インテル・江田本部長、「PCはいまこそ買い換え時期」
~Windows 7の買い控えはいまのところない

インテル マーケティング本部・江田麻季子本部長

4月14日 発表



 インテル株式会社は14日、国内PC市場の活性化に向けた、同社の取り組みに関するマーケティング施策を発表した。インテルのマーケティング本部・江田麻季子本部長は、「いまこそ、最新のPCに買い換える時期。それをデータを交えながら訴求していきたい」とした。

 年内には、マイクロソフトの次期OSであるWindows 7が発売されることで、PC市場では、発売前までの買い控えが懸念されている。インテルでは、「PCメーカーとの協力によって、買い控えを抑えていくための施策に取り組む必要がある」(江田本部長)として、今後、プロモーション活動を積極化していく姿勢を示した。

 江田本部長は、「PCは生活の一部として定着し、PCがなければ社会生活が成り立たないという状況にある。現在の不況下でも、家庭ではPCが使われており、実際、国内のPC販売台数は、昨年(2008年)よりも多い。一方で、デジタル一眼レフカメラの普及により、高画質/大サイズの大量の画像データを扱う環境や、iPodやYouTubeをはじめとする大量の音楽データ、動画データを扱う環境が求められている。また、HD再生やBlu-ray視聴などといった負荷の高い処理も必要になっている。ユーザーが意識しないうちに、自然とPCに高性能が求められている」と、PCユーザーが置かれている現状を示す。

 その上で、「いまこそ、最新のPCに買い換える時期である」と訴える。

 例えば、ちょうど今年がPCの買い換えサイクルに当たる3~4年前のPCの場合、デジタルカメラの画像を転送したり、iPodの楽曲データを転送するのに多くの時間を要したり、HDコンテンツの再生でコマ落ちしたりといった状況が起こっている。

 「3~4年前のPCと現在のPCを比較すると、デスクトップPCではパフォーマンスが2.5倍以上、ノートPCでは最大2倍以上に向上している。また、軽量小型のデザインと長時間バッテリ駆動により、手軽にモバイル環境を実現できる。この3~4年で、PCは大幅な進化を遂げている」とした。

 インテルでは、具体的なデータとして、3~4年前のPCに搭載されていたPentium M 740と、最新のCore 2 Duoのパフォーマンス比較を公表。最新のPCでは、iPodに転送する楽曲のエンコード性能が約3倍に、携帯電話に転送するためのHDビデオの変換性能が約4倍に向上していることなどを示した。

 「数字を示すだけでなく、なるべく具体的な利用シーンの形として、最新PCのメリットをユーザーに訴求したいと考えている。現在、店頭で流している当社のプロモーションビデオでは、処理能力、将来性、省電力といった点からの訴求を行なっているが、処理能力では、デジタカメラからの転送速度の違い、将来性ではHDコンテンツの再生時の画像表現の違いなどを示し、身近な例から買い換えるメリットを訴求していく」(江田本部長)という。

 また、シニア層などを対象に、これからPCを購入するユーザーに対して、PC利用のメリット、生活が楽しくなることなどを具体的な事例を見せながら示していきたいとしている。

 一方で、ネットブックについては、「メインストリームのPCと、カテゴリが異なるPCであるというメッセージをしっかりと伝えていきたい。5万円で買えるPCということではなく、外出先でネットに接続したり、メールを見たりといった用途に適したものであり、メインPCのコンパニオンであることを明確にする。動画の再生などには適していないことを明確に示す」とした。

Centrino2のロゴシール

 インテルでは、2009年前半の取り組みとして、Centrinoで採用している鳥のキャラクターを使ったポップやTV CM、雑誌広告などのほか、「PC買い方読本」を用意して、店頭で配布するといった取り組みを行なう。

 「具体的なパフォーマンス数字を用いた店頭プロモーションは、現時点では具体的なプランはない。だが、店頭において、これまで以上の多くの人に対して、いま買い換えるメリットを訴求していくことは考えていきたい」としている。

 7月1日から本サービスが開始されるUQ WiMAXのサービスも、モバイルの世界を進化させ、買い換えを促進する提案の1つと捉え、積極的に訴求していく考えだ。

 「業界各社との連携により、PCの進化がもたらすメリットを、ユーザーに伝達したい。結果として、それがPCの需要喚起につながり、産業の発展につながると考えている」と語った。

 また、江田本部長は、「Windows 7に関する情報が全く無いため、現時点ではコメントできない」としながらも、「現時点ではWindows 7発売前の買い控えといった現象は感じられない。だが日本は、他の国に比べても新OS発売前の買い控え傾向が強いため、その買い控えを抑えたい。これに、どう対処するのかは、時期が来たらプランとしてお話ししたい」とし、今回の施策とは別に、Windows 7発売前のプロモーションおよび発売に向けた施策について検討していることを明らかにした。

 なお、インテルでは、4月から新たなロゴを採用したことについても言及し、「今後、PCメーカーから発売されるPCには、新しいロゴが貼付されることになる。これまでは縦長だったものを横長にし、めくれているように見える部分には、CPUのダイを施し、インテルがこうした製品(=CPUなど)を作っている会社であることをわかるようにした。また、インテルの文字だけでなく、Centrinoなどのブランドもわかりやすいように、従来に比べて大きくした」と、新ロゴの狙いを説明した。

(2009年 4月 15日)

[Reported by 大河原 克行]