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国立情報学研究所ら、光1波長あたり1.2Tbpsの高速大容量光伝送を実証
2023年10月31日 18:24
大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)、日本電信電話株式会社(NTT)、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、富士通株式会社は10月30日、光1波長あたり1.2Tbpsで世界最長となる336kmのデータ転送の実証に成功したと発表した。
5Gやビッグデータ、AI、クラウドコンピューティングなどの発展にともなって通信トラヒックが急増しており、通信ネットワークのさらなる高速化や大容量化が求められている。これに対し、NIIでは大容量回線を最大限利用する高スループット転送技術、NTTおよ富士通では光1波長あたり1.2Tbpsを実現するシステムの開発を進めている。
実験では、東京都千代田区を起点として神奈川県横浜市で光ファイバを折り返すネットワークを構成。NTTの持つ最大400GbEを3本多重可能なOTUCn技術を実装したチップのほか、富士通の持つ光1波長あたり1.2Tbpsの伝送レートを実現するトランスポンダ、NTT東日本の持つ施設済み商用光ファイバなどが使用されている。
実験用テスターでフルスループットを確認したところ、光1波長あたり1.2Tbpsの伝送が可能であることが確認できた。施設済み商用光ファイバで1.2Tbpsの光信号を336km伝送できており、これは世界初だとしている。
また、1.2Tbps伝送環境で1組の汎用1ソケットサーバーを使用し、NII開発のファイル転送プロトコルMMCFTP(Massively Multi-Connection File Transfer Protocol)によるデータ転送を実施。その結果、1,034Gbpsで47TBの大容量データを約376秒にて転送できたという。25GB Blu-rayディスク1,880枚分に相当する容量で、速度としてはディスク1枚を0.2秒で転送できる計算になる。
各社では今後、MMCFTPの実用性向上や、大容量・低遅延伝送を可能にするIOWN APNの高度化、高速大容量通信サービスの実現、光伝送システムの大容量化や省電力化に向けた技術開発などに取り組むとしている。