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富岳、スパコンランキングHPCG/Graph500で8期連続の世界一を獲得

富岳

 理化学研究所と富士通株式会社のスーパーコンピュータ「富岳」は、世界のスーパーコンピュータ演算能力ランキングのうち、「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」および「Graph500」において、8期連続の1位を維持した。

 産業向けのアプリケーションで良く用いられる共役勾配法の処理速度を競うランキングであるHPCGでは、富岳は16PFLOPSのスコアを達成。2位の米Frontierの14.05PFLOPSに約1.1倍の性能差をつけている。大規模グラフ解析に関するランキングであるGraph500では、富岳は13万8,867GTEPSとなり、6月に測定された前回の性能から1,771GTEPS向上した。

 なお、LINPACKの実行性能を指標として世界で最も高速なコンピュータをランクづけする「TOP500」では4位、AIの計算で活用される単精度や半精度演算器の性能も加味した指標である「HPL-MxP」(旧HPL-AI)では3位となった。どちらのランキングでもオークリッジ国立研究所の「Frontier」が1位を獲得している。

 TOP500では富岳は442.01PFLOPS、Frontierは1,194PFLOPS、HPL-MxPでは富岳は2.004EFLOPS、Frontierは9.95EFLOPSを記録した。

 理化学研究所は今回の結果について、富岳が世界最高水準の性能を持っており、Society 5.0における、シミュレーションによる社会的課題の解決や、AI開発および情報の流通や処理に関する技術開発を加速するためのHPCインフラの役割を、十分に発揮できることを実証したものだとした。

 理化学研究所は現在、富岳以外のスーパーコンピュータやクラウド上に、富岳と同等のソフトウェア環境を再現する「バーチャル富岳」の開発に取り組んでいる。また同研究所は、富岳で大規模言語モデル分散並列学習手法の開発やAIとシミュレーションを活用したアプリ開発などを行なうことで、日本におけるAIの研究力向上を目指している。