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ASIMOが卒業。90種類のロボが展示される「きみとロボット」展などが未来館で開催

 東京・お台場にある日本科学未来館は、2022年3月18日から8月31日まで特別展「きみとロボット」、3月31日まで「THANK YOU ASIMO! 〜未来館卒業おめでとう」を開催する。

 会期前日の17日には、イベント内覧会と「ASIMO未来館卒業セレモニー」が行なわれた。

特別展「きみとロボット」のほか「THANK YOU ASIMO! 〜未来館卒業おめでとう」も開催される

「THANK YOU ASIMO! 〜未来館卒業おめでとう」(会期:3月18日〜3月31日)

ロボット「ASIMO」が2022年3月で日本科学未来館を「卒業」する

 イベント「THANK YOU ASIMO! 〜未来館卒業おめでとう」の会期は、3月18日〜31日。ホンダが開発していたヒューマノイドロボットの「ASIMO(アシモ)」が3月末に未来館を卒業するのを記念して、ASIMO自らが未来館での20年間の活動を紹介。走る動作や片足ジャンプ、手話など各種動作を組み合わせた特別実演を行なう。ASIMO特別実演のスケジュールは、11時30分/12時30分/13時30分/14時30分/15時30分(各回約10分)。

 イベントではASIMOへの感謝のメッセージ、年表などから構成された特設ブース、ASIMOとの思い出を投稿するSNS企画、来館者がASIMOと記念撮影を行なえる機会(事前予約制で各回5組、先着順)が設けられる。

 特別実演ではASIMOが走って登場。これまでの活躍を振り返り、身体性能を紹介したりしたあと、最後に「私は未来館を卒業しますが、ロボットの研究はこれからも続いていきます。ロボットと人間が仲良く暮らせる日が早く来ることを楽しみにしています」と挨拶し、「それではバイバイ。またお会いしましょう」とバックヤードへ帰っていった。

ASIMO 最後の挨拶

 ホンダ「ASIMO」は、2000年に発表されたヒューマノイドロボット。2002年1月に未来館のインタープリター(展示解説員、現在は科学コミュニケーター)として採用され、1月13日には「入社式」が行なわれて、日本科学未来館の初代館長 毛利衛氏からは辞令が手渡された。

 2005年、2011年と新型のASIMOが発表された後は未来館のASIMOもリプレースされている。未来館では20年間で累計1万5,571回(2022年1月末時点)の実演を行ない、推計200万人以上に親しまれてきたという。

2014年には当時米国大統領を務めていたバラク・オバマ氏とも会った
多くの人を魅了したASIMOの歩行
片足バランス
ASIMO 手話を交えた歌

 3月17日に行なわれた未来館卒業セレモニーでは、翌3月18日から始まる特別実演のほか、20年間の未来館での活躍に感謝を込めて、館長の浅川智恵子氏から感謝状、ASIMOの後輩の科学コミュニケーターから花束が贈呈された。

 セレモニーでASIMOは「この3月で私は科学コミュニケーターのお仕事を卒業します。未来館で働いてから、たくさんの人に出会い、色々なことを経験しました。赤ちゃんからお年寄りまで多くの方と触れ合えたのはいい思い出です。未来館の皆さん、そして私の科学コミュニケーション活動に関わってくれた、すべての皆さん。20年間、ありがとうございました。」と語った。

日本科学未来館館長の浅川智恵子氏から感謝状の贈呈
ASIMOファンだったという科学コミュニケーターから花束の贈呈
ASIMO未来館卒業セレモニー 最後の挨拶
「THANK YOU ASIMO! 〜未来館卒業おめでとう」2022年3月18日〜31日

ASIMOのデモが見られる最後のチャンス

ASIMOのデモが見られる最後のチャンスかもしれない

 特別展「きみとロボット」は約半年の長期イベントだ。一方で「ASIMO」のイベントの会期は3月末までなので、注意してほしい。

 なお、「ASIMO」の一般公開デモンストレーションは、日本科学未来館のほか、青山のホンダ本社1階にある「Hondaウエルカムプラザ青山」でも行なわれているが、こちらの「ASIMOステージショー」も3月末で終了することがアナウンスされている。

 3月4日からはホンダが開発してきたロボットのプロトタイプ展示を含む、特別版ステージショーが実施されている(未来館のデモと内容は異なる)。ASIMO自ら、二足歩行にともなう重心移動や衝撃吸収などの諸課題の克服や、手先の器用さなどの開発過程を紹介し、ホンダの理念を紹介する最後のプレゼンテーションを行なっている。

特別展「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」(会期:3月18日〜8月31日)

 特別展「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」は日本科学未来館、朝日新聞社、テレビ朝日が主催。会期は2022年3月18日〜8月31日まで。

 国内展覧会史上最大規模となる約90種、130点の多彩なロボットが集結する。ロボットとの関係性を通して、変わりゆく人間の「からだ」「こころ」「いのち」に目を向け、「人間とはなにか?」を問いかけながら、人間とロボットの未来像を思い描くイベント。

特別展「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」

 料金は、大人(19歳以上)2,100円、中人(小学生〜18歳)1,400円、小人(3歳〜小学生未満)900円。団体料金(8名以上)は順に、1,900円、1,200円、700円となる。休館日は火曜日(ただし、3月22日〜4月5日、5月3日、7月26日〜8月30日は開館)。

 内覧会ではまず、日本科学未来館 副館長 高木啓伸氏が「たくさんの貴重なロボットをお貸し頂いた。日本科学未来館は昨年(2021年)20周年を迎えた。身体拡張、コミュニケーション、アンドロイド、様々なロボットとインタラクティブな体験が可能。もう一度人間にとって『からだ』や『こころ』がどういう意味を持つのか、人間とはなにか、思いをはせる機会を提供できればうれしく思う。科学技術と向き合うきっかけとなればと願っている」と主催者挨拶を述べた。

日本科学未来館 副館長 高木啓伸氏

 総合監修者である浅田稔氏(大阪国際工科専門職大学 副学長/大阪大学特任教授・同名誉教授)は、次のように語った。

 「人間にはいろんなミステリーがある。そのミステリーにアプローチする方法の代表がロボット。日本人の場合、特に欧米よりもロボットには親和性が高い。ロボットを通じて人間とは何か知る手がかりを拾ってもらいたい。

 また、人間自身がロボットとの付き合いで行動や考え方が変わる。それは未来社会をどう作るかにつながる。人間とロボットはどのように共生していくか。ロボットが身体の一部になったとき思い通りに動くのか、そうではないのか。いろんな動きが出てくる可能性がある。

 ロボットとの共生は非常に極端な共生関係になる可能性がある。人間がロボットを操作できれば、ロボット自体が人間の能力を持っていく。人間がロボットとの共生を上手くつなげられれば人間同士の共生にもつながる。いま世界では人間同士の共生について色んな問題が起きているが、ロボットを通じて人間同士がつながれる可能性を探る展示会にしたい」。

 そして「子供たちに夢を持ってもらうことで社会がどう変わっていくか問題意識を持ってもらいたいと考えて企画した。今回、ロボットとはあらゆる人工物を指すものだと考えて展示を組んだ。次の未来社会をどう築いていくか展示を通して考えてもらいたい」と述べた。

総合監修の大阪国際工科専門職大学 副学長/大阪大学特任教授・同名誉教授 浅田稔氏

 企画展示の説明は日本科学未来館 特別展 展示ディレクターの三池望氏が行なった。「約2年半かけて企画してきた」という。

 三池望氏によれば、この展示会はロボットを中心とした様々な科学技術を通して人間とは何かと考える展示会で、「ロボット技術は発展を続けており、社会での役割や人間との関係性も変化している。ロボットと人間はどんな未来を作っていけるのか、来場者一人一人に考えてもらいたい。未来の選択肢を広げるような科学技術を紹介している。ロボットらしいロボットだけではなく、サイボーグ技術、人工知能、デジタルクローンまで、ロボットを広く捉えて紹介している」と述べた。

 展示は3つのゾーンで構成されており、それぞれ過去、現在、未来となっている。第1ゾーンではロボットという言葉が生まれる前まで遡り、開発の歩みを年表スタイルで紹介。SF作品も交えつつ、かつてエポックメイキングだったロボットも静展示で紹介される。

 第2ゾーンでは揺らいでくる人間との関係などを扱う。まず最初の「からだ」エリアでは、身体機能の拡張、装着型ロボット、遠隔操作型ロボットなど多様な人間のありようを探る。そもそも人間のからだとは何か、という問いが会場には散りばめられているという。初公開となるソニー・インタラクティブエンタテインメントの二足歩行ロボットや、人機一体の大型人型重機も展示されている。

 2つ目のエリアのテーマは「こころ」。様々なロボットとのインタラクションを通じて、自分自身のこころの変化を感じて、人間のこころとは何かと考えるエリア。豊橋科学技術大学の岡田教授による「弱いロボット」などが出展されている。

 3つ目のエリアは「いのち」がテーマ。人工臓器や医療関係のロボットが出展。オルツのデジタルクローンの展示では、デジタルクローン化された茂木健一郎氏とニーチェが対話する。

 最後の第3ゾーンは未来。様々な研究者たちへのインタビューがパネルで紹介され、ロボットと人間の未来を考える。また、最後には体験者ごとに異なる物語を体験でき、ロボットとの未来を語り合えるという。

 三池氏は「ロボットと人間の境界が曖昧になっていること、多様な選択肢が未来にはあること、未来を考えるきっかけになってほしい」と述べた。

日本科学未来館 特別展 展示ディレクター 三池望氏

公式アンバサダーは「QuizKnock」、村山輝星さんもゲストとして登場

公式アンバサダーの東大発知識集団「QuizKnock(クイズノック)」

 続けて、クイズ王の伊沢拓司氏が率いる東大発知識集団「QuizKnock(クイズノック)」が公式アンバサダーとなることが発表され、ふくらP氏、河村拓哉氏、須貝駿貴氏の3人が登場し、就任式が行なわれた。みな最先端のものが好きで、展示を楽しんだという。今後、ロボット愛と知識でイベントの広報を行なっていく。

 就任式には、aibo(アイボ)本体のいちごミルクの色と、1539年(いちごみるくの語呂合わせ)生まれの長曾我部元親にちなんで「モトチカ」と名付けられたaiboも登場し、任命証を届けた。

ソニーの「aibo」が任命証を届けた
「きみとロボット」展 公式アンバサダー任命証をQuizKnockに届けるaibo

 また、スペシャルゲストとして携帯電話のCMなどに出演している小学5年生の村山輝星(きらり)さんが登壇した。ロボットが好きで「QuizKnock」と一緒に回ったという。一押しは人機一体の「零式人機(れいしきじんき)」とのこと。村山輝星さんは「大きいのに動きが繊細でびっくりした」と語った。須貝駿貴さんは実際に操作したそうで、すぐに動かせたという。

 また、村山輝星さんはLOVOT(らぼっと)の1台に「みらいちゃん」と名前を付けたという。夢がある名前であることと、「きらり」と同じく3文字であることから「みらい」と名付けたとのことだった。

 「QuizKnock」の3人は本展示会にあわせたクイズとして、AIが人間を超越すると考えられているシンギュラリティに関するクイズを出した。会期中にも公式ホームページでクイズが出されるとのこと。

村山輝星(きらり)さん
4人は展示を多いに楽しんだとのこと

約90種、130点の多彩なロボットが展示

アイザック・アシモフの小説『われはロボット』初版本。作家の瀬名秀明氏が浅田稔氏に贈ったもの

 展示されているロボット各種は基本的には静展示だが、アイザック・アシモフの小説『われはロボット』、トヨタ自動車の最新ヒューマノイド「T-HR3(ティー-エイチアールスリー)」、体高4メートルを超える汎用人型重機「零式人機 ver.1.2」、分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」、豊橋技術科学大学岡田美智男研究室の「弱いロボット」、大阪大学石黒教授の「ジェミノイド」、ソニー「aibo」、「AI美空ひばり」など多彩。以下、写真でご紹介する。なお、すべての展示ではない。

 展示物のうち一般向けに初公開となったのは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが研究開発した最新の二足歩行ロボット「EVAL-03(イーブイエーエル-ゼロスリー)」。「ビデオゲームというバーチャルな世界でのエンタテインメントをリアルな世界で展開したら、どのような楽しさや、人との新しいインタラクションが生まれるのか……を探るべく、パートナーとしての存在感を持つ『EVAL-03』が誕生」したという。展示会では、目の前の人と同じ動きをするミラーリング機能が紹介された。

Zone 1 ロボットって、なんだ?

「Zone 1 ロボットって、なんだ?」

 会場は大きく3つのゾーンに分かれている。まず「Zone 1 ロボットって、なんだ?」はロボットの過去から現在、歴史を紹介する。またインスピレーションの源となったり研究/開発を後押しした小説やアニメ、ゲームなどのSF作品もされている。

横の壁には年表形式でロボットの歴史が紹介されている
本田技研工業「HRP-1」
本田が開発した「P3」をベースに、「人間協調・共存型ロボットシステム研究開発」の研究開発用プラットフォームとしたロボット
ソニーグループ「AIBO(アイボ)」1999年
世界初の家庭用エンターテインメントロボット
テムザック「テムザックⅣ号機」1999年
「遠くに住む家族の世話ができるようなロボット」を目標に開発された
本田技研工業「ASIMO(アシモ)」2000年発表
展示は2011年発表モデル。人間の生活空間で活動することを目指して開発された二足歩行ロボット。歩く、走る、ジャンプなどの動きや、手を使った作業もできる。また、周囲の人の動きに合わせて自ら行動する判断能力を備えている
フラワー・ロボティクス「Posy(ポージー)」2001年
「結婚式で花嫁を先導する3歳のフラワーガール」として設計された
ソニー「QRIO(キュリオ)」2002年
高度な運動性能と豊かなコミュニケーションを実現した小型二足歩行エンターテインメントロボットの試作機
産業技術総合研究所、川田工業(現:カワダロボティクス)「HRP-2 プロメテ」2003年
「人間協調・共存型ロボットシステム研究開発」の成果として開発された「働く人型ロボット(ヒューマノイド)」。スタイリングはロボットアニメのメカデザイナーとして知られる出渕裕氏が行なった
トヨタ自動車「トヨタ・パートナーロボット ハリー」2004年
「人と社会のより良い関係を築ける、人の活動をサポートするロボット」をコンセプトに開発された。愛知万博でも活躍した
ソフトバンクロボティクス「Pepper(ペッパー)」2014年
動態展示されている

 このほか、4月1日からは、世界初の人型知能ロボットで1973年に完成した、早稲田大学 加藤一郎研究室、大照完研究室、白井克彦研究室、内山明彦研究室「WABOT-1(ワボット-ワン)」が展示される。

Zone 2 きみって、なんだ? にんげんって、なんだ?

人間のからだとロボットのからだ

 「Zone 2 きみって、なんだ? にんげんって、なんだ?」は、さらに「からだ」「こころ」「いのち」の3つのサブエリアに別れている。順番にご紹介する。

Zone 2-1 からだって、なんだ?

今回初公開のソニー・インタラクティブエンタテインメント「EVAL-03」。リアル世界のアバターとして研究開発を行なっており、これまでには楽器の演奏や格闘ゲームなどをやってみているとのこと
ソニー・インタラクティブエンタテインメント「EVAL-03」
早稲田大学理工学術院高西淳夫研究室「Wathlete(ワスリート)」
人間に近いスタイルで高速に走るロボットを目指し、スポーツ科学研究者と共同で開発された人型ロボット
産業技術総合研究所「HRP-5P」
力が必要な作業をヒューマノイドに行なわせるための研究に用いられているロボット
CYBERDYNE(サイバーダイン)「装着型サイボーグHAL(下肢タイプ、腰タイプ)」
生体電位信号を読み取り意思に応じた動作を実現する
ソニーコンピュータサイエンス研究所「OTOTAKE PROJECT(オトタケ・プロジェクト)」
ロボティクスを使って人間の体のあり方を捉え直すプロジェクト。乙武洋匡氏の身体に合わせたロボット義足「PKA-SEA」の開発を中心として展開している
JST ERATO 稲見自在化身体プロジェクト(東京大学先端科学技術研究センター 身体情報学分野稲見研究室)、慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 Embodied Media Project「MetaLimbs(メタリム)」
装着した2つのロボットアームを左右の足に対応づけて動かすことで、複数の腕の動きを可能にし、身体感覚を拡張するロボット
畠山海人(ALPHYZ)、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 Embodied Media Project「Musiarm(ミュージアーム)」
義手と楽器を融合させたもの。義手自体を身体の拡張可能性や余白として捉え直し、なりたい自分になれる自由な体としてデザインした
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科「Arque(アーク)」
人間の体のバランス能力を高めることに焦点を当て、開発されたロボット。体が傾いたり重いものを持ったりしたときに、バランスを保つようにしっぽが動く
ロボットライド「スケルトニクス」
エンターテイメント用の動作拡大スーツ
メルティンMMI「FESバイク」
サイバスロンという大会で機能的電気刺激(FES)自転車レースに用いられた
テムザック「RODEM(ロデム)」
馬乗り型電動車いすで、スマートフォンによる遠隔操作が可能。介助者の手を借りずに自由に日常の動作を行なうことができる。
次世代移動支援技術開発コンソーシアム「AIスーツケース」
視覚障害者向けの移動補助ロボット。未来館館長の浅川智恵子氏が中心となって開発している
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 Embodied Media Project、帝人「Synesthesia Wear(シナスタジアウェア)」
着た人に触覚刺激を与えるウェア。VRゲームなどで活用できる
ニューロスカイ「necomimi(ネコミミ)」
装着者の感情をミミの動きで表現するウェアラブルデバイス
慶應義塾大学理工学部 牛場潤一研究室「BMIでLookAround」
ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)を使ったシステムで、ヘッドフォン型脳波計からストリートビューを操作できる(会期中に体験イベント実施を検討中)
ソニーグループ「Airpeak(エアピーク)」
ロボティクス技術を活用したドローン。安定性や操作性の高さなどから、これまで以上に自由でダイナミックな視点から撮影ができる
オリィ研究所「OriHime」(左)と「OriHime-D(オリヒメ-ディー)」(右)
色々な問題で外出や行きたいところに行けない人のための遠隔操作できる分身ロボット
トヨタ自動車「T-HR3」
独自のトルク制御と操縦システムにより、遠隔操作者の動作と連動するヒューマノイド
avatarin「newme(ニューミー)」
インターネット経由で操作できる分身ロボット(アバター)
人機一体「零式人機 ver.1.2」
操作者の思い通りに、直感的に高所重作業を行なえる汎用人型重機。力を緻密に操る能力を持ち、最大50kgのものを持てる。鉄道インフラメンテナンスへの社会実装を進めている。手前に立つのは開発者の金岡博士
遠隔操作するコックピットもあわせて出展
「人機」利用イメージのジオラマ

 このほか、メルティンMMI「MELTANT-α(メルタント・アルファ)」が4月28日〜5月8日、川崎重工業「Kaleido(カレイド)」が4月29日から展示される予定。

紹介しきれない分野のロボットについては簡単にパネルで触れられている

Zone 2-2 こころって、なんだ?

「Zone 2-2 こころって、なんだ?」

 「Zone 2-2 こころって、なんだ?」では、ペットロボットやコミュニケーションロボットなどが並べられている。体験したり、実際に触れることができるロボットも多い。

豊橋技術科学大学 ICD-LABによる「弱いロボット」
単体では何もできないが、周囲の人の手助けで何かを行なう。手前(右)から「トーキング・ボーンズ」、「トウフ」、「ルーモス」
豊橋技術科学大学 ICD-LAB「iBones(アイ・ボーンズ)」
もじもじしているところに人が手を出すとアルコールを吹きかけてくれる
豊橋技術科学大学 ICD-LAB「ルンル」
乗り物としての弱いロボット
豊橋技術科学大学 ICD-LAB「ポケボー・ジュニア」
ないしょ話をする
豊橋技術科学大学 ICD-LAB「ゴミ箱ロボット」
自分では拾えないので、他人に拾ってもらう
「む〜」
言葉足らずな発話で聞き手の関心を引き出すことで、より豊かなコミュニケーションを生むことができるロボット
ソニーグループ「aibo」
人に寄り添い愛情の対象になる自律型エンタテインメントロボット
aiboはスケルトンモデルも展示されている
GROOVE X「LOVOT」
人の心に寄り添い、愛されるために開発された家族型ロボット。3月15日にはGROOVE Xの株式を前澤ファンドが取得したことが発表された
産業技術総合研究所「アザラシ型ロボット・パロ」
癒しの効果を人に与えるセラピーロボット。海外では「医療機器」として医療福祉現場でも導入されている。
ユカイ工学「Qoobo(クーボ)」
なでるとしっぽを振ってこたえる、クッション型セラピーロボット
山形大学ソフト&ウェットマター工学研究室「やわらかアニマロイド」
ゲルなど柔らかい素材でできたロボット。ロボットの手触りと人間の感じ方の研究に使われている
ヤマハ「Charlie(チャーリー)」
メロディにのせて会話するコミュニケーションロボット。世界初の「うたロボ」だという
シャープ「RoBoHoN(ロボホン)」
スマートフォン機能を持つコミュニケーションロボット。身振り手振りを交えて自分から話しかけたり、ダンスや歌で人の心をくすぐったりする
ミクシィ「Romi(ロミィ)」
AI搭載自律型会話ロボット。学習モデルのTransformerを使っており、会話を都度都度作り出すことができる
手塚プロダクション、講談社、NTTドコモ、富士ソフト、VAIO「ATOM(アトム)」
パートワークでロボットを組み立てることができた
日本大学文理学部次世代社会研究センター「非自然言語ロボット」
言葉を話さない、あいまいさを重視したロボット。そのあいまいさを活かして、人とのコミュニケーションを可能にする
大阪大学/ヴイストン「CommU(コミュー)」
複数のロボット同士で対話することができる。人間も巻き込んで、CommU同士の対話に参加している感覚を生み出し、自然で人間らしい対話とは何かを明らかにしていく
石原尚/大阪大学大学院工学研究科「アフェット」(頭部:1号機、上半身/脚部:2号機)。「人に反応を返してもらい続ける中でふるまいを成熟させていく、赤ちゃんのような人工知能」を開発するための、子ども型アンドロイドロボットの試作機
大阪大学大学院基礎工学研究科石黒研究室、国際電気通信基礎技術研究所石黒浩特別研究所「ジェミノイドHI-4(エッチアイ-フォー)」
大阪大学教授の石黒浩氏に似せた遠隔操作型アンドロイド。人の存在感とは何かを明らかにするためのロボット。この展示では「ジェミノイドHI-2(エッチアイ-ツー)」も展示し、ジェミノイドHI-4との対話を行なう。
ジェミノイド同士の対話

Zone 2-3 いのちって、なんだ?

いのち、医療系を中心とした「Zone 2-3 いのちって、なんだ?」
テムザック「Pedia_Roid(ペディアロイド)」
救命救急のトレーニング用に開発されたこども型患者ロボット。治療を嫌がるじたばたとした動き、病状の急変に加え、歯の治療や、脈・呼吸・顔色の変化も細かく再現し、実際の治療現場に近い訓練を行なうことができる。実機展示は3月18日~5月5日、7月1日~8月31日の予定
テムザック「DENTAROiD(デンタロイド)」
学生実習用歯科患者ロボット
テムザック「Pedia_Roid」
二松学舎創立140周年のさいに制作された二松学舎大学大学院文学研究科、大阪大学大学院基礎工学研究科「漱石アンドロイド」(左)
2015年にイタリアで開催された「ミラノ国際博覧会」に合わせて制作された大阪大学大学院工学研究科、ダ・ヴィンチミュージアムネットワーク「レオナルド・ダ・ヴィンチ アンドロイド」(右)
「TEZUKA2020」プロジェクト「ぱいどん」
手塚治虫が存命で漫画を描いていたら、という考えから生まれた漫画作品。AIと人間が共同して創作する新たな可能性が示された
オルツ「オルツ・デジタルクローン」
個人の考え方や価値観をAI技術によって再現したデジタルクローン。膨大な人々のデータを統合した平均モデルをつくり、それをベースにすることで個人のデジタルクローンを作成する。今回オルツはビデオリサーチと共同開発した脳科学者・茂木健一郎氏の「デジタルクローン」を出展している。茂木氏のデジタルクローンは哲学者ニーチェのデジタルクローンと会話する
NHK「AI美空ひばり」
ディープラーニングを使ったヤマハの「VOCALOID:AI」を使って故人である美空ひばりさんの歌声再現を試みたプロジェクト。取り組みは番組で紹介され、新曲「あれから」が披露された
Whatever「D.E.A.D(Digital Employment After Death = デジタル死後労働)」
デジタル死後労働を許可するかどうかを意思表明できるプラットフォーム。デジタル死後労働についてのアンケート結果も展示されている

Zone 3 きみとロボットの未来って、なんだ?

「Zone 3 きみとロボットの未来って、なんだ?」

 最後は「Zone 3 きみとロボットの未来って、なんだ?」。様々な分野で活躍する人たちが思い描くビジョンや、体験型のインスタレーション展示を通して、人間とロボットの未来を考える。

著名人や研究者たちのインタビューがパネルで紹介されている
音声ガイドは声優の江口拓也さん
最後はそれぞれ異なる物語を体験できる
ロボットとの物語をみんなで共有し対話できる
最後の問いかけは「ニンゲンッテ、ナンダ?」