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ゲーマーは奇抜さなど求めない。“ミニマリズム”追求のレノボ新Legionシリーズ
~ベネット社長とドンパチする権利をやろう的な催しも
2018年11月27日 18:35
レノボ・ジャパン株式会社は11月27日、ゲーミングPCブランド“Legion(レギオン)”シリーズの新モデルとして、タワー型PC「Legion T730」および、キューブ型PC「Legion C730」を発表した。11月30日より直販サイトで販売を開始する。
PCのスペックや価格などについては既報の記事(レノボ、Core i9-9900KとRTX 2080を搭載したゲーミングPC)を参照されたい。ここでは当日に東京の秋葉原で開催された発表会と、今回のLegion T730をかけたメディア対抗ゲーム大会の内容をお伝えする。
ゲーマーであることを自負するデビット・ベネット社長
レノボ・ジャパンの代表 取締役社長であるデビット・ベネット(David Bennett)氏は、自身もPCゲーマーであることを語り、休日などは子どもたちと一緒にゲームで遊び、FPSが得意な息子からダメ出しされるなど、楽しい時間を過ごしているという。eSportsの勃興により、PCゲームには大いに可能性を感じているとのことで、今回の製品展開にも力の入れようを見せる。
ベネット氏によれば、日本は海外よりもPCゲームの展開で遅れているものの、最近ではFortniteやPUBGなどといったタイトルが、コンソール機やモバイル機などでマルチプラットフォーム化されており、より操作性が高くグラフィックスも美麗なPCで遊びたいといった需要が高まっているという。
実際に2015年から2017年にかけて、日本のPCゲーマーの層数は1,100万人から1,483万人へと約1.3倍、PCのみのゲーマーは224万人から345万人の約1.5倍を見せている。eSportsへの参加者は2017年から2018年で約1.4倍になった。また、Twitchによる配信視聴者数は日本が世界3位とのことで、成長率について言えば世界1位ではないかとの見解を示し、ゲームへの注目度が高まっていることを強調する。
そのおかげか、若者だけでなく幅広い年代の男女がPCゲームをプレイしているとのことで、冒頭で述べたベネット氏のように、ゲームを子どもとのコミュニケーションツールとして活用する親子ゲーマーの例もあるという。
レノボは過去にゲーミングPCブランドの第1弾として“Erazer”を2013年に展開していたが、こちらはエンスージアスト向けに寄りすぎたせいで市場からの評価は得られず、ブランド展開はなされなかった。なお、当時ベネット氏はレノボ在籍ではない。今回はその反省を踏まえ、プロゲーマー、コアゲーマー、カジュアルゲーマーを含め、すべてのゲーマーが楽しめるものとして、製品展開を進めていく意向だ。
ハデさを追求しないミニマリズムなデザインで他社と差別化
ついで同社コンシューマ製品部 プロダクトマネージャーの藤井宏明氏が、Legion T730とC730について紹介。同機はすでに販売済みのT530とC530の同筐体となっているが、赤1色だったLEDライトを1,680万色のLEDライティングになったほか、冷却能力が向上していることなどの新要素や、そのデザインの成り立ちを説明した。
海外PCメーカーとして、DellのAlienwareやHPのOMENなど、奇抜なデザインを採用したデスクトップPCは非常に存在感の強いものだが、レノボの独自調査によるとゲーマーは斬新なアイデアに興味はあるものの、設計に対して意図がないデザインには否定的という。その回答として同社はデザインの“ミニマリズム案”を掲げ、無駄を省きつつ機能美を追求し、現在のシンプルだが凡庸ではないかたちにいたった。
また、デザインだけでなく実用面についてもつきつめ、C730のキューブ型筐体では、CPU/GPUと電源部を本体中央で隔てたデュアルチャンバー構造を採用することで、従来のキューブ機よりも冷却性能が50%向上した。なお、T730はこれまで空/水冷対応だったが、水冷ユニットを標準搭載に変えている。
藤井氏によると、T730はレインボーシックス シージの大会において2日間丸まる起動した状態で、まったく問題なく大会終了まで動作していたとのことで、空輸で現地に運ばれてから安定して稼働していたこともアピールした。
デビット・ベネット氏からの挑戦状
じつは本日の発表会の前に、PC Watchには以下のような挑戦状が送られてきていた。どうやら弊誌を含めた8つのメディアでゲームの腕前を競わせ、最終的にベネット氏に挑戦権を得るというものである。
招待されたのは、弊誌PC Watch、僚誌GAME Watch、ITmedia、ASCII、Engadget日本版、ファミ通、4Gamer.net、マイナビニュースである。採用タイトルは戦術的な要素の強いFPSタイトル「レインボーシックス シージ」で、ガラポン抽選器で各誌が1オン1の対決(2本先取)を行ない、勝ち上がった先にベネット氏が待つという格好である。優勝すると今回発表されたLegion T730がもらえる。
ちなみに挑戦状を送ってきたベネット氏だが、レインボーシックス シージは息子が得意なものの、自分ではそれほどではないという驚きの発言。レノボが同タイトルのスポンサードをしているという大人の事情で選定されたのだろうか。
PC Watchからは筆者が出場し、1回戦のマイナビニュースの方に勝てたものの、準決勝でファミ通の方にあえなく敗れてしまった。筆者は普段バトルフィールドシリーズで遊んでおり、同じFPSだしなんとかなるだろうと思っていたら、ファミ通の女性の方はレインボーシックス シージ歴3年の猛者で、身体を見せた瞬間に撃ち抜かれもはやなすすべもなかった。ほかの試合でもほぼヘッドショットを決めており、確かな腕前を披露していた。
ちなみにベネット氏に挑戦できたのもファミ通の方で、最後はアサルトライフルを使わずにピストルのみで戦うなど、完全にお遊びになってしまっていたが、これまでの試合でのガチぶりから一転して会場に笑いをもたらしていた。
レノボは今後もこうしたイベントなどを通じ、ゲーミング市場での展開を進めていく構えだ。