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Intel、400Gbに対応したネットワーク処理をオフロードするIPUを投入へ

Intelが公開したIPUのロードマップ、2023~2024年にHot Spring CanyonとMount Morganを投入へ

 Intelは、5月10日~5月11日(現地時間、日本時間5月11日~5月12日)に同社のプライベートイベントとなる「Intel Vision」(インテル・ビジョン)をアメリカ合衆国テキサス州ダラスフォートワース空港近くの「Marriott Gaylord Texan & Convention Center」で開催する。

 Intelはそれに先だって報道発表を行ない、同社がIPU(Infrastructure Processing Unit)として昨年(2022年)発表し今年に出荷を開始する200Gb Ethernetの機能をもつFPGA+Xeonの「Oak Springs Canyon」、ASICの「Mount Evans」の後継として、2023年~2024年に「Hot Springs Canyon」、「Mount Morgan」の2製品を投入すると明らかにした。

 IPUは、データセンターの処理のうち、仮想化やストレージの管理などの処理をCPUからオフロードする役割を持っており、データセンターなどで一般的に使われているIntelブランドのNICの置きかえとして注目を集めている。Intelがこうした製品を矢継ぎ早に投入するのは、Mellanoxを買収したことでネットワーク関連の製品群を強化しているNVIDIAに対抗するためだ。

データセンターの仮想マシン管理などをCPUからオフロードする役割を持つIPU

IPUの持つ役割

 Intelは昨年IPU(Infrastructure Processing Unit)という構想を明らかにし、現在データセンターで大きなシェアを持つIntelのSmart NIC(演算機能を備えるネットワーク・インターフェイス・カードのこと)を置きかえる計画だと明らかにした。

 従来のNICは、純粋にネットワークの伝送をする役割だけを備えていたのに対して、Smart NICやIPUは何らかのCPUなどを搭載しており、それらがネットワークに関係するような処理をCPUからオフロードすることで、データセンター全体の処理能力を上げていく。

 現在、多くのデータセンターは、仮想化技術を利用して仮想マシンが物理サーバーの上で多数動作しており、さらにストレージもネットワーク上にあるストレージを利用したりと、ネットワークの処理が非常に増えている。それらの処理はCPUが行なっており、仮想マシンが使うCPUの処理に匹敵するような処理が、CPUにより行なわれたりしている。

 そこで、そうしたネットワーク周りの処理はオフロードし、解放されたCPUの処理能力で仮想マシン側の処理を行なおうというのがIPUのコンセプトだ。現在、データセンターを多数所有しているAmazonのAWSやMicrosoft AzureなどのCSP(Cloud Solution Provider、パブリッククラウドのサービスを顧客に提供するサービス事業者)にとっては、CPUなどのリソースを有効活用することは大きな課題となってきたからだ。

昨年発表されたIPU

 昨年IntelがIntel Architecture Day 2021で発表したIPUの最初の製品が100Gb Ethernetを備えるArrow Creek、そして今年に出荷予定とされている200Gb(100Gb×2)を備えるOak Springs CanyonとMount Evansの2つの製品だ。

 Oak Springs CanyonはFPGAとXeonプロセッサが1ボードに集約されている製品で、CPUとFPGAの両方を利用し、高度なIPUとして利用できる。Mount Evansは1チップのSoCで、200GbのEthernet、16コアのArm Neoverse N1 CPU、メモリコントローラなどを統合している。

NVIDIAのDPUに対抗する意味でも長期的なロードマップを公開したIntel

IPUのロードマップ

 そうしたIPUの長期的なロードマップとして、Intelは2023~2024年にOak Springs Canyonの後継としてHot Springs Canyonを、Mount Evansの後継としてMount Morganの2製品を投入する。いずれも400GbのMACを内蔵する見通しで、さらに高速なEthernetネットワークと組み合わせて利用することができる。

 また、2025年~2026年には、さらにその後継として800GbのMACを内蔵する製品を計画しており、FPGA+Xeon、ASICそれぞれに後継製品が予定されている(今回は、コードネームなどは明らかにされていない)。

開発キットとなるIPDK(Infrastructure Programmer Development Kitも提供される

 IntelがIPU、NVIDIAがDPU(Data Processing Units)と呼ぶこうした高機能なNIC製品は、NVIDIAがMellanoxを買収したことで競争が激化し、現在競って新製品が投入されているような状況になっており、Intelとしても長期的なロードマップを公開することで、そうした競争に備える意図があるだろう。