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中央大ら、人間のように柔軟な関節モジュール

開発された関節モジュール

 中央大学および国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構は、人間のようにやわらかな動きが再現できる関節モジュールを開発した。

 少子高齢化や労働力不足などへの対策として、人間と近い場所で働くロボットが求められている。一方で、モーターと減速機を使った従来のロボット駆動では、物体に衝突したときに停止できず、人間の近くで使用するさいに危険があった。

人間の関節(左)と開発したモジュール(右)の構造

 そこで研究グループでは、人間の関節が柔軟で軽量な筋肉の拮抗配置によって駆動している点に着目し、関節モジュールの開発を行なった。

モジュールの内部

 開発された関節モジュールは、関節の角度、トルク、弾性を空気圧で制御する「空気圧人工筋肉」と、粘性を制御するMR流体(磁気粘性流体)ブレーキの2つの部品でおもに構成される。前者は空気圧の変化、後者は磁気によって形成される粒子の鎖(クラスタ構造)の抵抗力(せん断応力)で駆動するのもので、ハードウェアの特性を直接変化させるため、モーター駆動制御のものと比べて安定性や応答性に優れる。

MR流体ブレーキの仕組み

 実際のモジュールでは、前者は空気圧源に液化ガスを用いて、後者は内部ディスクの多層化によって、軽量化や性能向上が図られており、全体で4kg程度と軽量なものとなっている。また、必要な空気圧源や電源を関節モジュール内に配置することでオフライン駆動も可能となる。

 今回開発したモジュールは、同グループが開発している人体アシスト装置「可変粘弾性下肢アシスト装具Airsist」シリーズへ搭載される。

開発されたAirsist I