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阪大、FPGAの実装密度を12倍向上させる「ビアスイッチ」を開発

開発したビアスイッチFPGAの実装密度向上と配線断面

 大阪大学 大学院情報科学研究科の研究グループは、従来より12倍高密度なFPGAチップの開発に成功した。

 FPGA(Field-Programmable Gate Array)は、ユーザーが論理回路を自由にプログラムできるチップであるため、近年開発が加速しているAIアプリケーションでの利用も進んでいる。一方で、プログラム機能の実現のため多くのトランジスタをチップ上に実装することから、高密度化や高性能化が難しかった。

 研究グループでは、プログラム機能用のトランジスタの代わりに「ビアスイッチ」と呼ばれる新たなナノデバイスを採用したFPGAを開発。これは、スイッチと不揮発メモリの機能を兼ね備えた「原子スイッチ」と、プログラム用の選択デバイス「バリスタ」で構成されるデバイスで、実装面積を小さくできる。

 今回開発したビアスイッチを利用したFPGAでは、従来のトランジスタを用いたものと比べて、実装密度が12倍向上し、さらにチップ上のトランジスタがすべて演算に利用できるようになるため、性能の向上にもつながった。

 加えて、AIアプリケーション向けのFPGAアーキテクチャを開発し、性能予測を実施したところ、従来のものと比べてエネルギー効率が5倍向上できることがわかり、線幅8nmのCMOSプロセスでチップを製造した場合では、11倍のエネルギー効率改善が期待できるという。

 同グループでは、ビアスイッチを利用した高密度化や高エネルギー効率化によって、より低価格で高性能なFPGAの実現が可能だとしている。