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産総研、着るだけで心電図計測ができるスマートウエアを開発
2019年6月10日 19:31
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)は10日、名古屋大学大学院学院医学系研究科と共同で、着るだけで医療機器レベルの心電図を計測できるスマートウエアを開発したと発表した。
近年、着るだけで心電図が計測できるドライ電極を形成したウエアが開発されており、在宅での心疾患スクリーニングや経過観察などへの応用が期待されている。
しかし、現在製品化されているウエアは、心電図のピーク検知による心拍数計測がおもであり、医療的に意義のある波形形状の心電図の取得は困難であった。これは皮膚とドライ電極間の接触が不安定なため、呼吸や会話などによる体の動きによって、容易に心電図の波形にモーションアーティファクト(MA)と呼ばれる波形の乱れが生じることが原因という。
今回産総研が発表したウエアは、静電植毛技術を用いて作製した銀メッキを施した短繊維(長さ500μm、直径17~18μm)のドライ電極と皮膚ファントムと人体の動きを再現できるアクチュエーターによって体の動きを模擬してMAを定量的に評価する独自開発のMA評価装置を使用。皮膚と起毛ドライ電極間の接触圧力が1000Pa以上の場合、安定した心電図計測が可能という指標を得た。これにより、MAの小さな心電図を取得できるスマートウエアを実現させた。
今後は、今回開発した起毛ドライ電極ウエアの皮膚安全性試験や電気安全性試験などを実施し、医療機器としての認可取得を目指すという。さらに心電図以外にも、筋電図、脳波、体内インピーダンス計測などにも応用できるため、バイタルサイン計測を行うスマートウエアへ幅広く展開する予定もあるという。