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MIT、低消費電力で長距離の水中通信を実現する技術

 マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology、MIT)は6日(米国時間)、低消費電力で長距離の水中通信ができる通信システムを実証したと発表した。

 受信機に向かって反射または散乱する音波にデータをエンコードすることで水中通信を可能にするもので、既存の水中通信方式と比べて消費電力を約100万分の1に抑えつつ、通信距離を15倍以上に引き上げられるという。バッテリ不要の水中通信実現につながり、水産養殖や沿岸でのハリケーン予測、気候変動モデリングなどの用途で活用できるとしている。

 システムに用いる水中後方散乱通信デバイスには、圧電材料で作られたノードアレイを利用しており、音波を受信および反射する。発信源から音波が届くとノードが振動して電荷に変換され、その電荷を使ってデータを音波に載せ、発信源に向けて送る。

 後方散乱信号は通常全方向に伝わるため通信距離が限られるが、研究グループではバンアッタアレイやクロス極性スイッチングと呼ばれる技術を採用することで、実証実験で300mの距離での通信を達成したという。

 あわせて、理論的および実用的な通信限界を調べるため解析モデルを構築。実験データを評価したところ、数kmの通信距離を達成できることが分かったという。