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生徒を取り残さないための教育向けプラットフォーム構築を進めるマイクロソフト

Windows 11 SE

 日本マイクロソフト株式会社は25日、教育分野における同社の取り組みに関する説明会を行なった。

 同社ではWindows 11、Microsoft 365、Microsoft Teamsを組み合わせて、平等な教育環境の実現に向けて様々な機能の提供を進めてきた。ソフトウェア面では、初等/中等教育での利用を想定した教育機関向けのOSとして「Windows 11 SE」を投入する。

 OEMメーカーと協力し、OSとデバイスの組み合わせを最適な状態で提供することを重要視しており、単体では販売せず、プリインストールのみを用意する。Intuneでのクラウド管理を前提としており、教育機関で使わないような機能を省くなど、低スペックのデバイスでも快適に動作できるよう最適化を図っている。

 なお、Windows 11および10のEducation/Pro Educationも並行して提供。学年が上がるにつれて性能や専門性が高まった場合に、より豊富な選択肢を用意できるとする。

 また、各パートナーからも搭載製品が投入される予定。同社では、PCに慣れたりオンライン学習に使うだけでなく、企業における約95%のPCでWindowsが採用されていることなどから、社会に出るためのスキル習得の意味でも活用してほしいとした。

Windows 11+Microsoft 365+Microsoft Teamsで平等な教育環境の実現を目指す
Windows 11 SEはクラウド管理を前提に教育機関での利用に特化
Windows 10および11 Education/Pro Educationは並行して提供する
パートナーからの搭載製品も投入される予定

 これにあわせてハードウェア面では、Windows 11 SEを標準搭載したSurfaceとして「Surface Laptop SE」を投入。Celeron N4020/4GBメモリ/64GBストレージ搭載の下位モデルと、Celeron N4120/8GBメモリ/128GBストレージ搭載の上位モデルを用意する。11月30日より国内教育機関向けに発売し、税別価格はそれぞれ2万7,800円、3万6,800円。

 児童/生徒が使うことを想定して設計したノートPCで、Webカメラやマイクなどを内蔵し、オンライン学習にも使えるデザインや使い勝手はSurfaceから継承しつつ、プラスチック製のコンパクトな筐体で、修理しやすい設計なのが特徴。インターフェイス周りはUSB Type-CとType-A、3.5mmヘッドフォンジャック、Webカメラ、マイクなどを備え、最大16時間のバッテリ駆動も可能だとする。

Surface Laptop SE
上位、下位の2モデルを用意
修理しやすい筐体や最大16時間のバッテリ駆動時間も特徴
修理時は裏面にある7カ所のねじを外せば簡単に作業できる

 また、サービス面では今回新たに「Microsoft 365 A1 for Devices」を展開。同社が国内向けに提供してきたGIGA Promoと同様のものをグローバルに展開する形となり、クラウドサブスクリプション型サービスながら、ライセンス自体は端末に紐付く買い切りで提供する。価格は1台あたり4,128円で、最長で6年間利用できる。

 端末管理や一斉展開などを行なえるIntune for Educationに対応。学習用ツールとしては、Office 365 Educationに加え、プログラミング学習などにも活用できる「Minecraft: Education Edition」を含んでいるのも特徴となっている。

 さらに、Microsoft Teams向けには「リフレクト」を追加。簡単なアンケートを通じて、生徒の感情の揺らぎをデータで可視化できるもので、円滑な学級経営に活用できるとする。加えてAIを利用した「音読の課題(Reading Progress)」も用意。生徒が提出した録画データをAIがチェックし、発音などを採点する。先生は採点結果を確認しつつ、より最適な指導を行なえるという。

端末あたりの買い切りで提供するMicrosoft 365 A1 for Devices
Office 365 A1とMicrosoft 365 A3の間を埋める形
生徒の感情をアンケート形式で可視化するリフレクト。クラス全体の分布なども見られる
AIが生徒の音読を採点する音読の課題(Reading Progress)

 同社では、グローバルで様々な教育機関向けサービスを提供しているが、国内では、先生が非常に多忙で、かつ紙でのやりとりもまだまだ多いという。そこで、まずはMicrosoft 365を利用したデジタル化で学校での働き方を変え、生徒に割ける時間をより多く確保することで、先生の教え方や生徒の学び方を変えるといったアプローチで改革の支援を進めてきた。

 一方で、パンデミック以降、教育現場におけるデバイス導入が進み、全世界でMicrosoft Education製品を使用している生徒/教職員が1億5,000万人を超える中で、今までなかった様々なニーズも多く出てきたという。同社では、選択肢を増やす新たな端末の投入や、学習環境を支えるクラウドサービス、アクセシビリティなど生徒を取り残さないための様々な機能を通じて、プラットフォーム全体で多様化するニーズに応え、教育分野を支えていく。

先生の働き方を変えることで、最終的に生徒の学び方を変える
パンデミック以降は教育現場でも導入が拡大。現場から様々なニーズも出てきたという
多様化するニーズにプラットフォーム全体で対応

 説明会では、埼玉県鴻巣市、大阪府堺市、山梨県立甲府西高校、鹿児島県における実際の導入事例の紹介も行なわれた。

フルクラウド化によって教務だけでなく校務でもPCが活用できるように
リアルタイム翻訳やオンライン授業を通じた日本語指導で、すべての生徒に学びを提供
PCによる作業効率化で、考えたり意見を共有する時間がより多く確保できるように
小学校から高校卒業までの12年間、1人1つのアカウントを継続して使う県域教育用ドメインにより、学習履歴の蓄積や分析を可能に