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より一層人間に近づいたホンダのロボット |
遂にここまできた! ASIMOと吉野浩行ホンダ社長の握手 |
11月20日発表
本田技研工業株式会社は、これまで開発を続けてきた2足歩行可能な「ホンダ・ヒューマノイドロボット P3」をより発展させた小型ヒューマノイド型ロボット「ASIMO」を発表した。「ASIMO」は“Advanced Step in Innovative Mobility”の略称で、今後ホンダから登場するロボットは全てASIMOの名前を冠することとなる。
「ASIMO」の開発にあたっては大きく3点の特徴が上げられる。
1つは“小型軽量化”で、P3では160cm/130kgだったものをASIMOでは120cm/43kgまで小型化している。身長160cmのものを120cmにサイズダウンした場合、重量比としては54kgとなるが、内骨格構造やフレーム肉厚の薄肉化、制御ユニットの専用設計などにより20%の軽量化を果たしたとしている。
2つめは腕の動作範囲の拡大や操作性の向上で、肩の関節の取り付け角度を20度上げることで、P3よりもより高い位置での作業が可能となっている。またP3ではワークステーションにより操作を行なっていたが、ASIMOではワークステーションによるスタートアップ、プリプログラム歩行のほか、ゲーム機のコントローラのような“携帯コントローラ”によりリアルタイムな操縦やあらかじめ設定された動作“握手、両手を振る、バイバイ、おじぎ”を行なうことができる。
3つめは“歩行の知能化”。これまでは直線歩行のほか、旋回 (方向修正) という大きく2つの歩行パターンがあった。今回、ホンダは旋回などの動作を行なうとき重心変化傾向の予測値をリアルタイムに割り出すことで、次の動作をその都度予測しながら重心を調節することを可能とした。このことによりより自由な歩行が可能となったという。
ASIMOの“バイバイ”の挨拶。一つ一つの動作が一生懸命でカワイイ! | P3と吉野社長、そしてASIMO。ASIMOの可愛らしさが際だつ |
発表にあたり吉野浩行社長は「ホンダのブランドを象徴するような技術を確立できた」と挨拶。「今後は音声や視覚などセンサー技術を盛り込みより人間に近づけ、ロボットと人間の共存を目指したい」と今後の抱負を語った。
今回のASIMOは小型軽量化しホームユースに耐えうるものとして、“人間との共存”を旗印に開発されてきたが、今後、工事現場などの作業用として大型ロボットの開発などを行なう意志があるかとホンダ関係者に聞いてみたところ、「あくまでもホームユースを前提としたものを考えている」ということで、今後とも現行路線を踏襲するようだ。
同関係者によれば「現状ではリアルな歩行を実現しただけだが、今度を倒れたとき自分で立ち上がるという動作を実現したい。そしてゆくゆくは自分で車のドアを開け、乗り込んでドアを締めるという行動を行なえるようにしたい。まだまだ課題はたくさんある」とコメントしてくれた。
また、今後の展望として「メカニズム的にはかなりのところまできている。今後はソフトの開発が重要となる。コンピュータの発展がそのままロボットの進歩に繋がる」としているが、現実的に家庭に入り込む日はいつかと訪ねたところ「ロボットがどんどん進歩していき人間を越える能力を手にしたときがおそろしく、そういった問題も考えていかなければならず、家庭に入り込むのはいつかを論じるのは難しい」という。少し前まではSF小説の中でしか語られることのなかった“悩み”がすでに現実のものとなってきており、子供の頃思い描いていた未来がすぐそこにまで迫っているのを感じた。
「ASIMO」は11月24日から26日までパシフィコ横浜で開催されるROBODEXで一般公開を予定している。
□ホンダのホームページ
http://www.honda.co.jp/
□「ホンダ・ヒューマノイドロボット」のページ
http://www.honda.co.jp/robot/
□ROBODEXのホームページ
http://www.robodex.org/
(2000年11月20日)
[Reported by funatsu@impress.co.jp]
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