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ChatGPTの標準検索エンジンがBingに。EdgeもCopilotシリーズの対応強化

ChatGPTでBingが標準検索エンジンとなる

 Microsoftは5月23日(米国時間、以下同)から、同社の開発者向けフラグシップイベント「Microsoft Build」を米国ワシントン州シアトルの会場での対面と、オンライン開催のハイブリッド形式で開催している。23日の午前から基調講演が始まっており、同社CEOのサティヤ・ナデラ氏をはじめとした幹部が登壇し、製品戦略などに関して説明を行なっている。同社はこれに先立って報道発表を行ない、Microsoft Buildでお披露目される新製品やサービスなどに関する発表を行なった。

 この中でMicrosoftは、最近話題のChatGPTの標準検索エンジンが、Microsoftの提供する検索サービス「Bing」のエンジンに今後変更され、MicrosoftとOpenAIのコラボレーションが次の段階に入ったことを明らかにした。今回のBuildではほかにも、OpenAIが提供を開始したChatGPTプラグインをMicrosoft製品でも採用すると発表しており、両社の提携は一層深まることになる。

GPT、ChatGPTプラグインに続き、ChatGPTでのBingの採用。深まる両社の協業

ChatGPTのプラグインをMicrosoft製品でサポート。これによりChatGPTユーザーも、Microsoftユーザーもより広範なプラグインを活用できるようになる

 Microsoftは今回のBuildで、OpenAIが2023年春から提供を開始しているChatGPTプラグインについて、同社の生成AI関連製品でサポートする計画を明らかにした。

 今後サードパーティがChatGPT向けに開発したプラグインは、Microsoft 365 CopilotやWindows Copilot(今回発表されたWindows 11に搭載されるAIアシスタント機能)などでそのまま利活用が可能になる。言ってみれば、ChatGPT経済圏が、そのままMicrosoftのサービスに拡張する形になる。

 両社の提携はそれだけではなく、MicrosoftではChatGPTのベースになっているLLM(大規模言語モデル)のGPTを活用して、BingチャットなどChatGPTのようなサービスを提供している。当初は限定されたユーザーにだけ開放されていたが、若干の制限はあるものの、今は一般ユーザーにも開放され、すでに誰でも使えるようになっている。

 そうしたMicrosoftとOpenAIの提携は、ChatGPTの標準検索サービスが、Microsoftの提供しているBingに変更されることで次の段階に入ることになる。現状、ChatGPTがどのような検索エンジンを利用しているかは明らかにされていないが、今後それがBingに変更され、現在のChatGPTの検索エンジンよりも高度な検索が可能になるとMicrosoftは説明している。

 このBingを利用したChatGPTの検索体験は、まずChatGPT Plusのサブスクリプションを契約しているユーザーが利用可能になり、サブスクリプションを未契約のユーザーはBingのプラグインを組み込むことで同じ検索エンジンを無料で利用することが可能になる。

EdgeはMicrosoft 365 Copilotにプラグイン対応。外観も進化

新しいMicrosoft Edgeブラウザの外観

 Microsoftは、同社がWindows OSの標準Webブラウザとして提供中の「Microsoft Edge」(以下Edge)における生成AI関連の機能拡張に関しても説明した。

 すでにMicrosoftはEdgeのサイドバーにBingチャットのアイコンを実装しており、それを押すだけですぐにBingチャットを呼び出して利用できるようにしている。また、BingチャットがChatGPTのプラグインに対応したことも明らかにされており、ChatGPTとの統合が進められていた。

 今回のBuildでは、Microsoft 365 CopilotのプラグインがEdgeに搭載されることが明らかにされた。Microsoft 365 Copilotは、Microsoft 365の生成AIサービスとして発表されたもので、これを利用するとMicrosoft 365を利用しているユーザーがクラウドストレージなどに保存しているデータに対し、AIがアクセスできるようになる。

 たとえば、「うちの部署のマーケティング戦略について教えて」とチャットボットに語りかけると、AIがクラウドストレージを調べて、マーケティング戦略に関するPowerPointの文章やTeamsの会議ログなどをチャットボットが表示してくれるといった機能を実装できる。

 こういった機能を持つプラグインがEdgeに搭載されることで、Microsoft 365のクラウドストレージやスケジュール、メールなどからビジネスに関する情報に関して、Bingチャットを通じて調べて表示するといった「秘書」的な使い方がWebブラウザ上から可能になる。

 また、Edgeの見た目も改善される。丸みを帯びた角、半透明のバックグラウンド、滑らかなアニメーションなどが徐々に採用されてきたEdgeだが、今後提供されるアップデートではアカウントのアイコンが左上に場所が変わり、プロファイルの変更などがよりしやすくなる。

Microsoft Edge for Businessを使うと、個人的な検索は通常のEdge、Microsoft 365 Webツールなどを利用して企業データにアクセスする場合はEdge for Businessと、切り分けて利用できるようになる

 さらに、ビジネス向けのMicrosoft 365などを利用している企業ユーザー向けには、「Microsoft Edge for Business」という企業向けバージョンが提供される。このMicrosoft Edge for Businessでは、Intuneの仕組みなどを利用して企業がWebブラウザの機能を制御可能になり、かつAADアカウント(いわゆる企業・学校アカウント)でログインして利用できるようになる。

 これにより、個人用のMicrosoftアカウントでインターネットを利用する場合には従来版のMicrosoft Edgeを利用し、企業・学校アカウントでアクセスするときにはMicrosoft Edge for Businessでアクセスするといったように、切り分けて利用することが可能になり、企業にとってはセキュリティ上の懸念を減らせる。

 Microsoft Edge for Businessはプレビュー版が本日より提供開始され、Intuneなどで管理されていないデバイス向けのバージョンに関しては今後数カ月のうちに提供開始される予定だ。