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若者よりも年配者、男性よりも女性、AI知識が豊富な人ほどAI技術を懸念

AI倫理のオクタゴン測定

 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の横山広美教授を中心とする東京大学、および金沢大学のメンバーからなる研究グループは11日、AI倫理に共通する8つの観点に基づいて、それを数値化する「オクタゴン測定」を提案。その中で4つのAI技術シナリオの倫理問題のレベルを測る研究を行ない、その結果を公開した。

 これは人々が感じるAI技術の倫理的問題レベルを数値化する試みで、「AI歌手」、「AI購買促進」、「AI兵器開発」、「AI犯罪防止」という4つのAIシナリオにおいて、「個人のプライバシー」、「説明責任」、「安全性とセキュリティ」、「透明性と説明可能性」、「公平性と無差別」、「人間による制御」、「専門家の責任」、「人間の価値の促進」という8つの観点(オクタゴン軸)で5件法アンケートを取り、集計して数値化を行なうというもの。

 アンケートは20代から60代まで、人口構成比に従って、日本国内の男女1,029人(女性510人、男性519人)から集計。その結果、若者よりも年配者、男性よりも女性、AIの知識が少ない人よりも多い人のほうが、AI技術に懸念を持つ傾向が明らかとなった。また、AI兵器開発のシナリオでは、「個人のプライバシー」を除く7つの観点すべてで、倫理問題レベルが高いという結果が得られたという。

 研究グループによれば、こうした傾向はほかの科学技術のリスクにおいても見られるものであるとしており、今後、異なる国でも同じシナリオについて同手法で測定することにより、倫理レベルの国際比較も行なえるとしている。また、今後、より簡便な軸の開発も検討している。

研究グループはオクタゴン測定がAI倫理の測定に適していると考えている