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リコー、より正確なPCR検査を可能にするDNA標準プレート
~インクジェット技術活用、少ないDNA分子でもウイルスを正確に検出
2020年4月15日 13:29
株式会社リコーは、PCR検査の基準となる遺伝子検査用の標準物質として、DNA標準プレート「RICOH Standard DNA Series」を開発、販売開始する。
PCR検査はDNAを1分子レベルから増幅して検出できる高性能な遺伝子検査手法だが、実際には装置の精度管理が不十分、もしくは試薬の性能や品質が完全ではないといったことが原因で、極微量のDNAを検出できないことが発生。そのため、ウイルス性の診断に用いる場合、感染していてもウイルスが検出できない「偽陰性」が発生する。
また、PCR検査の感度(ウイルス感染を正しく陽性と判別できる割合)と特異度(非感染を正しく陰性と判別できる割合)が充分に検証されていないため正確な検出ができない問題や、検出限界以下の微量なウイルスしか採取できない場合に検出できない問題などが発生する。
そのため、検出限界や感度の検証や、検査装置および試薬の性能/品質を正確に測定して管理するためには、DNA分子の数が正確に規定され、検査の基準となる標準物質が必要となる。すでにいくつかの企業や研究機関から提供されているものの、それらのDNA分子数は高濃度なものであり、100分子以下の低濃度領域ではDNAの分子数にばらつきが生じるため、正確に測定できているのか判断することは困難だった。
今回リコーが提供するDNA標準プレートでは、独自のインクジェット方式を用いたバイオプリンティング技術を活用し、DNA分子を1分子単位で規定し、遺伝子検査用プレートやチューブのウェルに分注できる。このため低濃度領域でもDNA分子数のばらつきが発生せず、検査手法や検査装置、試薬などの精度/品質管理を厳密に行なえるようになるとしている。