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万博に「ガンダムパビリオン」。ガンダムと人類の未来の可能性を探る
2023年10月6日 16:33
バンダイナムコホールディングスは6日、人気アニメーション「機動戦士ガンダム」シリーズの未来を体感できる大型イベント「GUNDAM NEXT FUTURE」の開催に先立ち、横浜の「実物大 動くガンダム 起動実験」の経過報告会と、大阪・関西万博の同社パビリオンの構想発表会を開催した。
万博パビリオンの正式名称は「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」に決定。「もうひとつの宇宙世紀」を舞台に、未来社会の課題解決に向けて、ガンダムと人類が共存する次なる未来を見据える。
パビリオン外観は「未来のスペースエアポート」をイメージ。人類が宇宙に生活圏を伸ばした世界観を表現する。展示では2024年に生誕45周年を迎えるガンダムのさらなる可能性について検討した結果を発表する。
「いのち輝く未来社会」の実現に向け、SDGsの達成とその先の未来を描き出すことを基本計画とする大阪・関西万博において、今後のガンダムの可能性、未来についてガンダムと共に考え、ファンとつながり、次なる未来社会を創造することを目指すという。
横浜「動くガンダム」経過報告
2014年にプロジェクトスタート、2020年12月のオープン以来、注目を集めている横浜「動くガンダム」。2024年3月31日まで会期を延長し、横浜の山下埠頭にて稼働中だ。
会見では、運営している株式会社Evolving G 代表取締役社長の佐々木新氏が「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」の運営報告を行ない、「動くガンダム」の設計、制作に携わったテクニカルディレクターの石井氏が、これまでの起動実験の成果、今後の課題について話した。
2023年10月5日時点の集計で、これまでの営業日数は854日。来場者数はおよそ130万人。そのうち海外からの来場者はおおよそ33万人。起動回数は通常演出が7,811回、格納回数が7,731回。特別演出は全部で14種類あり、起動回数が294回、格納回数が374回。
「動くガンダム」は、2021年から「エデュケーショナルサポート」として小中学生向けにも紹介。2023年9月末の集計で、参加学校は76、児童および生徒数は5,487名、引率教員は444名。
このほかにもさまざまな取り組みを行なってきた。佐々木氏は特に印象に残ったイベントとして山岳遭難救助訓練と交通機動隊出発式、そしてガンダムとのジャンケン大会を挙げた。また大晦日の花火も印象に残ったという。
「動くガンダム」会期フィナーレまであと半年。これまでも作品の展開に合わせて演出を行なってきたが、劇場版「機動戦士ガンダム SEED FREEDOM」公開に合わせて、楽曲を使った演出を行なう予定だと発表された。演出の詳細内容は今後公開される。
「18mの動くガンダム」を大勢の人に見てもらったことが成果
「動くガンダム」テクニカルディレクターの石井啓範氏は、今回のイベントの意味について「技術的にも意味があったが、『18mのガンダム』が目の前で動くことを多くの人に体験してもらったことが一番の大きな成果だと考えている」と述べ、「CGではないリアルな存在を生で見てもらいたい」と改めて語った。
そして「今回作ってみて分かってきたこともあるので、今後のアイデアもたくさんある。究極的には自立で操作できるガンダムが目標。これは1つのステップ。目標のための経過の途中。頑張っていきたい」と語った。
大きな人型の機械を、デザインを両立させつつ動かすための工夫が改めて紹介されたあと、「動くガンダム」を見た客の生の声も動画で紹介された。残す会期は半年。佐々木氏は「ぜひ現場に足を運んでもらって間近で体験してほしい」と語った。
2025年 大阪・関西万博「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」
続いて、バンダイナムコグループ チーフガンダムオフィサーの藤原孝史氏が、今後の「動くガンダム」の展望と、「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)に出展予定の「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」について発表した。動くガンダムは会期終了後、ドックに格納され、ガンダムのさらなる可能性を探る。
バンダイナムコでは現在、さまざまなガンダムの可能性を検討中で、2025年4月に予定しているパビリオンでその結果をお披露目する。人類との共生に向けた活躍もあり得ると考え、未来社会の課題解決を目指す。「今後のガンダムの可能性と人類の未来について考えることをコンセプトとする。未来社会についてガンダムの可能性についてお披露目していきたい」と語った。
そして「ガンダムとともに次なる未来を考えていきたい。我々に与えてくれる力をイメージした」と述べて、パビリオンのデザインとキービジュアルも紹介された。「ガンダムと共に見つめる未来をイメージした」という。
イベントには、大阪府知事で、2025年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会会長の吉村洋文氏も、公式キャラクターのミャクミャクと特別ゲストとして登壇。万博会場のイメージVTRを紹介した。
「空飛ぶ車」などさまざまな技術、未来社会の実験場ともなると述べ、新しいものを発信しチャレンジする場所としたいと語った。万博には大阪パビリオンも出展される。大阪パビリオンは「Nest for Reborn(再生のための巣)」を掲げ、ヘルスケアをテーマにした展示を予定している。
ガンダムパビリオンと大阪パビリオンは7月に連携協定を締結している。連携の象徴としたカラーリングのガンダムも紹介された。
吉村氏は「自分はガンダム世代。ガンダムと一緒にできることはうれしい。ガンダムパビリオンで未来の夢を見て、外に出たら空飛ぶ車が飛んでいる。未来社会を作っていけたら。力を合わせてインスピレーションを刺激したい。五感に触れるような万博で次の子どもたちが科学者や技術者になってくれれば」と述べた。
バンダイナムコ藤原氏は、連携協定を受けて進めている小学校を対象とした「ガンプラアカデミア」への取り組みを紹介。「日本の技術を身近に感じてもらいたい。今後の未来社会への関心を持ってもらいたい」と語った。
吉村氏は「ガンダムを万博で見たい。楽しみにしている。人類との共生という新しい価値観を考える中で新しい取り組みを行ない、連携して、素晴らしい万博、日本の未来を実現できる万博になればいい」と述べた。
藤原氏は「我々の目もそこにある。残りの時間を使って準備していきたい。今回の発表でみなさんいろいろと想像すると思うが、想像を超えるパビリオンをしっかり考えていって、進捗を今後も発表していきたい」と述べた。会期まではあと555日、1年半だ。
メタバースやサステナブルをテーマにした「GUNDAM NEXT FUTURE EAST」も開催
ガンダムシリーズの未来を体感できる大型イベント「GUNDAM NEXT FUTURE EAST」(東京会場)の内覧会も実施された。会場内には今年TV放送10周年となる「ガンダムビルドシリーズ」や、劇場版「機動戦士ガンダム SEED FREEDOM」の作品情報、新商品も多数展示された。また、「ガンダムメタバース」の世界観を体験できるブースも出展された。
「GUNDAM NEXT FUTURE」は東京(10月6日~9日)、大阪(10月14日~16日)、DIGITAL 会場(10月6日~17日)で開催される。入場無料。2つのリアル会場と連動し、「ガンダムメタバース」に特設される「DIGITAL 会場」では、ガンダム作品にゆかりのある各アーティストがメタバースライブを披露するほか、全6種の限定商品の物販も行なわれ、イベント限定ガンプラ商品が購入できる。
東京会場では、ガンダムメタバースの中に没入したかのような新感覚を体験できる直径約10m、270度の円形LEDシアターを設置する。シアター内では、他では見られない臨場感のある特別映像を上映。映像と連動した床振動システムにより、リアルな演出を楽しめる。
また、期間中毎日、スペシャルステージを開催する。ステージの模様は、ガンダムメタバース内のDIGITAL会場でアーカイブ配信を行なうほか、ガンダム公式 YouTube チャンネル「ガンダムチャンネル」でもライブ配信とアーカイブ配信を実施する。東京・大阪会場では「ガンプラくんスペシャルエコバッグセット(非売品)」もプレゼントされる。
「ROAD TO GUNPLA BATTLEプロジェクト」第3回テスト稼働イベント「ガンプラバトルVR」も実施する。ガンプラを武器を含めてスキャンし、デジタルデータ化。VR技術を使って、デジタル空間内でガンプラに搭乗してバトル体験ができる。事前抽選制で、すでに抽選は終わっている。