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米連邦取引委、NVIDIAによるArmの買収阻止目的で提訴

 米連邦取引委員会(FTC)は2日(現地時間)、NVIDIAによるArmの買収を阻止する提訴を行なった。

 FTCは「次世代技術のイノベーションパイプラインが阻害されるのを防止するため、歴史上最大の半導体企業同士の合併を阻止する」と述べ、NVIDIAによるArmの買収は、半導体市場におけるArmの中立性を歪め、NVIDIAの競合を不当に弱体化させることを可能にするものだとしている。

 Armはチップのデザインを手掛けているものの、チップやデバイスとしての完成品を販売しておらず、NVIDIAを含むほかの企業にライセンスする形態をとっている。ほかの企業はArmのプロセッサ技術を利用し、コンピューティングデバイスや電力供給チップを製造しており、Armは関連するサポートやサービスも提供している。このためArmは半導体業界の「スイス」に例えられる。

 NVIDIAもArmの顧客であるのだが、この合併が実現されれば、NVIDIAは技術を制御し、競合他社を弱体化させて競争を減らす可能性があると指摘している。また、製品の品質低下、革新の遅れ、価格の上昇および選択肢の減少により、Armベースの製品を利用する何百万人のアメリカ市民に影響がおよぶだろうとしている。

 より具体的には、自動車向けの高度な先進運転システム、DPUやSmartNICといった高度なネットワーク製品、そしてクラウドコンピューティングサービスプロバイダー向けのArmベースのCPUなどが含まれる。

 加えて、買収で、NVIDIAはArmが持つライバルの競争上の機密情報にアクセスできるようになるため、競争に害をおよぼすとしている。