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家庭用オゾン発生加湿器、コロナ感染防止に有効との実験結果
2021年3月8日 13:43
株式会社フジファインズは8日、オゾンガス発生機能つき加湿器「O3MAX Air」(OY-FF90-A)による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化効果を確認したと発表した。
O3MAX Airは、50mg/hrのオゾン発生能力を有する加湿器。オゾンの発生は精製水の電気分解によって行なう。想定使用空間は6/8/32畳間。
同社が行なった評価試験内容は、試験ボックス内にウイルスを塗布したシャーレを設置し、0.1ppm程度のオゾン濃度下に2時間曝露させるというもの。試験環境としては、平均湿度45%と65%の環境を用意している。0.1ppmは、一般的には人体に健康上の悪影響が見られない作業安全管理上の基準値。
試験の結果、湿度45%環境では99.990%、65%環境では99.998%まで感染価(感染力を持つウイルス粒子の量)が減少したという。試験は奈良県立医科大学が保有するバイオセーフティレベル3の研究室で実施した。フジファインズはこの試験結果から、O3MAX Airの使用が新型コロナウイルスの接触感染防止に有効である可能性について言及している。
なお今回の実験では、試験設備などの制約から、浮遊するウイルスや人体への影響については検証を行なっていないとしており、また機器の効果確認は実験施設内で行なったもので、実使用環境における効果を示すものではないという。
今回の試験に協力した奈良県立医科大学は2020年5月、オゾンによる新型コロナウイルスの不活化を確認したことを発表している。当時の実験内容では、オゾン濃度6ppmで55分曝露して1/1,000~1/10,000まで不活化、1ppmで60分暴露して1/10~1/100まで不活化した実験結果を発表した。
この実験の条件設定には、オゾン燻蒸によるウイルス除染能力を評価するCT値(Concentration-Time Value)が用いられている。CT値はオゾン濃度(ppm)と曝露時間(分)の積で算出される。実運用上は基準値が設けられており、この値を満たすように運用することが求められる。奈良県立医科大学の実験では、前者に「厚労省PMDAによる医療機器認証の実証実験値であるCT値330」、後者には「総務省消防局による救急隊オゾン除染運用値であるCT値60」がそれぞれ適用されている。
CT値の考え方を採用して一般家庭の室内でオゾン発生装置を用いた除染を行なう場合は、室内のオゾン濃度と部屋の容積、装置の運転時間を考慮する必要がある。