、実験を受け入れる体制作り、同僚などと成功体験を共有する相互/チームでの学習の推進といった3つ要素を挙げた。