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日本マイクロソフト、2020年に国内クラウドベンダー首位獲得を目指す

日本マイクロソフト株式会社 代表取締役社長 平野拓也氏

 日本マイクロソフト株式会社は20日、同社2020会計年度における経営方針記者会見を開催した。

 会見には日本マイクロソフト株式会社 代表取締役社長の平野拓也氏らが登壇。平野氏は、8月31日をもって約4年間務めた同役職を終え、日本法人を離れ米国本社へ異動し、パートナー担当のグローバルSI バイスプレジデントへ就任する。

 平野氏は、グローバルでの2019年は、年間売上高で過去最高となる前年比14%増の1,258億ドルを達成し、そのうち381億ドルをコマーシャルクラウド領域で占めるなど、クラウド分野で大きく成長を遂げ、世界最大のクラウドベンダーになったとアピール。第4四半期ではAzure、Office 365、Dynamics 365で前年同期比31~64%の増収であったとした。

 そのうえで、日本でもクラウドは大きく成長しており、具体的な数字の言及は避けたが、Azure/Office 365/Dynamics 365でそれぞれグローバルの成長を超える成長を記録したと明かした。また同氏が代表取締役に就任してからの4年間で、日本マイクロソフトは売上高がおよそ2倍に成長したと述べ、働き方改革の推進や、Azureの新規顧客が4倍に増えるなど、市場の需要と同社の提供するソリューションの合致によってその成長が得られたとした。

グローバル業績
日本での成長

 国内企業においては、以前のITはインフラ扱いで「仕方なく」投資するコスト要因として捉えられていたが、現在は経営陣もITが重要な経営課題であると認識が変化しており、さまざまな業種で「インダストリーイノベーション」が起きていると説明。

 同社はデジタルトランスフォーメーションを推進している企業だが、平野氏は、日本マイクロソフト自身もデジタルトランスフォーメーションを図っている一企業でもあると述べ、取り組みとして週勤4日で働く「ワークライフチョイスチャレンジ」に言及。スタートアップとの関わりあいを深めたり、自宅の掃除に時間を割いたという声、今まで5日でやっていた業務を4日で処理するのは大変といった社員の声を紹介し、結果が楽しみであると語った。

 なお、同社ではこの4年で社員の年間平均労働時間を80時間削減、すなわち10日分に相当する時間の削減に成功したという。

 平野氏は、デジタルトランスフォーメーションで企業側に求められる要素について、10年前とは世界が変わっていることを認識したうえで、明確なビジネスビジョンを持っているか、「変わらなくてはいけない」、「もっと利益を上げなくてはいけない」という観念だけでなく、新たな成長ビジネス領域を明確に持ち、独自のビジネスチャンスを開拓すること、人材の育成と会社の文化の変革、会社トップ層の決意と推し進める力を持って、企業の俊敏性と決断力を高めることがチャレンジになると語った。

2019年度の実績
デジタルトランスフォーメーションにおける顧客側のチャレンジ

 2020年度における同社の注力分野は、以前から同社の掲げてきたインダストリー/ワークスタイル/ライフスタイルの3つのイノベーション推進を継続するとともに、「信頼されるパートナー」として、業種業態に最適な支援、モダナイゼーション(ITインフラの最新化)の加速、クラウド&AI人材の育成を通じて、「デジタルフィードバックループ」を重視するとした。

 業種業態に最適な支援の推進については、すでに流通業界向けに実績のある、リファレンスアーキテクチャの業界展開を他業種にも展開。AzureベースのAIやIoT、複合現実などを活用し、顧客のシステム構築の手間を省けるフレームワークの提供、デジタルアーキテクトやエンジニアが短期間でプロトタイプ化し、ビジネス機会の検証を進めるといったものを紹介した。

 同社 執行役員常務 エンタープライズ事業本部長のヘニー・ローブシャー氏は、米フォードは自動車メーカーが、そのほかのエンジニアよりも多い6,500名のソフトウェアエンジニアを抱えていることを紹介し、日本の企業も近いうちにそういった技術集約型の時代を迎えるだろうと述べ、日本マイクロソフトではそういった新たなビジネスに即した技術を提供するとした。

 公共分野においては、同社執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏が、日本政府が「クラウド・バイ・デフォルト原則」を打ち出すなどの動きがあり、米Microsoft本社の部門と連携し、欧米のみならず北欧やアジア諸国まで、政府機関のデジタル変革が進んでいる世界各国ではどういった取り組みを政府と行なってきたかを調査し、中央官庁自治体向けのシステム変革に取り組んでいることを明かし、9月中に全容を発表する予定であるとした。

同社 執行役員常務 エンタープライズ事業本部長 ヘニー・ローブシャー氏
同社執行役員常務 パブリックセクター事業本部長 佐藤知成氏
3つのイノベーション
デジタルフィードバックループ
業種業態に最適な支援
エンタープライズ分野の注力業界
公共分野の注力業界

 平野氏は、IT環境の最適化は「2025年の崖」からの脱却に必須であり、システムの複雑化やブラックボックス化が変革を阻害していると述べ、失敗すれば日本全体で12兆円の経済損失になるとの予測もあると紹介した。

 クラウド&AI人材の育成については、同社執行役員 プロフェッショナルスキル開発本部長の伊藤かつら氏を新設するチーフラーニングオフィサーに任命し、デジタルトランスフォーメーションを推進する人材の育成を行なうとした。

 伊東氏は、まず企業はクラウドの可能性を知ること、そしてビジネスに取り入れることが必要で、セキュリティなどの正しい知識など、クラウド時代の顧客のスキル開発にまず焦点をあてていくとした。日本マイクロソフトでは、正社員としてAzureテクニカルトレーナーを雇用し、そういったトレーナーによる講義などを無償または大幅に割引きのうえで顧客に提供することで技術力を高めてもらうという。

 日本マイクロソフトの社員についても、技術スキルを高めることを目的に、学習のための時間として「ラーニングデー」を設け、月平均8時間以上を割り当てるほか、管理職のためのコーチングなども行なっていくとした。

 最後に平野氏は、氏が代表取締役に就任した4年前は、国内クラウドベンダーとして5位だったが、2019年6月時点では第2位にまで成長してきたと述べ、2020年は、日本のクラウドベンダー首位獲得を目指すとアピールし、日本社会に少しでも貢献できる企業になっていくとした。

同社執行役員 プロフェッショナルスキル開発本部長 伊藤かつら氏
モダナイゼーションの加速
クラウド&AI人材の育成
2020年は日本のクラウドベンダー首位を目指す
経営執行チーム