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富士通、ワコム製デジタイザ採用でより文房具を極めたA5/A4電子ペーパー
2021年6月22日 15:03
富士通クライアントコンピューティング株式会社(FCCL)は、電子ペーパー「QUADERNO」シリーズの新型「FMVDP51」および「FMVDP41」を7月8日より発売する。前者はA5サイズ、後者はA4サイズモデルとなる。価格はともにオープンプライスで、直販価格はそれぞれ4万9,800円、6万9,800円。
QUADERNOシリーズは、同社の展開する手書き入力に対応した電子ペーパー。新型では外観は従来から大きく変わっていないが、ペン入力機能やUI周りなど、大幅な機能強化が図られている。
書く機能としては、新たにワコム製EMR方式デジタイザを搭載。様々なペンの傾きをリアルタイムで補正できるようになり、精度が格段に向上した。視差も抑えており、曲線や斜め線、本体を傾けた状態で書き込みなどでも、より滑らかで自然なペン入力を実現できるとする。
ペンはバッテリレスとなり、筆記時のレイテンシも約30%短縮した。なお、純正品以外のEMR方式のペンでも入力は可能だが、本機向けの専用チューニングの恩恵が受けられないため、精度が劣るという。
また、ペン本体にも改良を施しており、サイドボタンとテールスイッチの機能がカスタムできるようになった。赤ペン、消しゴム、ハイライト、範囲選択、拡大の5つの機能から自由に設定でき、例えばペンをひっくり返してこすって文字を消すといった使い方も可能となる。ペンの太さや色などを簡単に変えられるペンツールパネルも新たに用意している。
読む機能としては、E Ink製Carta 1250の採用により、ディスプレイのコントラストが15%向上。CPUやメモリの強化により全体的な応答速度も約20%高速化し、ページ送りやドキュメントの切り替えなどがよりスムーズに行なえるようになった。ストレージ容量も32GBに倍増している。
さらに、表紙をサムネイル表示し、直感的に探せるようになったドキュメント一覧画面や、ソート/管理機能の改善など、UI面にも手を加えて使い勝手を向上した。そのほか、データ転送/充電速度の向上やUSB Type-Cポートの採用など、細かな改良も実施している。
アクセサリには、従来比約45%の軽量化を図り、2色展開となったカバーのほか、LAMYとのコラボによるデジタルペンも用意。ペン先は本機での書き心地にあわせて選定したという。
A4モデル/A5モデルの主な仕様は、ディスプレイが10.3型/13.3型フレキシブル電子ペーパー(静電容量方式タッチおよびEMR方式デジタイザ対応)、解像度が1,404×1,872ドット/1,650×2,200ドット、ストレージは共通で32GB。ファイルフォーマットはPDF、OSはWindows 10、macOS 10.14/10.15/11、Android 8以降、iOS 12以降をサポートする。
インターフェイスはともに、USB 2.0 Type-C、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0、NFC(FeliCa)などを装備。
本体サイズ/重量はそれぞれ約173.2×5.9×242.5mm(幅×奥行き×高さ)/約261g、約222.8×5.7×301.1mm(同)/約368g。バッテリ持続時間はどちらもWi-Fiオフ時で最大2週間、オン時で最大5日間。
あくまでも紙とペン。新型は文房具としての進化に注力
発表会では、FCCL 執行役員副社長/COOの竹田弘康氏や同社執行役員 コンシューマ事業本部副本部長の高嶋敏久氏が登壇。さらに同社コンシューマ事業本部 クアデルノ商品企画担当の松下季氏より、製品の説明が行なわれた。
竹田氏は、サステナビリティが求められる現代の企業において環境問題は重要な課題であるとしたうえで、デジタル化が進められる一方で、紙が減らないのはルールだけでなく、手書きや紙、アナログのよさに対するニーズがあると述べた。今回の新型については、先代の投入から2年半の間に得られたユーザーの声や同社の思いを詰め込んだ製品だとした。
また高嶋氏によれば、QUADERNOシリーズがもともとビジネスパーソンをターゲットとした製品だったのに対し、テキストリーダや楽譜の閲覧、漫画のラフ作成など、実際には幅広い用途で活用されており、多くの改善要望も受けたという。
新型では、こういった要望に応えつつ、カメラの内蔵やカラー化といった方向性ではなく、あくまでも文房具として機能強化に注力。書きやすく読みやすい、煩わしくない、持ち歩きたくなるの3点を追求することで、良質な思考時間をユーザーに提供したいとした。