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PCIe Gen4でリードするAMD、新ソケットで多コア化を進めるIntel。メニーコア時代のマザーボードはこう選べ
2021年1月30日 07:00
2020年、第10世代Coreプロセッサが登場したIntelプラットフォームでは、CPUソケットもチップセットも刷新された。新世代マザーボードが多数登場している。AMDプラットフォームでは2020年6月に普及価格帯向けのB550チップセットが追加されただけだが、Ryzen 5000シリーズの登場に合わせて、新世代モデルが登場している。どんなポイントに注意して製品を選ぶべきか、マザーボードの最新事情を整理しておこう。(TEXT:滝 伸次)
自作向けIntel CPUが刷新。CPUソケットもLGA1200に
ここ1年におけるマザーボード関連の最大のトピックは、Intelの第10世代Coreシリーズの登場に合わせ、新チップセットを搭載したマザーボードが登場したことだ。ここ数年、Intelのメインストリーム向けCPUは「LGA1151」というCPUパッケージでLGA1151ソケットに対応していたが、第10世代Coreは「LGA1200」という新しいパッケージでLGA1200ソケットに対応する。チップセットも「Z490」、「H470」、「B460」といった専用のものが用意されており、従来マザーボードとは互換性がないため注意が必要だ。
AMDプラットフォームでは、2020年11月にZen 3アーキテクチャを採用した新世代のRyzen 5000シリーズが登場したが、形状は従来と同じで新チップセットも投入されなかったため、マザーボードに大きな動きはなかった。Ryzen 5000シリーズは、UEFIのアップデートは必要だが、X570などの500シリーズチップセットを搭載した従来マザーボードで動作する。ただ、X570マザーボードの登場から1年半が経過していることもあり、Ryzen 5000シリーズの登場に合わせて新モデルもいくつか発売されている。これらの製品は、従来モデルをブラッシュアップしたもので、品質面、機能面ともに注目すべき点が多い。なお、Ryzen 5000シリーズは、メーカーの対応しだいとなるが、X470などの400シリーズチップセットでも動作する。
第10世代Core対応チップセット | |||
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Z490 | H470 | B460 | H410 |
Ryzen 5000シリーズ対応チップセット | ||
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X570 | B550 | A520 |
PCI Express 4.0対応の有無も重要な選択肢
公称リード性能が7,000MB/sを超える性能のPCI Express 4.0 x4接続のNVMe SSDが登場するなど、最近、なにかと話題になるPCI Express 4.0。現状、PCI Express 4.0をサポートしているのはAMDプラットフォームだけだ。ただし、AMDプラットフォームであっても、組み合わせるCPUとチップセットによってはPCI Express 4.0がサポートされないので注意が必要。Socket AM4でPCI Express 4.0が有効となるのは、GPUを内蔵しないRyzen 3000/5000シリーズとX570チップセットまたはB550チップセットを組み合わせた場合のみだ。このことは必ず覚えておきたい。なお、AMDのウルトラハイエンドSocket sTRX4では、CPU、チップセットともにPCI Express 4.0に対応する。サポートするレーン数が多いので、超高速なPCI Express 4.0デバイスを何台も使用したい人に適している。
Intelプラットフォームでは、Rocket Lakeの開発コード名で知られる次世代CPUでPCI Express 4.0をサポートすることがすでにアナウンスされている。Rocket Lakeは第10世代Coreと同じLGA1200パッケージを採用するため、現行のLGA1200マザーボードの中には、Rocket Lakeを使用した場合にPCI Express 4.0対応となるというM.2スロットを持つものもある。将来性重視の人はそういう製品に注目してみよう。
メニーコアCPUを使用するならVRMに注目
もともと8コア以上のメニーコアCPUは消費電力が大きかったが、第10世代CoreはTurbo Boost時の最大消費電力が格段に増えている。そのため、メニーコアCPUを長期的に安定して動作させるためにはますますVRMの性能が重要となっている。
VRMではまずフェーズ数が性能の目安となる。フェーズ数が多いほど、回路にかかる負担を分散できるため、安定性、耐久性が高まるからだ。8コア以上のメニーコアCPUを長期的に安定して動作させるには10フェーズ以上が望ましい。また、コンデンサやMOSFETなどの部品の品質もVRMの性能を大きく左右するので要チェックだ。さらに、冷却機構にも注目したい。VRMは負荷がかかると発熱が大きくなる。十分な冷却ができないとCPUへの電力供給が不安定になるからだ。
8コア以上のCPUを使用する場合はVRMが重要
世代 | CPU名 | TDP | PL1 | PL2 |
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第10世代 Comet Lake | Core i9-10900K | 125W | 125W | 250W |
Core i7-10700K | 125W | 125W | 229W | |
第9世代 Coffee Lake | Core i9-9900KS | 127W | 127W | 約159W |
Core i9-9900K | 95W | 95W | 約119W | |
Core i7-9700K | 95W | 95W | 約119W |
IntelのCPUには「PL1」と「PL2」という消費電力枠が設けられている。TDPと同じ数値の消費電力枠がPL1で、通常はこの値を超えないように動作クロックなどが調整される。PL2はTurbo Boost時の最大消費電力枠。注目したいのはこのPL2の値。前世代ではPL2はPL1の1.25倍に設定されていたが、最新の第10世代Coreでは最大2倍にまで拡大されている。そのため、電源部にかかる負担はより大きくなっている。
ネットワーク機能が充実した製品が増加
最近のマザーボードの特徴としてネットワーク機能の強化が挙げられる。これまで高速LANをサポートするマザーは特別仕様のゲーミングモデルくらいであったが、最近はミドルレンジ以上のモデルでは2.5G LAN対応が標準的となった。無線LANもWi-Fi 6対応が当たり前になっている。
【投票結果発表】本誌執筆陣が評価した製品はコレだ!!
今回は、マザーボードを「4万円以上」、「2万円~4万円」、「2万円以下」、「スモールフォームファクター」の四つのカテゴリーに分け、DOS/V POWER REPORT執筆ライターと編集部による投票でオススメ製品を決定した。それぞれの持ち点は各カテゴリーの製品数に応じて、4万円以上は5点、2万円~4万円は8点、2万円以下は4点、スモールフォームファクターは3点とし、1製品につき1点投票できるルールとしている。
4万円以上
メーカー名 | 製品名 | CPUソケット | チップセット | フォームファクター | Ta 152H-1 | 芹澤正芳 | 滝 伸次 | 編集部 | |
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金 | ASRock | Z490 Taichi | LGA1200 | Intel Z490 | ATX | 1 | 1 | 1 | |
金 | ASUSTeK | ROG Crosshair VIII Dark Hero | Socket AM4 | AMD X570 | ATX | 1 | 1 | 1 | 1 |
銀 | MSI | MEG Z490 ACE | LGA1200 | Intel Z490 | ATX | 1 | 1 | ||
銀 | GIGA-BYTE | X570 AORUS MASTER | Socket AM4 | AMD X570 | ATX | 1 | 1 | ||
ASUSTeK | ROG MAXIMUS XII FORMULA | LGA1200 | Intel Z490 | ATX | 1 | ||||
ASUSTeK | ROG MAXIMUS XII HERO(WI-FI) | LGA1200 | Intel Z490 | ATX | 1 | ||||
GIGA-BYTE | Z490 VISION D | LGA1200 | Intel Z490 | ATX | 1 | ||||
ASRock | X570 Taichi Razer Edition | Socket AM4 | AMD X570 | ATX | 1 | ||||
GIGA-BYTE | X570 AORUS XTREME | Socket AM4 | AMD X570 | ExtendedATX | 1 | ||||
ASRock | B550 Taichi Razer Edition | Socket AM4 | AMD B550 | ATX | 1 | ||||
ASRock | TRX40 Taichi | Socket sTRX4 | AMD TRX40 | ATX | 1 | ||||
GIGA-BYTE | TRX40 DESIGNARE | Socket sTRX4 | AMD TRX40 | XL-ATX | 1 | ||||
MSI | CREATOR TRX40 | Socket sTRX4 | AMD TRX40 | ExtendedATX | 1 |
ASUSTeKのX570マザー「ROG Crosshair VIII Dark Hero」が全員の票を獲得した。Ryzen 5000シリーズを見据えて開発された新製品で、電源部が強化されていたり、チップセットクーラーを排して高性能ヒートシンクを装備したりと、従来モデルに比べ数々の改良がなされている点が評価された。
2万円~4万円
メーカー名 | 製品名 | CPUソケット | チップセット | フォームファクター | Ta 152H-1 | 芹澤正芳 | 滝 伸次 | 編集部 | |
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金 | ASUSTeK | ROG STRIX Z490-F GAMING | LGA1200 | Intel Z490 | ATX | 1 | 1 | 1 | |
金 | GIGA-BYTE | H470 AORUS PRO AX | LGA1200 | Intel H470 | ATX | 1 | 1 | 1 | |
金 | ASRock | X570 PG Velocita | Socket AM4 | AMD X570 | ATX | 1 | 1 | 1 | |
金 | ASUSTeK | TUF GAMING X570-PLUS | Socket AM4 | AMD X570 | ATX | 1 | 1 | 1 | |
金 | MSI | MEG X570 UNIFY | Socket AM4 | AMD X570 | ATX | 1 | 1 | 1 | |
銀 | MSI | MAG Z490 TOMAHAWK | LGA1200 | Intel Z490 | ATX | 1 | 1 | ||
銀 | ASUSTeK | TUF GAMING H470-PRO(WI-FI) | LGA1200 | Intel H470 | ATX | 1 | 1 | ||
銀 | ASUSTeK | ROG STRIX B550-F GAMING(WI-FI) | Socket AM4 | AMD B550 | ATX | 1 | 1 | ||
銀 | GIGA-BYTE | B550 VISION D | Socket AM4 | AMD B550 | ATX | 1 | 1 | ||
銀 | ASRock | Z490 Steel Legend | LGA1200 | Intel Z490 | ATX | 1 | |||
ASUSTeK | ROG STRIX Z490-E GAMING | LGA1200 | Intel Z490 | ATX | 1 | ||||
MSI | MEG Z490 UNIFY | LGA1200 | Intel Z490 | ATX | 1 | ||||
NZXT | N7 Z490 | LGA1200 | Intel Z490 | ATX | 1 | ||||
ASRock | X570 Extreme4 | Socket AM4 | AMD X570 | ATX | 1 | ||||
ASUSTeK | ROG STRIX X570-F GAMING | Socket AM4 | AMD X570 | ATX | 1 | ||||
GIGA-BYTE | X570 AORUS ELITE | Socket AM4 | AMD X570 | ATX | 1 | ||||
MSI | MPG X570 GAMING PRO CARBON WIFI | Socket AM4 | AMD X570 | ATX | 1 | ||||
ASRock | B550 Steel Legend | Socket AM4 | AMD B550 | ATX | 1 |
このカテゴリーでは価格に対して、品質、機能が充実しているものが票を集めた。Z490になってもASUSTeKのROG STRIXシリーズの「F GAMING」モデルの評価は高い。X570マザーではASRockとMSIの新世代モデルが高く評価された。注目はGIGA-BYTEの「H470 AORUS PRO AX」。ダイレクト制御の11+1フェーズ構成のVRMを搭載するなど高品質仕様の上、USBやM.2などの拡張機能が充実しており、OCに興味がない層へのベストチョイスモデルとして評価された。
2万円以下
メーカー名 | 製品名 | CPUソケット | チップセット | フォームファクター | Ta 152H-1 | 芹澤正芳 | 滝 伸次 | 編集部 | |
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金 | ASRock | B550M Steel Legend | Socket AM4 | AMD B550 | microATX | 1 | 1 | 1 | |
金 | ASUSTeK | TUF GAMING B550-PLUS | Socket AM4 | AMD B550 | ATX | 1 | 1 | 1 | |
MSI | MPG Z490 GAMING PLUS | LGA1200 | Intel Z490 | ATX | 1 | 1 | |||
ASRock | B460M Pro4 | LGA1200 | Intel B460 | microATX | 1 | 1 | |||
MSI | MAG B460M MORTAR WIFI | LGA1200 | Intel B460 | microATX | 1 | 1 | |||
MSI | MAG B550 TOMAHAWK | Socket AM4 | AMD B550 | ATX | 1 | 1 | |||
GIGA-BYTE | B550 AORUS ELITE | Socket AM4 | AMD B550 | ATX | 1 | ||||
MSI | MPG B550 GAMING PLUS | Socket AM4 | AMD B550 | ATX | 1 |
2万円以下のマザーでは、高耐久をうたうASRockの「B550M Steel Legend」、ASUSTeKの「TUF GAMING B550-PLUS」が多く票を集めたが、機能が充実しておりコストパフォーマンスが高いMSI製品の評価も高かった。
スモールフォームファクター
メーカー名 | 製品名 | CPUソケット | チップセット | フォームファクター | Ta 152H-1 | 滝 伸次 | 竹内亮介 | 編集部 | |
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金 | GIGA-BYTE | B550I AORUS PRO AX | Socket AM4 | AMD B550 | Mini-ITX | 1 | 1 | 1 | 1 |
銀 | ASRock | H470M-ITX/ac | LGA1200 | Intel H470 | Mini-ITX | 1 | 1 | 1 | |
銀 | ASUSTeK | ROG STRIX B460-I GAMING | LGA1200 | Intel B460 | Mini-ITX | 1 | 1 | ||
ASUSTeK | ROG STRIX Z490-I GAMING | LGA1200 | Intel Z490 | Mini-ITX | 1 | ||||
ASRock | B550M-ITX/ac | Socket AM4 | AMD B550 | Mini-ITX | 1 | ||||
ASUSTeK | ROG STRIX B550-I GAMING | Socket AM4 | AMD B550 | Mini-ITX | 1 |
スモールフォームファクターでは、内部に熱がこもりがちな小型PCケースで使用されることを想定して、品質が高いことを大前提として、機能が充実した製品が多く票を集めた。
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