ニュース
企業のデジタルトランスフォーメーションを最大限に支援するMicrosoft 365
2018年11月6日 17:20
日本マイクロソフト株式会社は6日、都内でプレス関係者とのラウンドテーブルを開催し、米国から来日したゼネラルマネージャー Microsoft 365担当のキャサリン・ボーガー氏が、同社のクラウドサービス「Microsoft 365」やさまざまなAI技術が企業にもたらす変革について説明するとともに、記者からの質問に答える時間を設けた。
既報のとおり、日本マイクロソフトは11月5日~7日の3日間に渡って「Tech Summit 2018」を実施しているが、ボーガー氏はこの基調講演に参加するために来日している。同氏はMicrosoftに入社してから16年間経つが、いまはMicrosoft 365事業を担当しており、パートナー企業と密に連携を取り、今起こりつつある企業のデジタルトランスフォーメーションを推進し、成功に導く仕事に携わっている。
そもそも近年デジタルトランスフォーメーションが盛んに言われるようになっているが、最先端もしくは近代的なIT技術を使い、企業の組織や働き方に変革を与え、業務の効率化が達成できれば、デジタルトランスフォーメーションが達成できたと言ってもいい。競合他社より極端に業務効率化を図れれば、デジタル・ディスラプション(産業構造がデジタルによって破壊されることを意味する)を業界にもたらすことになる。
ではなぜデジタルトランスフォーメーションが求められているかと言えば、企業内での働き方が変化してきたからである。たとえば、同一企業内にはデジタルネイティブなミレニアル世代と、デジタルに比較的疎いシニア世代が共存し、共同で作業しなくてはならなくなっている。また、在宅勤務やテレワークといった働き方が生まれ、新たなコラボレーションツールが必要になってきている。これらを楽しくかつ生産的なやり方で仕事を進める必要がある一方で、セキュリティ犯罪も高度化しており、シンプルかつ安全なデータ保護も必要になってくる。
そしてこの企業のデジタルトランスフォーメーションを支えるのがMicrosoft 365のサービスであり、企業は製品のマーケティング、設計、開発、生産、そして実際の製品投入など、あらゆるシーンにおいて生産性の向上を達成でき、近代的なワークプレイスへと変革させることができるという。「Microsoft 365の各サービスは、ユーザーの創造性を開放し、すぐれたチームワークを実現するよう設計された。シンプルな使い勝手でAI機能を融合しており、企業内における意思決定を高速化できる」などと語った。
国内で採用され、業務効率化を実現した具体例の1つが、家具・インテリア販売を行なう国内企業「ニトリ」である。Tech Summit 2018の基調講演で紹介されたのだが、同社は店舗、流通、倉庫と一連のサプライチェーンを敷いているが、社員の働く時間も場所も大きく異なるため、社員間の意思疎通や意思決定は困難を極めていた。
そこで同社は経営層、マネージャー、スタッフの3段階というきわめてフラットに近い企業体制とし、Microsoft 365を導入することで、意思疎通をスムーズにし、意思決定を即座に行なえるようにした。業務効率化による業績が向上はもちろんのこと、今後は500店舗ある今の規模を、1,000店舗に拡張するという。
海外企業の例としてボーガー氏はカンタス航空を例に挙げ、Microsoft 365により、フライトアテンダントが日々の業務のなかで感じた課題などをすぐに事務所のほうにフィードバックできる仕組みを用意し、課題を解決していくことで顧客満足度の向上を目指しているとした。
もっとも、こうした成功事例を例に挙げても「デジタルトランスフォーメーションはウチには関係ない」と思う企業も多いだろう。保守的な日本の文化が、こうしたマインドセットを植え付けている原因にもなっているほか、中小企業が多い点も課題である。これはボーガー氏自身も考えている問題であるが、「われわれはカスタマーサクセスマネージャーに投資をしており、さまざまなシナリオやシチュエーションに対し、どの製品が適しているか、顧客にしっかり提案し、顧客を成功に導くことが必要である。また、メディアを介して広く広める必要がある」と答えを示した。
一方で、クラウドサービスであるという性質上、「クラウドサービス自体がダウンしてしまったさいに業務が継続できなくなるのではないか」という質問に対し、「われわれのサービスが停止してしまうと、飛行機が飛ばない、手術ができないといった、社会インフラに大きな影響を与えかねない。そうならないよう、強固な冗長性体制を敷いているほか、日本国内に関しては、現在2カ所にあるデータセンターのキャパシティを2倍にする計画も約束している」とした。
最後に「生産性向上をどう具体的に数値化するか」という質問に対し同氏は、「生産性向上の定義は業種や使うユーザーによって異なるが、たとえば自分のタスクをトラッキングしたり、自分が出られなかった会議を振り返ったり、会議の時間を短縮できたり、PowerBIを使うことでレポートに要した時間が短縮できたりとさまざま。ただ導入した企業からはすでに数字を含めた実績が上がってきている」と語った。