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龍谷大、人間の脳を模した計算システム実現につながる技術

 龍谷大学 革新的材料・プロセス研究センターの研究グループは、3次元化半導体チップをニューロモルフィックシステムに実装できる手法を開発したと発表した。

 ニューロモルフィックシステムは、大型コンピュータにおける文字の読み取りや音声聞き取り、画像認識など、人工知能全般の用途で使用されつつある。こういった大型コンピュータではLSIが欠かせないが、今回研究グループでは、このLSIと同等の機能を1チップ化する技術として、アモルファス金属酸化物半導体(AOS)薄膜を用いた独自の多層クロスバーアレイを開発した。

 実験では、この多層クロスバーアレイに、制御回路なしで自律的に学習できるニューロモルフィックシステムに実装。「T」と「L」のアルファベット文字について、3×3画素の2次元画素パターンを1次元信号パターンに変換して入力/学習させ、連想記憶機能の確認を行なった。その結果、AOS薄膜の多層クロスバーアレイの偏差が原因と思われる1つを除き、文字を正常に学習/再現可能であることが確認できたという。

 同グループでは、人間の脳の構造を模した高度で複雑な計算システムの構築や、高速かつ低消費電力で脳の機能を再現するシステムの実用化が期待できるとしている。

TとLのアルファベット文字に関する学習実験