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豊富なラインナップで多様な業務をサポートするデルの法人向けPC
~Latitude、Vostro、OptiPlex新製品でテレワーク促進/支援
2020年5月29日 18:20
デル株式会社は5月29日、法人向けにノート/デスクトップPCの新製品を発表した。
今回発表されたのは「Latitude」シリーズ、「Vostro」シリーズ、「OptiPlex」シリーズの新製品。それぞれの詳細については関連記事(デル、30時間駆動で1.4kgの15型ノート「Latitude 9510」、デル、Core i9-10900Kを搭載可能なデスクトップPCなど、デル、Ice Lake/Comet Lake採用13.3~15.6型ノートと薄型デスクトップ)を参照されたい。本記事では同日開催された製品発表会の模様をお届けする。
2020年1~3月期ではワークステーション部門が国内シェア1位など好調
はじめに、同社 常務執行役員 クライアント・ソリューションズ統括本部長 山田千代子氏から、同社の法人向けクライアントソリューションに関するアップデートについて説明が行なわれた。
2019年は、Windows 7のサポート終了による需要増により、ブランド別法人向けPC出荷台数で2位、前年度比で2倍の出荷を達成。CPUが供給不足となるなか、同社の持つグローバルサプライチェーンの強みを活かし、継続的に納品が行なえたという。品不足をきっかけに取引がはじまった企業もあり、継続して利用してもらえるケースもあった。
2020年の1月~3月期では新型コロナウイルス感染症の影響で、法人向けPC市場は前年比で10.9%のマイナス成長となったが、同社としては国内の法人向けシェア2位、ワークステーション部門では1位を獲得。とくにモバイルワークステーションでは、46.2%のシェアを獲得した。これまで企業や学校などでデスクトップ型のワークステーションを利用していたユーザーが、テレワーク化にあわせてモバイル型の導入を進めた影響などがあるという。
ディスプレイについても、グローバルで1位、国内市場でも2位となっており、こちらもテレワークによる需要が高いという。
同社では、昨年(2019年)末時点ですでに65%の社員が何からのかたちでオフィス外からの業務が行なえる体制を整えており、2月末から90%が在宅勤務に移行した。今後は、自社の取り組みで得られた情報や知見などを活かし、テレワークを導入したい企業に対する提案も行なっていくという。
また、GIGAスクール構想についても、オンライン授業が急速に求められている現状で重要度が増しているという。同社ではOSにChromebookまたはWindowsを採用したGIGAスクール向けの製品ラインナップを展開済み。2種類のOSを用意することで、自治体や学校の方針にあわせた製品が提供できるとする。加えて、米国市場における教育向け製品の知見を活かした製品づくりや提案も可能だとした。
他社の法人向けラインナップが減少傾向にある一方で、デルでは多くの製品ラインナップを展開。さまざまな用途にあわせた適切な製品が提供でき、PC本体からディスプレイや周辺機器までまとめて提供できるのも強みだとした。
新たに最上位の9000シリーズが追加されたLatitudeシリーズ
次に、クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品本部 フィールドマーケティング シニアアドバイザー 吉田将信氏から、Latitudeシリーズの製品紹介が行なわれた。
同社では新モデルのLatitudeを含むモバイルノートPC製品で、マシンラーニングを活用した「Dell Optimizer」を標準搭載した。ユーザーの使用パターンにあわせた処理能力/充電の高速化や、近接センサーによるユーザー検出を活用したセキュリティ機能の向上、ノイズ抑制など音声周りの最適化などを行なう機能となっている。
Latitudeシリーズとしては、Chrome OS搭載製品、必要な機能を搭載しながら価格を抑えた3000シリーズ、Latitudeでもっとも機種の多い5000シリーズ、モバイル性能が特徴的なプレミアムブランドの7000シリーズを展開してきた。アップデートされた点としては、上述のDell Optimizerや一部機種でのeSIMのサポートなどが挙げられるが、大きな変更点として、今回から新たにウルトラプレミアムブランドの「Latitude 9000」シリーズが追加されたこと。これは新たにフラグシップモデルに相当する製品となっている。
なかでも「Latitude 9510」については、15型液晶を搭載するノートPCでありながら、4面狭額縁デザインを採用し、14型サイズに抑えることで最小1.4kgの軽量筐体を実現。加えて「アダプティブ・サーマル・パフォーマンス(ATP)」と「スーパー・ローパワー(SLP)ディスプレイ」を組みあわせ、最大30時間のバッテリ駆動を可能とした。1時間で最大80%まで充電可能な「Express Charge」にも対応する。
CNC加工のアルミ筐体を採用し、表面にはヘアライン加工、エッジ部分にはダイヤモンドカットを施した。クラムシェル型とコンバーチブル2in1型が選択できるのも特徴となっている。
キーボードの左右にスピーカーを内蔵するほか、4つのマイクを内蔵し、ビデオ会議などの品質向上が図られている。そのほか、顔認証機能や近接センサーを利用したタッチレスログインや自動ロック、ディスプレイ部の開閉による電源オン/オフ機能なども備える。
複数のタイプを展開し、さまざまな業種に対応するOptiPlexシリーズ
続いて、クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品本部 フィールドマーケティング シニアアドバイザー 青柳浩昭氏から、OptiPlexデスクトップPC製品の製品紹介が行なわれた。
OptiPlexシリーズでは、オールインワン(液晶一体型)、スモールフォームファクター、マイクロデスクトップ、タワー、ゼロフットプリントモジュラーと、さまざまなタイプのPCを展開。多様な業務形態をサポートする。今回、エッセンシャルブランドの3000シリーズではオールインワンモデル、メインストリームブランドの5000シリーズおよびプレミアムブランドの7000シリーズではゼロフットプリントモジュラー以外のモデルから、それぞれ新製品が発売された。
デスクトップ型の製品については、ケース前面の通気性を向上し冷却性能を引き上げた。前面パネル部に取りつけられる専用ダストフィルターや背面のケーブル部分をカバーする専用カバーも用意。ケーブルの整理やポートの保護を簡単に行なえる。OptiPlex 7080 MT Plus向けのケースでは、上部の拡張スロットがモジュール化されており、必要に応じてカスタムが可能となっている。
オールインワン型の製品では、本体上部にポップアップ式のWebカメラを装備。顔認証オプションにも対応する。
固定型/変形型/高さ・チルト調整型の3種類のスタンドが選択でき、クイックリリースボタンを使ってツールレスで容易に脱着が可能。スタンド下方にケーブルをまとめられる穴が用意されるほか、PC背面のインターフェイス部分を覆うケーブルカバーも用意。ケーブルの取り回しだけでなく、外部から触れないようにするセキュリティ用途でも機能する。
関連周辺機器として、液晶ディスプレイも取り扱っており、会議用の大型ディスプレイでは、OptiPlex Microが背面に装着できる製品も用意している。
Ice Lakeやプライバシーシャッターなどに対応したVostroシリーズ
さらに、コンシューマー&スモールビジネス営業統括本部 マーチャンダイジング コンサルタント 合田大輔氏から、Vostroシリーズについての製品紹介が行なわれた。
Vostroシリーズは、中小企業などでの利用を想定した製品シリーズ。ノートPC製品としては、5000シリーズから13.3型/14型/15.6型ノートPCを1機種ずつ、7000シリーズからは15.6型ノートPC 1機種をそれぞれ発表した。
4機種ともに、薄型・軽量で、ビジネスの生産性を向上させるツールを目指して開発が進められたという。Ice Lake世代のCPUが選択可能となったほか、米国国防総省の定めるMIL規格の試験をクリアする高い耐久性、1時間で80%の充電を実現するExpress Chargeなどが特徴となっている。
加えて、Webカメラを物理的に塞げるプライバシーシャッターを新たに装備。TPM 2.0を標準搭載するほか、オプションで指紋認証センサーなども利用でき、セキュリティ機能の強化が図られている。
また、5000シリーズでは、ビンテージグレー、デューン、ダスティローズの3種類のカラーバリエーションも用意。Vostro 5501では3種類すべて、Vostro 5401ではビンテージグレ、Vostro 5300ではデューンがそれぞれ選択できる。
デスクトップPC製品としては、3000シリーズからデスクトップ/スモールデスクトップからそれぞれ新製品を発表。前者の場合で幅が6mm、奥行きが3.6mm、高さが50mmそれぞれ短くなり、16%の小型化が図られた。USBポートも拡張され、前面部で2基から4基に増加したほか、セキュリティ面ではハードウェアTPM 2.0が標準で搭載される。
ソフトフォンの導入でコールセンターや営業部門もテレワークに移行
最後に、クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品本部 フィールドマーケティング コンサルタント 佐々木邦彦氏から、デルのテレワークに関する取り組みについて紹介があった。
同社では上述のとおり、以前からテレワークが実施可能な体制を整えており、全体の90%がテレワークに移行したが、一方でオンサイトでの業務が必須となる部門も存在している。このような部門では、1日数回の職場清掃の導入や消毒液の提供、検温を実施。製造サイトでは修理や更新が必要なときのみ社員を派遣、データセンターではソーシャルディスタンスを確保しつつ業務を継続するなど、対策を進めてきた。
在宅勤務に移行した社員については、ノートPCを使用していなかった社員についてはPCを配布。コールセンターや内勤/外勤、営業部門などでは、業務で使用している電話番号がPC上で発着信できるようソフトフォンを提供し、これらを含む全体の90%がテレワークに移行した。あわせて、VMWareのWorkspace ONEを拡大展開し、社員の持つデバイスから全てのアプリケーションに安全にアクセスできるようにするだけでなく、PCを社員に出荷し、職種などにあわせて必要なツールを自動で導入するといったことも可能となる。
会社としてのガイドラインやアドバイスも提供しており、フレックスタイムなどといった人事規定も活用するほか、チームミーティングやマネージャとの個別ミーティングなど、メンバー間のコミュニケーションを欠かさないことなどを挙げている。
同社では、Workspace ONEをはじめ、仮想デスクトップ/アプリのインフラやセキュリティ機能、クラウドなど、自社の持つサービスを活用してテレワークを実施しており、これらのソリューションは他企業におけるテレワークの課題解決にも応用できるとしている。
また、テレワークの導入を支援する取り組みとして、3月より「“テレワーク・デイ”パッケージ」の販売を開始。PC本体とヘッドセットやマウスなど周辺機器、各種サービスなどをセットで提供するもので、今回の新製品発表にあわせて、この“テレワーク・デイ”パッケージのリニューアルも実施される。
そのほか、オンライン販売モデルとして「テレワーク応援パッケージ」も提供予定。こちらはPC本体とヘッドセットなどの周辺機器、Office Home and Business 2019がセットになったもので、6月2日より販売が開始される。
同社では、PCだけでなくディスプレイやマウスといった周辺機器も含めて、テレワークの生産性を向上させる製品を提供していくとし、環境構築をサポートしていくという。