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日本科学未来館、「企画展『工事中!』~立ち入り禁止!?重機の現場~」を開催
~公式サポーターはANZEN漫才
2019年2月7日 18:47
日本科学未来館で、「企画展 『工事中! 』~立ち入り禁止!?重機の現場~」が2019年2月8日(金)~5月19日(日)、行なわれる。主催は日本科学未来館、読売新聞社、フジテレビジョン、BS日テレ。トピー工業とアクティオが協賛し、キャタピラージャパン・日本キャタピラー・東京レンタル、住友重機械建機クレーン、タグチ工業、日立建機、古河ユニックが協力、東京臨海高速鉄道が後援している。
入場料は、大人(19歳以上)が1,600円、中人(小学生~18歳):1,000円、小人(3歳~小学生未満):500円、2歳以下は無料。
整地、建設、解体といった工事現場の工程ごとに、最新のブルドーザなどの実機(全10機)、大型クレーンの運転席や解体現場で活躍する油圧ショベルのパーツなど、迫力ある重機を間近に観察しながら、工事現場の世界を体感できる。また、炭素繊維など、新しい素材を取り入れた技術開発も紹介する。この記事では、2月7日に行なわれた内覧会の模様をレポートする。
プロローグ+4章構成で重機の世界を紹介
今回の展示のために日本科学未来館では、1枚800kgの鉄板を約400枚敷いて展覧会場や搬入経路の床の強度を上げた。
展示は、日立建機の「四脚クローラ方式双腕型コンセプトマシン」と、人類誕生からこれまでの土木技術の営みを絵巻調のイラストで紹介する「プロローグ:「地球」工事中!―文明を築く技術」から始まる。そして、ブルドーザやホイールローダの実機展示の「第1章:「大地」工事中!―世界を拓く重機たち」へと続く。ここではシールドマシンなどトンネル技術、「ボスポラス海峡横断鉄道トンネル建設工事」も紹介されている。
「第2章:「都市」工事中! 建物、街、生活をつくる」は街中の大規模工事現場の様子を紹介するエリア。油圧ショベルが3機、大型クレーンの運転席やフックなどが展示されている。2020年東京オリンピックに向けて建設中の「新国立競技場」の建設の様子も映像や写真で紹介されている。
「第3章:「都市」再・工事中!―解体の美学」は街中で行われる解体工事について紹介するエリア。タグチ工業の鉄骨・鉄筋コンクリートカッター「ガジラDSカッター」など、解体現場で活躍する油圧ショベル用のアタッチメントが紹介されている。実際に間近でみると迫力抜群の大きさだ。
「第4章:「未来」工事中?―これからもくらしを支えるために」は重機をとりまく技術革新や未来の工事現場を紹介するエリア。ICT(情報通信技術)やロボット技術、炭素繊維などを取り入れた新しい重機の世界が紹介されている。古河ユニック「UR-W295CBRミニ・クローラクレーン」のような、アニメのロボットを連想させるような重機も展示されている。
このほか、ミニ油圧ショベルとミニホイールローダの実機に乗車し、記念撮影を行える体験コーナースポットや、タカラトミーの「トミカ」重機コレクションも展示されている。シアターでは重機が活躍する現場や人々の様子を体感できる。
土木・建築は人間らしい暮らしを整える仕事、重機は人を助ける機械
日本科学未来館 展示企画開発課 課長の内田まほろ氏は、はじめに「今日を迎えられてほっとしている。企画を考え始めて3年くらい経ったが、一般の方にも面白いと思ってもらえるかどうか、不安があった。きっと楽しんでもらえるものになったと考えている」と述べた。
当たり前にあるものだと考えられているものの背景にも各種技術があることを知ってもらいたいと考え、土木・建築技術に関する展覧会を企画したという。「ふだんは地面の下や壁のなかにあり、なかなか見ることができない部分に光をあてて、ふだん見ることがない世界を、マニアや子供達だけではない人たちにも親しみと興味をもってもらいたい」と語った。
そして「スター選手の重機」が大集合しているので、その姿をまじまじと見てもらい、サイズ感や重量感を実感してもらいたいと述べ、「工事とはまさに未来を作っていくこと。インフラがどのような技術で作られているのか興味を持ってもらい、どういう未来を作っていくのか考えてもらうきっかけになれば」と語った。
企画展「工事中!」の監修を務めた京都大学大学院工学研究科教授の高橋良和氏は、今回の企画趣旨について「あくまで重機は人の助けをしているものだということを感じてもらいたいと考えて構成した」と述べた。大規模なモノを作るなかで、人がそこに関与していることに考えが及びづらくなっているが、実際には、人間が人間らしい暮らしをするために整えていく仕事が土木・建築であり、そこに対して人の身体だけではできない仕事を行なえるようにするものが重機だと述べた。そして、あくまで人間がやろうとすることをサポートするものが重機なのだと強調した。
高橋氏は、ふだん学生たちには「土木が文明を作り、建築が文化を作る」と伝えているという。文明的生活を整えて、余裕ができた上で、文化的な生活ができるようになる。そこが土木・建築のフィールドだ。では成熟した国・都市では、土木・建築は何をすればいいのか。以前のようにものを作ればいいだけではなく、すでに人が住んでいる街を新陳代謝していくことが大きなテーマとなっている。
今回も「作る」だけではなく「作り変える」、人が住んでいるなかで「いかに作り変えていくか」についても、こだわりとして入れたという。「作る」だけではなく「破壊する」のも重機の仕事だが、壊し方も昔と今では大きく変わっている。人が周囲に住んでいるからだ。気づかないあいだに作り変えられているという状態が土木の目指しているところだという。
そして、あくまで裏方として、自分たちの暮らしが文明的だと気づかずに暮らせるようにすることが土木の目標であり、「変わり続け方自体も変化していっているところにも着目してもらいたい。建設という仕事のスケールを感じてもらいたいし、大きなものを操るのはあくまで人間だと気づいてもらいたい。また一見、地上に大きなものがあっても、その背後には細やかな配管などが繋がっているので、大きいだけではない、細かいところにも着目してほしい。押し付けがましくなく、自然に新陳代謝していく建築の魅力を感じ取ってもらいたい」と述べ、「ぜひ我々の熱量を感じてもらいたい」と締めくくった。