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インテル、第2世代Xeon SPやOptane DC パーシステント・メモリーを国内でも展開
2019年4月9日 13:22
インテル株式会社は9日、米国で4月2日(現地時間)に発表されたデータセンター向けソリューションを、日本国内向けにも提供開始した。発表にあわせて都内で記者会見を開催し、同社 代表取締役社長の鈴木国正氏が、製品投入の背景について語った。
米国などと比較してデジタルトランスフォーメーションが遅れていると指摘されている日本だが、2022年までにデータ通信量が30%以上増加するというCiscoの予測があり、これは世界平均を上回る。この背景には立ち上がりの遅さがあるわけだが、逆に国内でそうしたビッグデータを処理するニーズが今後増えていき、ビジネスチャンスが増加することを踏まえ、日本でも改めて発表会を開催し、具体的に説明する場を用意した。
増加するビッグデータのなかで、インテルの注力分野は5G、AIや機械学習、IoTなどによるエッジ側での処理、自動車の自立運転などが挙げられるが、今回米国で発表されたデータセンター向けの新しいポートフォリオは、まさに今までの不足を補完し、カバー範囲を広げたものとなっている。
具体的な製品群については、Intel本社から来日した副社長 兼 データセンター事業本部 クラウド・プラットフォーム&テクノロジー事業部 事業部長のジェイソンL・グリーブ氏が解説した。
同氏によれば、これまではGoogle、Amazon、Facebookなどが代表するような、ビッグデータをすでに所有している大企業だけが、こうしたビッグデータを活用できたが、今後はエッジで処理されるビッグデータが増加していくにつれ、中小企業もこうしたビッグデータを活用できるようになるという。そのため、コンピューティングに必要な性能は年間50%増加するという。
また、こうしたデータの処理だけでなく、高速なデータの移動や、大容量データの保存と処理も必要になってくるとし、そうしたニーズに応えるのが今回の発表であり、幅広いポートフォリオで対応していくとした。
まずは、第2世代Xeon スケーラブル・プロセッサ(以下:Xeon SP)の投入。50を超える標準SKUに加え、特定企業向けの専用SKUも数十種類用意しているほか、ソケットあたりのコア数は最大で56基、メモリ容量はOptane DC パーシステント・メモリーを組み合わせることで4.5TB、そしてソケット数も1/2/8基と、多くのラインナップで幅広いニーズに応えられるとした。
そのなかでフラグシップを担うXeon Platinum 9200シリーズは、最大56コアと12チャネルのDDR4メモリをサポート。ほかのメインストリーム向け製品も、前世代と比較して3割の性能向上を図ったとし、「この5年間でもっとも高い性能向上幅を実現した」とアピールした。
増加するAIニーズに応えられるよう、深層学習向け命令「DL Boost」を新たにサポート。最適化前の2年前のXeon Platinum 8100との比較ではじつに14倍性能向上を達成したという。さらに、ネットワーク特有のニーズに最適化した「Speed Selectテクノロジー」により、さらなる高速化を実現したとしている。
ビッグデータを高速で処理するため、インメモリデータベースなどのニーズも上がってきているが、これはOptane DC パーシステント・メモリーによってボトルネックを解消する。8ソケットシステムでは最大36TBのメモリ容量を実現し、データベース処理の世界新記録を樹立したとともに、VMインスタンスの増加も達成できるとした。
また、ストレージの転送速度のボトルネックを解消するとともに大容量化が図れる「Optane SSD DC D4800X」シリーズと、ルーラーと呼ばれる新しい規格に準拠したSSD「D5-P4326」により、1Uあたり1PBという大容量を実現。特定のワークロード向けには「Agilex FPGA」で対応。消費電力やスペースが限られるエッジデバイス向けには「Xeon D-1600」を用意し、データ移動の高速化のために、「Ethernetアダプター 800」シリーズを投入するとした。
グリーブ氏によると、IDCの調査で5年以上使われているサーバーがいまだ900万台以上存在することがわかっているのだという。この置き換えには9,000億ドルのビジネスチャンスがあるほか、導入した企業も性能向上とコスト低減、セキュリティの確保といった効果がもたらせるとし、日本でもこうした置き換えを促進していく意向を示した。