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「生成系AIの研究をやみくもに停止すべきではない」電子情報通信学会が声明

 一般社団法人電子情報通信学会は6日、生成系AIに関する会長声明を公開した。生成系AIの健全な発展を願い、電子情報通信技術者の研究スタンスを述べるものとしている。

 同会長・川添雄彦氏の名前で発表された声明では、生成系AIを「人間の入力する問いなどに応じて高度に複雑なテキストおよび画像・イメージ、音声など多様なデータを自律的に出力するように見えるアプリケーション一般を指すもの」と定義し、その発展が将来的に正と負の影響をもたらす可能性があると指摘されている現状について言及した。

 同会の立場からは「積極的に技術的側面から貢献する決意を有する」としつつ、最終的には社会的/政策的議論の結論に従うべきであるとし、そのうえで以下4点の見解を表明している。

  1. 生成系AIの研究・イノベーションをやみくもに停止することは望ましくない
  2. 生成系AIの研究・イノベーションにおける学習データの準備・調達にあたっては、法的・倫理的な問題が含まれないか慎重に確認する必要がある
  3. 学習済モデルの社会への適用、および生成系AIの出力の活用にあたっては、社会的・政策的議論に委ねる
  4. 生成系AIの出力結果が社会のコンセンサスに反する内容になるなど、生成系AIの研究・イノベーションが引き起こす倫理的・法的・社会的問題について、本会の技術的専門性を活かし、解決に協力することは重要な取り組みと考える

 生成系AIの危険性については、5月にOpenAIのSam Altman、Greg Brockman、Ilya SutskeverらがAIの発展に伴い発生するリスクを管理する観点から、いま採るべき方向性についての意見を表明している。

 また、AIによる社会規模のリスクを軽減することを目的とする団体「Center of AI Safety」も、原子力をめぐる初期の議論を引き合いに出し、将来的にAIが人類の生存を脅かすほどのリスクをもたらす可能性について真剣に向き合うべきとの声明を出している。