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Appleの「M3」は何が進化した?3分で分かるスペック比較
2023年10月31日 10:43
Appleは30日(米国時間)、新型の「MacBook Pro」(14インチと16インチ)、そして「iMac 24インチ」を発表した。これら3機種に共通して搭載されるのが「M3」シリーズのプロセッサとなる。
GPUの改良
M3の最大のトピックは、CPUではなくGPUにあり、新たに「Dynamic Caching」という新技術を取り入れた。また、ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングやメッシュシェーディングといった新しいレンダリング技術も取り入れ、レンダリング速度はM1と比較して最大で2.5倍高速になった。
このうちDynamic Cachingは、リアルタイムでハードウェアのローカルメモリの使用量を割り当てられるようになるというもの。従来のGPUは、複数のタスクがある場合、メモリ使用量が最大となるタスクに対してメモリが割り当てられており、リソースを有効活用できなかった。一方Dynamic Caching技術ではタスクに必要で正確な量のメモリのみが使われるようになるという。
この技術は業界初としており、開発者に対しても公開され、今後のGPUアーキテクチャの基礎になるという。Dynamic CachingによりGPUの平均使用率が向上し、負荷の高いプロ向けアプリケーションはゲームにおける性能が大幅に向上するとしている。
加えて、レイトレーシングやメッシュシェーディングの対応により、結果的に、M3はM1と同等の性能を約半分の消費電力で実現でき、一方でピーク消費電力時は最大で65%高い性能を発揮できるとしている。
CPUコアやそのほかの進化
一方CPUコアに関しては、高性能コアの性能はM1と比較して最大30%、高効率コアは同様に50%高速化した。M1と同等のマルチスレッド性能をわずか半分の電力で実現できるほか、ピーク電力では最大35%高い性能を発揮するという。
M3は「M3」、「M3 Pro」、「M3 Max」という3つのSKUを用意。これらは個人向けPCとして初めて3nmプロセスを採用した製品となる。トランジスタ数はそれぞれ250億、370億、920億。
【12時20分訂正】記事初出時、個人向けとしては初の3nmとしておりましたが、個人向けPCとして初のため表現を改めました。
メモリは従来と同様1チップ上に集約された「ユニファイドメモリアーキテクチャ」を採用し、高帯域幅/低遅延/高い電力効率を達成。容量は最大128GBとなっており、AI開発者は数十億パラメータを使用する大規模Transformerモデルの操作が可能になるとしている。
このほか、M1のものより60%高速化されたNeural Engine、H.264/HEVC/ProRes/ProRes RAWに加え新たにAV1といった一般的なビデオコーデックに対応したメディアエンジンなどを集積している。
SKUと従来モデルの比較
正統進化のM3
M3はM2より50億個多い250億とレンジスタを集積。GPUは最大10コアで、M1より65%高速としている。CPUは高性能コアが4基、高効率コアが4基となる。
プロセッサ | M3 | M2 | M1 |
---|---|---|---|
製造プロセス | 3nm | 第2世代5nm | 5nm |
トランジスタ数 | 250億 | 200億 | 160億 |
高性能CPUコア | 4コア | 4コア | 4コア |
高効率CPUコア | 4コア | 4コア | 4コア |
GPUコア | 8または10コア | 8または10コア | 7または8コア |
最大メモリ | 24GB | 24GB | 16GB |
若干縮小したM3 Pro
M3 Proは370億トランジスタを集積。GPUは最大18コアで、M1 Proより40%高速だという。CPUコアは高性能コアが6基、高効率コアが6基で、M1 Proより最大30%高いシングルスレッド性能を実現する。CPUユニファイドメモリは36GB。
なお、CPUはM2 Proと同じく12コアだが、高性能コア2基の代わりに高効率コアが2基増えた。また、GPUは最大19コアから18コアに減ったため、トランジスタ数は減っている。
プロセッサ | M3 Pro | M2 Pro | M1 Pro |
---|---|---|---|
製造プロセス | 3nm | 第2世代5nm | 5nm |
トランジスタ数 | 370億 | 400億 | 337億 |
高性能CPUコア | 6コア | 6または8コア | 6または8コア |
高効率CPUコア | 6コア | 4コア | 2コア |
GPUコア | 18コア | 16または19コア | 14または16コア |
最大メモリ | 36GB | 32GB | 32GB |
最強のM3 Max
M3 Maxは920億トランジスタを集積。GPUは最大40コアで、M1 Maxより最大50%高速。CPUコアは高性能コアが12基、高効率コアが4基となっており、高性能寄りに振ったことでM1 Maxより最大80%高速化した。ProResエンジンも2基搭載している。また、最大メモリ搭載量も128GBとなり、従来のM2 Ultraクラスとなった。
プロセッサ | M3 Max | M2 Max | M1 Max |
---|---|---|---|
製造プロセス | 3nm | 第2世代5nm | 5nm |
トランジスタ数 | 920億 | 670億 | 570億 |
高性能CPUコア | 12コア | 8コア | 8コア |
高効率CPUコア | 4コア | 4コア | 2コア |
GPUコア | 30または40コア | 30または38コア | 24または32コア |
最大メモリ | 128GB | 96GB | 64GB |