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産総研、80mm角サイズの「プロトン導電性セラミック燃料電池セル」を世界で初めて作成

試作した80mm角平板のプロトン導電性セラミック燃料電池セル

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)は、NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラムより、世界で初めて実用サイズの「プロトン導電性セラミック燃料電池セル(PCFC、Protonic Ceramic Fuel Cell)」の作製に成功したと発表した。

 PCFCは理論的に燃料を100%利用でき、すべての既知の発電デバイスを超える75%の発電効率を達成できる可能性があるが、プロトン導電性セラミックの作成には1,700℃以上の高温焼成が必要なため、大型化が難しかった。

 今回産総研は、拡散焼結技術を開発し、焼結率100%(密度99%以上)を達成。これまで直径30mmサイズでしか製造できなかったPCFCを実用的な80mm角サイズで製造できるようになった。電解質を多層化することで電圧効率も大幅に向上させている。

 無駄な燃料消費の原因となるガスリークがない緻密な電解質層が作製できるようになったことで、量産化が可能な押出成形法やテープ成形法での燃料極基材作製と、ディップコーティングやスクリーン印刷での成膜と焼成による電解質層や空気極層の形成により、チューブ型や平板型の各種形状の燃料電池セルが試作できるようになったという。

 今後は、今回の技術を燃料電池の逆反応である水蒸気電解反応による純水素製造など、電気化学反応デバイスに応用し、再生可能エネルギーと組み合わせた電力ネットワークや水素活用電力ネットワークの構築に貢献させていくとしている。