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ロジクール初の縦型マウス「MX Vertical」誕生。従来型マウスよりも負担が10%軽減

MX Vertical アドバンスエルゴノミックマウス

 株式会社ロジクールは8月27日、同社初の縦型マウス「MX Vertical アドバンスエルゴノミックマウス」を9月20日に発売すると発表した。価格はオープンプライスで、税別店頭予想価格は12,880円前後の見込み。

 最大の特徴は人間工学にもとづいて開発された独特な形状で、通常のマウスと比較して57度の傾きが与えられており、これによって手や腕への負担を軽減する。操作時は握手をするようなかたちでマウスを持つことになり、従来の手を置くような形状のマウスよりも筋肉の緊張を10%和らげることができるという。

 接続方式はUSB無線アダプタまたはBluetooth接続、そして有線接続に対応。リチウムポリマーバッテリを内蔵しており、フル充電で最大4カ月動作するほか、1分間の充電で3時間分利用可能にする高速充電をサポートしている。充電はUSB Type-Cポートを利用。

 本体色はグラファイトのみで、グリップ部分はテクスチャ加工されたラバー素材になっており、高いグリップ感を実現した。センサーの解像度は400~4,000dpi(50dpi刻み)で、総ボタン数はホイールを含めて6個。

 本体サイズは78.5×79×120mm(幅×奥行き×高さ)、重量は135g。

エルゴノミクスを追求し数年かけて開発された縦型マウス

MX Verticalを手に持つLogitech本社でクリエイティビティ&プロダクティビティグループ グローバルプロダクトマネージャーを担当するラーズ・ホルムズ・ローリセン氏

 発表当日には都内にて製品説明会が開催され、ロジクールの米本社であるLogitechから、MX Verticalの開発にたずさわったクリエイティビティ&プロダクティビティグループ グローバルプロダクトマネージャーのラーズ・ホルムズ・ローリセン氏などが登壇した。

 Logitechはユーザーの使用環境を調査した上で、設計デザインを検討するような研究/開発体制を採っているが、近年では日常生活および仕事上においても、健康への関心が高いことがわかったとのこと。アメリカのデスクワーカーを調査した結果によれば、そのうちの57%が作業中に手、手首、前腕に不快感や痛みを経験したことがあり、さらに12%は日々それを感じているという。

アメリカでの調査結果では57%のユーザーが手への痛みなど経験したことがあり、さらに12%が日々の作業で苦痛を伴っている

 LogitechはマウスといったPC周辺機器を扱うメーカーとして、この問題に取り組むべく、外部の専門家や調査機関の協力を仰ぎ、エルゴノミクスやバイオメカニクスの観点から、どうすればマウス操作の負担を減らすことができるのか研究を進めた。

 そのなかで、マウスを使うときには自然で中立な姿勢を維持しつつ、手が自然な角度になっていることや、手首の左右への偏りを減らすことが重要であるとわかったという。そして、そうした自然さを保てる形状の開発を行なうとともに、実際のマウス操作時に筋肉にどれだけ負担がかかっているかも研究し、筋電センサーでの筋肉の状態と、電子角度計を使って理想的な位置を探り出した。

各筋肉などに対する負担をセンサーを駆使して計測
設計でも試行錯誤した

 ローリセン氏はその結果として、従来型のマウスから見て57度という角度を与えることが、もっとも手への負担を減らせる解決策であると強調。これにより、手が自然な位置を得ることでき、筋緊張が10%低減されたとする。また、エルゴノミクスを追求するだけでなく、これまでどおりの性能を発揮できるように高解像度のセンサーを搭載していることも付け加えた。

MX Verticalの特徴

理学療法士も認める負担の小さいマウス

株式会社KINETIC ACT代表取締役の岡崎倫江氏

 今回の説明会には、医学博士・理学療法士・食コンディショニングトレーナーを務める株式会社KINETIC ACT代表取締役の岡崎倫江氏が登壇し、機能解剖学の観点からMX Verticalの評価を行なった。

 岡崎氏は、従来のマウスは手のひらを下に向けて持つため、肩を突き出してしまうとともに肘が開き、猫背の状態になりがちだという。これによって手首や背骨への痛みにつながってしまい、肩こり、顎関節症、腱鞘炎を誘発してしまうことが多いそうだ。MX Verticalは57度という角度などにより、橈骨と尺骨が肘付近で交差しにくく、筋への過剰な負荷がかかりにくいことから負担が小さいという。

タッチパッドとマウス操作時の負担の違い
マウス操作時の体への影響
MX Verticalの特徴

 さらに、MX Verticalの理想的な持ち方として、手首側をデスクにくっつけて豆状骨と三角骨が支点とし、手のひら全体で包むように持つのが理想であるとした。

MX Verticalの非推奨/推奨の持ち方

 最後に岡崎氏は、ビジネスで一番多い疾患は、肩こり、四十肩、腰痛などであり、これらの症状は突然起こるのではなく日々の繰り返しの作業で起こるものであるため、治療がすんだとしても再発を防止するために、体に対する環境の設計をよくしていく必要があるとまとめた。

実物写真

 以下、説明会場に展示されていたMX Verticalの製品写真を掲載している。

開発時のモックアップ