ニュース

GIGAスクールPCは“シェア奪回”よりも“内容充実”。日本マイクロソフト説明

日本マイクロソフトの教育現場の改革への取り組み

 日本マイクロソフト株式会社は15日、教育向けへの同社の取り組みについて記者説明会を開催。同社 業務執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部 統括本部長の中井陽子氏が解説を行なった。

 ご存知のとおり、政府は2020年4月よりGIGAスクール構想の実践を開始したが、新型コロナウイルスの感染拡大により、当初3年としていた導入計画を1年に大幅に前倒しして短縮。こうしたなか、日本マイクロソフトはコロナ禍のなかでも、積極的に教員向けの研修を開始し、多くの自治体や学校の相談に応じてきており、290~300万台のWindows PCの導入を達成できたとする。

 そういった意味で、この4月からはいよいよICTを利用した教育が本格的に開始する、いわば「GIGAスクール元年」と呼べる年となる。そうしたなかで日本マイクロソフトは、1.教員向け、2.学生向け、3.家庭向けへの取り組みを、より一層強化するという。

GIGAスクール元年となる2021年

 公教育の教員に対して、同社の教育ツールを利用している教育者を「マイクロソフト認定教員(MIE)」として認定し、さらにそのなかでも先進的な取り組みをしてきた教員に対し「マイクロソフト認定教員イノベーター(MIEE)」とするなど、認定プログラムを展開し、それぞれ1万人超、289人の認定者の実績を上げてきた。

 その一方で全国に190万人いると言われる“すべての教員”にICTの利活用をしてもらうことも重要視するため、セルフラーニングコンテンツの充実や、自治体に対しての無償教員研修プログラムなどを提供しているといい、今後も地域に根ざしたオフラインコミュニティや教員向け活用ポータルの充実などで、全方位でサポートしていきたいとする。

 また、毎日朝に教員に生徒からの連絡の電話が集中する問題に対しても、同社のデジタル化ソリューション(Forms、Automate、Power BI、Teams)を組み合わせて活用し、負担を軽減してきた。これにより教員はより多くの時間を生徒と向き合えるようになったという。

教員向けのこれまでの取り組みと今後の取り組み
Microsoftのデジタルソリューションによる、教員の働き方改革

 一方、学生向けとしては、IT人材不足問題の解消、そして迅速な世の中の変化への適応ができるよう、段階に応じて無償のコンテンツを多く用意。

 とくに、共同学習や自主学習に慣れた高校生に対しては、「きみの学びが、世界を変える」ということを意識させる、生徒主体の取り組みを展開していく。一方、大学生に対しては、探究的な深い学びの実践ができる「Hacking STEM」の日本語版の提供や、AIやデータに関する知識を身につけていく「MS Learn」の利用を促していく。

IT人材不足に関する予測
学年に応じた教育コンテンツの提供
高校生向けのメッセージ
Windows PCは選択肢が豊富で、4万5,000円以下の手頃のものから、より高度な使い方に対応できるものまでを用意

 保護者向けでは、Windowsで設定できる有害コンテンツフィルタリング機能利用の啓発、OS自身が持つアンチウイルス/ファイアウォール機能による安全性を訴求。Office活用情報サイトでは学習用テンプレートの充実を図ったり、情報サイト「Microsoft atLife」におけるWindows基本操作解説の充実などを図っていきたいとした。

家庭向けは、情報サイトでの解説を充実
Office活用情報サイトでも、さまざまなテンプレートを用意

 質疑応答では、競合のChromebookやiPadとのシェア争いについての質問がなされたが、中井氏はChromebookがWindowsより高いシェアを持ち、iPadも一定のシェアがあることを認めた上で、「シェア奪回などとは思っていない。いますでに獲得しているユーザーさんに対し、しっかりサポートしていくことがもっとも大事だと考えている」と答えた。