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ロボットアバターのugo、量産モデルを発売開始。NTTらとアプリケーションを探索
2021年11月15日 17:21
ロボットアバターサービスを主力製品とするスタートアップugo株式会社は、2021年11月15日に東京都内で開催した自社イベント「ugo go! 2021」の中で、量産製品のラインナップ4機種と、連携パートナー各社と共同開発したアプリケーションを発表した。従来機種に加えてユーザーによる拡張が容易な最安モデル「ugo Ex」を追加した。「ugo Ex」には前後左右に移動できるExplorer、簡易な立ち上げを意味するExpress Setup、そして拡張のExtensionの意味があり、NVIDIA JetsonやIntel NACなど、エッジAI処理のために必要なリソースを追加拡張することも容易となっている。
パートナー企業は株式会社NTTドコモ、株式会社NTTデータ、大成株式会社、トッパン・フォームズ株式会社、株式会社ツクイ、Kudan株式会社、株式会社Doog、アスラテック株式会社の8社。警備や棚下ろし、コミュニケーション、自律走行研究用、屋外搬送用途などに用いられる。
最安モデルは月額9万8,000円から展開
ugoは2018年創業のロボットスタートアップ。2本のアームを持つ移動できるアバターロボット「ugo」を中心に、遠隔操作技術とロボット、AIを融合させたサービスを展開している。これまでに大成と開発した警備アバターを2021年4月から導入している。
今回発表された製品ラインナップは4種類。費用はサブスクリプション形式で、全機能搭載フルスペックモデル「ugo Pro」が月額14万8,000円。標準モデル「ugo R」が月額138,000円。コミュニケーション巡回特化モデル「ugo Stand」が月額11万8,000円。台車とカメラのみのDIYモデル「ugo Ex」が月額9万8,000円からとなる。受付開始は11月15日から。3年契約の月額レンタル価格で、4G-LTE/5G通信は、別途モバイルルーターとSIM回線契約が必要となる。
新機種発表記念として、先着10組限定で2台契約すると1台が1年間無料となる(3年間契約)。通常はリードタイム3ヶ月だが先着で対応していくとのこと。
量産モデルの改良点は以下のとおり。従来モデルはLiDARが台車から飛び出していたが、量産モデルはセンサーが台車(カート)部分に内蔵。センサー自体も変更となった。本体内蔵だがスリットを入れることで270度をカバーできる2D LiDARと360度の超音波センサーに変更することで、オフィスビルだけではなく、鏡やガラスの多い商業施設に対して、より対応しやすくなったという。
また、従来モデルは背面にランドセルがあったが、カートの後ろにトランクを設けて、モバイルルーターなどはカート内部に内蔵した。本体のポール頂部には360度を照らすリングライトとパトランプを装備した。リングライトで空間全体を広く照らすことで撮影画像が白飛びしにくくなった。本体のリフター自体もミリ単位精度で高さ調整ができるようになり、昇降速度も速くなった。なお、「ugo R」は手動リフターを使って高さ調整ができる。
走行性能は最高速度5km/hと従来モデル比2倍。人が歩く速度と、ほぼ同じとなった。連続走行時間も3時間~4時間となった。バッテリはムラタ製のリン酸鉄リチウムイオン。高い安全性と15年以上の長寿命を持つ。最大稼働時間は8時間。充電器もよくなったという。従来は「ugo」に人がケーブルを差して充電していたが、自動ドッキング充電ができるようになった。充電しながら遠隔操作することも可能。受付業務などは充電したまま行なうことができる。充電速度もフル充電まで1.5時間でできるようになった。
「ugo業務DXプラットフォーム」
「ugo」は基本的にプラットフォームとして用いられることを前提としている。想定用途は移動、操作、見回り、案内、配送、点検。ugo代表取締役社長の松井健氏は「ロボットが業務の中で使われるための仕組み作りに注力してきた」と紹介した。「ugo業務DXプラットフォーム」を使うことで様々な業務を遠隔から自動化へとシフトさせていくことができるという。
「ugo 業務DXプラットフォーム」にはロボット自動化のためのコマンドを整理した「Flow」を使う方法のほか、事前に登録された地図にしたがって自己位置を認識しながら自動で巡回する「Map機能」がある。「WorkPlan」は人が行なう作業をロボットにやらせるための機能で、一連の業務動作を誰でも均一に実行できる形式へ手順化して、ロボット作業に落としこむことができるという。
また、任意のテキストをロボットに発話させる音声合成のほか、8か国語(日本語、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、中国語、韓国語)対話に対応。任意の文字列を顔ディスプレイに出すこともできるようになった。またシステム連携で日報などを自動作成することもできる。スマホアプリなどを利用してロボットから人への通知もできる。「AI Toolbox」はシンプルなAIコマンド道具箱。遠隔からアノテーションをつけて結果を補正し、AI機能を向上させることもできる。
各種パートナーと連携、移動ロボットのアプリケーションを探索
今回のパートナーシップを発表した各社との取り組みも紹介された。Kudanは高いVisual SLAM技術を持つ。一度走らせるだけで精度の高い三次元地図を作ることができ、通常は苦手な細長い通路のマッピングも可能で、一度位置を見失ったときのリロケーション能力も高いという。Kudanとの取り組みによって、今後の自動化を目指す。
アスラテックとはマスタースレイブで7自由度のロボットアームを遠隔から自在に動作させる実証実験を行なっている。NTTドコモとは、自然言語処理技術の「ドコモAIエージェントAPI」を活用しロボットによる応答自体を自動化させる取り組みを進めている。Doog(ドーグ)とは同社の搬送ロボット「サウザー」を使って屋外での100kg以上の可搬能力を使ったアプリケーションを検証する。
NTTデータとはデータセンターでの各種点検業務、ツクイとは有料老人ホームでの各種業務の省人化を狙う。トッパン・フォームズとは倉庫での棚卸し作業の自動化を目指す。
ビル管理ビジネスを行なっている大成とは、警備ソリューションプラットフォーム「T-Spider」との連携を行なっている。ロボットが動いたり撮影したりしたデータから、自動的に日報を作成して顧客、本社、現場スタッフの3者間で見える化・管理することができる。
また、大成は2年前からugoとは資本業務提携を行なっており、警備業務のDX化において大々的にugoを使ってCMを行なっている。TVCMでは小芝風花さんとugoが並んで使われている。
ugoは手がついておりエレベーターのボタンを物理的に押してビル内の縦移動ができる点から業務提携の話が進んだという。大成ではIoTやロボティクスを活用して、警備業務の人手不足解消に挑んでいる。大成株式会社 代表取締役副社長執行役員の加藤憲博氏は「今後、数十社で実証実験を行なう予定があり、人だけではなくロボットを使った警備が顧客からも求められていることを強く感じている」と語った。