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中小企業はクラウド時代に業務をどう効率化すべき? マイクロソフト平野社長が札幌で講演

~中小企業お助け隊アンバサダーの稲村亜美さんもゲスト参加

キャラバン開催前に札幌の時計台で実施された、日本マイクロソフト平野社長と、キャラバンアンバサダーの稲村亜美さんによる記念撮影

 日本マイクロソフトが実施する、「中小企業お助け隊」キャラバンが開始された。中小企業お助け隊では、人材不足対策と働き方改革、営業力強化、財務/コンプライアンスそれぞれのプロが全国を周り、中小企業向けセミナーを開催する。全国10都市を巡回し、大阪/福岡/札幌の3都市では、アンバサダーに任命されたタレントの稲村亜美さんが同行する。

 2020年にサポートが終了するWindows 7およびOffice 2010から、Windows 10/Office 365への移行を促すための施策だが、単に「サポートが終了するので新しいものを買ってください」としたのでは、予算が潤沢でない中小企業には簡単に受け入れてもらえない。そこで、クラウド時代に対応した最新プラットフォームを利用することで業務が効率化される、というメッセージを主軸に、中小企業の経営者やシステム担当者にそのメリットを訴えかけていくのがこのキャラバンの狙いだ。

 札幌のキャラバンでは定員60名に対し、経営者を中心に63人が詰めかけた。

札幌会場の様子。イベントが始まるころには満席となった

この10年でITだけでなく社会の仕組みやライフスタイルも大きく変化

 11月9日にキャラバンが開催された札幌では、最初の都市で、自身が北海道出身ということもあり、日本マイクロソフトの平野拓也社長が登壇した。

 平野氏は、Windows 7/Office 2010の登場した10年前と現在のテクノロジを比較。携帯電話はフィーチャーフォン、決済方法は現金、音楽はCDだったものが、それぞれスマートフォン、キャッシュレス、ストリーミングへと変化。いずれも、クラウド技術を取り込み、より便利なものへと進化した。

普段の生活で利用する多くのものも、この10年でクラウド技術を取り込んで進化した

 中小企業では、労働力の不足、売上拡大、セキュリティの確保といった問題に頭を悩ませているところが少なくないが、クラウドプラットフォームの活用で、それらを解決できると平野氏。

 クラウドサービスには、初期投資の軽減、どこでも利用可能、常に最新でセキュア、ハードの調達/運用が不要というメリットがある。たとえば、日本マイクロソフトが提供するMicrosoft 365を利用すると、Windows 10とOffice最新版のライセンスを月額制で購入できるため、初期費用を軽減できる。データについては、OneDriveに保存することで、場所を問わずに社員間で共有が可能。また、自社でストレージサーバーを調達、運用したり、セキュリティ対策を心配する必要もない。

クラウドサービスの価値

 場所を問わずに作業できるということは、より柔軟な働き方が可能ということであり、雇用できる人材の範囲も広がり、社員の生産性も向上。また、プロジェクトにおいて、社外の関係者とも効率的に仕事ができるというのが同社のメッセージだ。

クラウド技術の活用メリット

 それでもなおコストが負担になる場合や、導入に際してのスキルに自信がないというユーザーに対しては、公的支援制度の情報提供や、そのための申請の支援、Office 365活用研修の提供をJマッチと提携して提供する

新プラットフォームへの移行にさいして公的支援も行なわれており、その情報提供や申請支援も行なっていく

日本マイクロソフト自体もクラウド活用でこれだけ変わった

 日本マイクロソフトが提供するクラウドサービスについて、同社自身の事例も踏まえつつ、詳細をMicrosoft 365ビジネス本部コーポレートクラウド&コンシューマーサービスビジネス推進部部長の冨士野光則氏が説明を加えた。

日本マイクロソフトMicrosoft 365ビジネス本部コーポレートクラウド&コンシューマーサービスビジネス推進部部長の冨士野光則氏

 最新のプラットフォームやサービスを提供するマイクロソフト自体も、10年前頃、生産性や、コスト効率の悪さ、紙への依存、長時間労働、女性の活用といった点で問題を抱えていた。組織間の連携がスムーズではなく、拠点間の移動が月5,500回以上発生、紙の印刷は月75万枚以上、女性の退職率が高いといった具合だ。

日本マイクロソフトが抱えていた問題

 そこで、本社の移動とともに、パーティションのないフリーアドレスのオフィスにし、社員間のコミュニケーションが取りやすい環境へと改造。会議についても、オンライン参加可能なシステム、文化を構築し、出先や自宅からでも会議に参加できるようにした。いまではすべての会議がオンライン参加を併用しているとう。

以前の新宿本社のオフィス。パーティションで区切られ、コミュニケーションを阻害していた
現在の品川本社では、パーティションのないフリーアドレスに。簡易ミーティング用の「ファミレス席」と呼ばれるスペースなども用意した

 また、顧客への営業時にも、現地に行けないスタッフがオンライン同行するケースも増えており、柔軟なスケジュール調整や、ちょっとした物珍しさもあって、顧客からも好評だと冨士野氏。

社内だけでなく、社外との打ち合わせにもオンラインを活用しはじめた

 オンラインコミュニケーションについては、現在はMicrosoft Teamsを活用している。プロジェクト単位で運用や進捗の把握などができ、必要に応じて外部の協力会社のスタッフにも参加してもらっている。WordやExcelなどのファイルは、クラウドで共有されており、常に最新版が参照できるだけでなく、複数のスタッフが同時に編集することもできる。

コラボレーションツールMicrosoft Teamsの画面。プロジェクトごとにメンバーや、メッセージ、ファイルを管理できる
スマートフォンにも対応。通話もできる

 また、Teamsはスマートフォンにも対応しているほか、今後、翻訳機能、オンライン会議の録画機能、自宅などで作業するスタッフ向けの背景自動ぼかし機能なども盛り込まれる予定だという。

今後追加予定の新機能

 こういったIT/クラウドを活用した働き方改革により、日本マイクロソフトでは、旅費/交通費を20%削減、紙の印刷を49%少なくしたほか、社員1人当たりの事業生産性が26%向上。育児や介護などをしつつ、自宅などからでも働けるような制度を導入し、女性の離職率は40%も下がった。

働き方改革で、日本マイクロソフトの生産性は26%向上した

 一連のキャラバンでは、日本マイクロソフト以外にも、パートナーによるセッションや、最新のWindows 10搭載モバイルノートの実機展示なども行なわれている。

札幌会場に展示されていた各社のモバイルノート
稲村亜美さんは、キャラバンにもゲスト参加し、参加者にエールを贈った