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インテル、ゲーマー/クリエイター市場の活性化やデジタル人材育成支援に注力
2022年6月22日 16:12
インテル株式会社は、2022年上半期の振り返りと、下半期に向けた取り組みなどを説明するプレスセミナーを開催した。
セミナーでは、同社代表取締役社長の鈴木国正氏、同社執行役員常務 第二技術本部 本部長の土岐英秋氏、執行役員 新規事業推進本部長 戦略室長の大野誠氏が登壇。戦略面やサステナビリティ、製品開発、デジタル人材教育などに関する説明を行なった。
指数関数的に成長し、2030年には1兆ドルもの市場規模が見込まれる半導体市場において、高度なコンピューティング性能や半導体はさらに重要度を増していおり、日常生活でもあらゆる面でデジタル化が進むことで、その需要も長期的に持続することが予想される。
インテルでは、リーダーシップ製品の提供や、オープンでセキュアなプラットフォーム基盤の実現などといった戦略のもと、クライアント、データセンター&AI、ネットワーク&エッジ、アクセラレーテッド・コンピューティング、システム&グラフィックス、ファウンドリ、自動運転&モビリティの6つに事業体を再編成した。
2022年上半期は多数の新製品を投入。新工場などへの投資も継続的に実施
2022年上半期は、国内PC向け製品として、ゲーミングノート向けのフラグシップとなるCore i9-12900HKや、薄型モバイルノート向けの第12世代Core P/Uシリーズ、ノート向けディスクリートGPUのArc Aシリーズなどを展開。性能を高めた新アーキテクチャを採用した製品を多数投入できたとしている。
これらの製品を支えるプロセス技術については、Tick Tockモデルを通じて4年間で5ノードの開発を実現していく計画であると改めて説明。これまでは1ノードの開発に2年ないしはそれ以上の期間がかかっており、5ノードでは10年以上かかる計算だが、これを4年で成し遂げるとしている。
1つ目となるIntel 7はすでに出荷中(Alder Lakeなどに採用)で、次のIntel 4(製造開始は2022年後半)についても順調に開発が進んでいるという。その後は、Intel 3(同2023年後半)、Intel 20A(同2024年前半)、Intel 18A(同2024年後半)と続く見込み。
今後も第12世代Coreシリーズや、第4世代Xeonスケーラブルプロセッサなどの投入を予定しており、中でもArctic Sound Mについては、ネットワークのうち80%ほどをビデオ/ストリーミング関連が消費している昨今の状況に対し、ビデオ向けの高効率な処理を行なえる製品として開発。クラウドゲーミングやメディア配信、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)、AI推論などでの活用を見込んでいる。
IDM 2.0については、製造力に対する大規模な投資を実施中。米国や欧州を中心に新工場の設置や既存工場の拡張などを進めており、現在24の建設プロジェクトが進行しているという。また、インテルが世界のサプライヤーを対象に行なうEpic Supplier Programのアワード受賞企業の約4割が日系企業となるなど、サプライチェーンの強化における日本企業の重要性についても言及した。
サステナビリティについては、温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す「Net-Zero」を4月に発表。2040年までにグローバル全体の事業活動のおける排出量実質ゼロ化、製品製造における炭素量や製品使用時の排出量の削減、サプライチェーンの排出量削減の推進を掲げた。
これに向けては、カーボンフットプリントの削減、メインボードのサイズ縮小やコンポーネント分離などによる低カーボン設計、プロセッサのエネルギー効率改善、アクセラレータなどを活用した電力効率向上などを実施。さらに、大規模ラボへの設立や液浸冷却などの研究開発、業界初のオープンIPに基づく液浸冷却ソリューションとリファレンスデザインの発表などを通じたデータセンター向けの施策も行なっている。
下半期はゲーム/クリエイターに向けた取り組みをさらに強化。デジタル人材教育にも注力
2022年下半期は、国内クライアントPC市場では、第12世代Core搭載製品の拡販や、Intel Evoプラットフォームなどニューノーマル時代に向けたPCの提案と体験の提供などに取り組んでいく。
また、ゲームおよびクリエイターを中心としたハイエンド市場の強化として、Arcシリーズの外付けGPU製品も今夏投入予定。あわせて、ゲームおよびPC市場の活性化や、ゲームハード、ゲームソフト、PCの各メーカーとの連携強化やゲーマーコミュニティの形成へ向けた取り組みとして、Blue Community Projectも開始した。
クラウドおよびエンタープライズ市場では、同社がCPU性能を最大限発揮するためのノウハウを保有していたものの、実際には活用しきれていなかった部分があったという。性能を最大限引き出すことで、結果的にはTCOや消費電力の削減、セキュリティ強化にもつながることから、ユーザーに伝える、提案する活動を進めていく。
第1弾の取り組みとして、Intel Cloud Forum 2022 Springを開催。ユーザーに対してさまざまなパートナーとともに直接技術の価値を伝えていく活動で、幅広く続けていきたいとした。
また、DcX(Data Centric Transformation)における同社の高い技術力と中立的な立場を活かした取り組みとして、インテルソリューション・コネクトを展開。インテルとパートナーが共同で提供する検証済みソリューションを紹介するカタログとなっており、ユーザーとパートナーを結ぶ役割を果たす。
デジタル教育では、政府の掲げるデジタル田園都市国家構想基本方針において、230万人のデジタル推進人材の育成が目標として設定されたことを受け、同社としても技術やノウハウを活用し貢献していきたいとした。
具体的には、Intel Skills for Innovationフレームワークの拡張、学校における環境構築などを支援するSTEAM Labの拡大などを実施。実証研究校として選定した18校にはすでに導入が完了し、4月から実証実験を順次開始する予定で、年内には本格的な稼働を目指している。
あわせて、STEAM Labでの経験などを活かし、新たにインテル・デジタルラボを設置。STEAM Lab、DX/DcX Lab、Media Lab、AI Labといった同社のデジタル人材育成プログラムの総称となり、より包括的な活動として進めていく。小学生から大人まで、幅広くカバーできる育成プログラムとしてだけでなく、地域におけるさまざまなデジタル実装なども目指す。