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産総研、ランプとLEDの長所を併せもつ新しい光源を開発
2020年1月24日 18:18
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)センシングシステム研究センターは22日、ランプとLEDの長所を併せもつ「紫外LED励起型超広帯域発光素子」を開発したと発表した。
今回発表されたものは、小型ハロゲンランプ(5Wランプの発光強度は100mW程度)をしのぐ200mW以上の明るさと1,000時間以上の長寿命性を併せもつもの。
紫外LEDと、そのLEDの光で励起され、さまざまな波長の光を発する複数の蛍光体とを組み合わせて超広帯域の発光を得る方式で、蛍光体を取り巻くバインダ材料や蛍光体層の物理的構造を改良することによって、実用製品に適用できる明るさと安定性(寿命)を実現した。
研究チームは、紫外LED励起型超広帯域発光素子の発光強度増強と長寿命化を達成するために、蛍光体を取り巻くバインダ材料と蛍光体層の改良に着目した。
これは、開発した発光素子では、蛍光体の励起に用いる紫外LEDの発光強度を増大させることがもっとも単純な発光強度を増大できるものだったが、それにともないバインダ材料や蛍光体自体の劣化を生じさせてしまい、強い発光と長期間の安定性を両立させにくくする障壁となっていた。
その問題を解消すべく、バインダについては、空気中の水分や酸素の侵入を防ぐこと(ガスバリアー性)、強紫外線照射によるバインダー自身の熱や光変性が少ないこと(熱/紫外線耐性)、強い紫外線で励起された蛍光体が発生する熱の放散を効果的に行なうこと(熱伝導性)などの点を考慮し、素材と構造の改変を行なった。
その結果、極めて強い紫外線照射によって発生する、バインダーと蛍光体の化学的・物理的変化を抑制できるものを開発できた。
素子はハロゲンランプに比較すると、省電力であり、熱線(中/遠赤外線)の発生もなく、小型で、耐衝撃性も高く、パルス点灯ができるなど、さまざまな優れた特性がある。
開発チームは、パーソナルヘルスケアなどの超小型計測器や果実の糖度を非破壊で計測する機器といったた分析機器用途などでの活用を期待している。