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TeamsとHoloLens 2でリモート社会科見学。キリンビバレッジとJALが実施
2020年6月29日 06:15
日本マイクロソフトの「Microsoft Teams ライブイベント」と、Mixed Reality (複合現実)デバイス「HoloLens 2」を活用した「リモート社会科見学」が行なわれた。
キリンビバレッジと日本航空(JAL)が共同で開催した「おうちで工場見学を楽しもう!! リモート社会科見学」がそれだ。
両社では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、一般向けの工場見学を中止しているが、いまできることとして、自宅にいながら、家族が一緒に楽しく学べる「リモート社会科見学」を共同で開催することを企画。そこに、日本マイクロソフトが技術協力を行なった。
参加費は無料。いずれも約45分間の内容となっており、参加者はPCやスマートフォンを使用して、Teams上から参加した。
事前登録は不要としており、合計で1万人以上が参加。米国や台湾といった海外からの参加者のほか、入院中の病室からの参加者もいたという。これもリモートならではの成果と言える。
工場見学の映像や見学者目線の映像を、リアルタイムで配信。工場にいる見学者役がHoloLens 2を装着して見学コースを歩く様子を、Teamsを通じて表示することで、臨場感がある工場見学を実現した。
キリンビバレッジは午後の紅茶の製造現場を見学
キリンビバレッジとJALでは、「普段、直接来場できない全国各地の未就学児を含む子供や、家族にも参加してもらえる見学会になる。また、最新技術の活用により双方向でリアルな工場見学を体験することも可能にした。最新技術によって、『自宅で楽しく学べる工場見学』という新たな体験価値を提供することで、両社の活動を広く紹介し、子ども達の明るい未来を創造し、こころ豊かな社会の実現に貢献したい」としている。
TeamsおよびHoloLens 2を、工場見学に利用するのは今回がはじめてとなる。
6月27日午後1時から行なわれたキリンビバレッジのリモート社会科見学は、同社湘南工場から配信。「キリン 午後の紅茶」ができるまでの様子を紹介した。
湘南工場では、240人の従業員が交代で、24時間体制で稼働。40種類の飲み物を、年間10億本も生産。並べると地球5周分になる。
見学では、工場の様子を知ったり、用意されたクイズに答えることができる「見学ノート」を参加者に配信。それを見ながら、ペットボトルをつくる「ブロー成形機」や、一度に25,000本分の紅茶が作れるニーダーでお湯を沸かし、茶葉を入れる様子のほか、1分間に600本の無菌充填を行なう「無菌室」、コンベアで午後の紅茶が運ばれる様子、ペットボトルにラベルを密着させる「蒸気トンネル」の工程などを紹介した。
ここでは、HoloLens 2を活用して、生産工程とともに、画面上に説明者が表示されて、生解説を行なった。
「現地の工場で、HoloLens 2を装着した担当者が見ている映像を届けることで、あたかも現地で工場見学に参加しているかのような体験を可能にした」という。
また、Teamsのチャットボックスに寄せられた質問に応えたほか、リモートで参加者と結びながら、「午後の紅茶」で乾杯するといったことも行なわれた。
JALは期待の整備が見学可能
一方、6月28日午後1時から行なわれたJALのリモート社会科見学は、羽田整備工場から中継。格納庫に駐機している本物の機体を使い、整備の仕事などを説明した。ここでは、HoloLens2を装着した整備士が、整備中の航空機の間近に寄って説明。普段の見学会では近寄ることができない場所から航空機を見ることができたのも、リモート見学ならではのものだったといえるだろう。
ただ、残念ながら、格納庫の電波状況が悪いということもあり、直前に撮影したHoloLens2の映像を組み合わせて紹介する格好となった。
見学に使用した第2格納庫は、195×105×41m(幅×奥行き×高さ)の規模で、最大で5機を格納できるという。
今回のリモート社会科見学のタイミングで整備していたのが、JALが2019年9月から導入を開始した最新機「エアバス A350」。66.8mの長さがあり、369席の規模を誇る。現在、JALでは6機のA350を導入しており、今回は3号機が整備中だった。
JALでは、チャットボックスに寄せられた質問にも回答。パイロットが使用しているフライトシミュレータの映像も公開された。
日本マイクロソフト、今後もTeamsやHoloLens 2での社会見学実施企業をサポート
今回のリモート社会科見学について、日本マイクロソフトは、「お互いに異業種連携によるミレニアル世代の働き方改革推進コミュニティ『MINDS』の参画企業である縁もあって技術支援をする機会を得た。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、工場見学を休止している両社が、いまできることを模索しており、そこに協力することができた」とした。
また、「HoloLens 2を活用したライブ映像を、工場や格納庫から配信するのは、はじめての取り組みであったが、海外を含む遠隔地からでも気軽に参加したり、現地では見学できない場所まで見ることができるなど、社会科見学の新しい形を紹介でき、うれしく思う。今後も、最新技術を駆使して、これまでにない新しい体験を提供していきたい」とコメントしている。
同社では、TeamsやHoloLens 2を活用した工場見学を実施したい企業があれば、技術支援などを検討していく姿勢をみせている。