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第9回教育ITソリューションEXPOレポート

~ロボット教材やプログラミング教材などのSTEM関連教材が多数展示

第9回教育ITソリューションEXPOと第1回学校施設・サービス展は、東京ビッグサイトの西1・2・4ホールで開催された

 2018年5月16~18日、東京ビッグサイトで「第9回教育ITソリューションEXPO」(略称EDIX)および「第1回学校施設・サービス展」が開催された。EDIXは、学校/教育関係者を対象とした教育分野の専門展示会であり、この種の展示会としては日本最大の規模を誇る。

 EDIXでは、電子黒板や電子教科書、採点システム、授業支援ソフトウェアなどさまざまな製品・サービスが出展されているが、近年、STEM教育などと呼ばれる、科学や技術、工学、数学を重視した教育に注目が集まっており、2年前から、プログラミング教材やロボット教材などの未来の学びを集めた「学びNEXT」と呼ばれるゾーンが設けられるようになった。

 学びNEXTゾーンは今回で3回目となるが、スペースは毎年拡大しており、初出展のメーカーも多かった。そこで、学びNEXTのブースの中から、筆者が特に興味を持ったものを中心に紹介していきたい。

STAR WARSコラボのlittleBitsが登場

 コルグが販売しているlittleBitsは、マグネットで接続される新世代の電子ブロックとしては老舗となる製品であり、ラインナップも充実している。今回のEDIXでは、新製品の「Droid Inventor Kit」を中心とした展示が行なわれていた。

 Droid Inventor Kitは、STAR WARSに登場するドロイド「R2-D2」を作ることができるキットであり、完成したR2-D2は、タブレットなどから操縦したり、プログラムによって制御することが可能だ。ブースには、このDroid Inventor Kitで作られたドロイドのカスタマイズモデルが4種類展示されており、来場者にどれが一番好きかを聞くコンテスト「2018 EDIX DROID総選挙」も行なわれていた。そのほかのlittleBitsシリーズで作った作例も多数展示されていた。

コルグのブースでは、littleBitsシリーズの新製品「Droid Inventor Kit」のデモを行なっていた
Droid Inventor Kitでは、STAR WARSに登場するドロイド「R2-D2」を作ることができる
R2-D2は、タブレットなどから操縦できる
サーボモーターの位置を変えれば、腕を動かすことができる
ビジュアルプログラミングにより、ドロイドをコントロールすることも可能
ドロイドのカスタマイズ例
こちらもドロイドのカスタマイズ例で、見事な装飾が施されていた
ブースでは「2018 EDIX DROID総選挙」として、カスタマイズしたドロイドのコンテストを行なっていた
Droid Inventor Kitのパッケージ
こちらは「Gizmos & Gadget Kit, 2nd Edition」の作例。13種類の電子モジュールにより、さまざまな電子工作を楽しめる
「Gizmos & Gadget Kit, 1st Edition」の作例。左が車、右がコントローラーで、ワイヤレス操縦が可能
「Code Kit」を使って作ったエレキギター
「Synth Kit」を使って作った電子楽器
こちらも「Synth Kit」の作例
「Space Kit」の作例

micro:bit関連製品や磁力で繋がる電子ブロックの展示が増加

 今回の学びNEXTでは、micro:bit関連製品が急増したことが印象的であった。micro:bitは、イギリスのBBCが中心となって開発した教育向けマイコンボードであり、2,000円程度と低価格ながら、25個のLEDや加速度センサー、温度センサー、地磁気センサーなどを搭載し、Bluetooth LEによる通信機能も備えているので、単体でいろんなことができることが魅力だ。

 昨年(2017年)のEDIXでも、micro:bit関連の展示が見られたが、今年(2018年)は、日本での本家といえるスイッチエデュケーションや教材の大手アーテックのほかにも、micro:bit関連製品を出展している中国系企業が目立っていた。また、littleBitsとコンセプトが似た、磁力で繋がる電子ブロック的なSTEM教材の展示も多かった。こうした製品をまとめて紹介しよう。

 スイッチエデュケーションは、micro:bit2台を使ったロボットサッカーのデモやライントレースカーのデモのほか、さまざまな作例、周辺機器の展示を行なっていた。新製品のバングルモジュールキットは、micro:bitを腕に装着するための周辺機器であり、スピーカーやバッテリも備えているので、micro:bitをウェアラブル化して遊ぶことができる。

 また、micro:bitベースの超小型マイコンボードを搭載した羽ばたき飛行機「Bit Fly」も興味深かった。こちらに使われている超小型マイコンボードも参考出品として展示されており、今後販売される可能性もあるとのことだ。

スイッチエデュケーションのブースでは、教育向けマイコンボード「micro:bit」関連の展示が行なわれていた。これはmicro:bitを使ったロボットサッカーのデモ
ロボットサッカーは、micro:bitを利用したコントローラーで操縦を行なう
ロボットサッカーの材料とプログラム。ブロックを並べるだけでプログラミングが可能だ
micro:bitを使ったライントレースカー
micro:bitを使ったプログラミング教育の例。micro:bitには、加速度センサーや温度センサー、地磁気センサー、LEDなどが搭載されているので、単体でもいろんな応用が可能だ
micro:bitを使った二足歩行ロボット
特定の操作をしないと空かないひみつの箱
こちらは魔法のつえ。手に持って振ると、いろいろな音がなったり、つえの色が変わる
micro:bitを使ったリアクションゲーム。合図でタッチパネルを触り、その反応速度を競う
輪くぐりドキドキゲーム。輪っかを線に触れないように動かすゲームだ
ドア開け警報器。ドアが開けられるとアラームが鳴る
2人で手を繋いでハートにタッチすることで、相性度がわかるラブメーター
micro:bitを2台使った、ホームオートメーションシステム。タブレットから温度や草木の水やりの確認、ドアの開閉状態をチェックでき、ファンのオンオフやLEDテープの発光色の制御が可能
新製品のバングルモジュールキット。micro:bitを腕に装着することができ、スピーカーやバッテリも備えている
バングルモジュールキットを取り付けたmicro:bit。下の基板にスピーカーとバッテリが搭載されている
バングルモジュールキットを使えば、このようにmicro:bitを腕に装着して遊べる
micro:bitベースの超小型マイコンボードを搭載した羽ばたき飛行機「Bit Fly」。クランクとラダーの動きをマイコンボードで制御している
胴体部にmicro:bitベースの超小型マイコンボードが搭載されている
Bit Flyに搭載されている超小型マイコンボード。micro:bitのサブセット的なマイコンボードで、同じ開発環境を利用できる

 アーテックのブースでは、アーテックブロックによる作例やmicro:bit用拡張基板などが展示されていたほか、現在開発中のScratchの次バージョン「Scratch 3.0」も展示されていた。リンク機構やスライダクランク機構を学習できる工業高校向けのパッケージや、幼稚園向けの知育ロボット「アリロ」のデモも行なわれており、幅広い年齢層をカバーできることをアピールしていた。

アーテックのブースで展示されていた人感ライト。発電機で発電した電力をコンデンサーに蓄え、赤外線フォトリフレクタで人がいることを感知すると、ライトが光る仕組みだ
こちらは、衝突回避自動車。人や障害物を検知すると、自動的にブレーキをかける仕組み
micro:bit用の拡張基板も展示されていた
micro:bitとアーテックロボのパーツを組み合わせた例
現在開発中のScratchの次バージョン「Scratch 3.0」のデモ。AndroidやiOSのタブレットでも動作する
AIを利用したブランコロボ。ブランコがよく揺れるこぎ方を学習していく
工業高校向けパッケージも用意されている。左がリンク機構を利用したフォークリフト、右がスライダクランク機構とラック&ピニオン機構を使ったクレーンゲーム
アーテックがアリロと共同開発した幼稚園用知育ロボット「アリロ」。パネルを並べたり、アリロ本体のボタンを押してプログラミングを行なうことができる
アリロの説明。幼児でも遊びながらプログラミング的思考を身につけられる

 中国のCH Maker Educationのブースでは、磁力でブロックを繋げていくことで電子回路が作れるSTEM教材「Grove Zero」やmicro:bitと組み合わせてロボットカーを作る「Bit Kit micro:car」の展示を行なっていた。Bit Kit micro:carは、色を読み取るカラーセンサーを搭載しており、ラインの色を識別して動作を行なうライントレース競技などにも利用できる。

CH Maker Educationのブースでは、STEM教材「Grove Zero」の展示を行なっていた
Grove Zeroは磁力でブロックを繋げていくことで、電子回路を作れる教材である
micro:bitと組み合わせてロボットカーを作る「Bit Kit micro:car」
Bit Kit micro:carのパッケージ内容。カラーセンサーを搭載しており、カラーマーカーも付属する
Grove Zero Starter Kitの中身
Grove Zero Starter Kitのパッケージ内容。メインボードはBluetooth LE対応で、LEDマトリックスモジュールなども付属している
Grove Zeroではさまざまなブロックを利用できる

 また、中国の電子機器開発メーカーであるDFRobotのブースでも、micro:bitベースのロボットカー「Max:Bot」を展示していた。micro:bitを採用しているため、ビジュアルプログラミング環境のScratchやBlock Editorだけでなく、PythonやJavaScriptを利用した本格的なプログラミングも行なえる。

 DFRobotは、LEGOのブロックと形状的な互換性を持つ電子ブロック教材「BOSON」も展示していた。

 こちらは、磁力で繋がるわけではなく、コネクタにケーブルを挿して回路を作っていくもので、単体で実験が行なえる有機ELモジュールも用意されている。BOSONにもmicro:bitと組み合わせて利用する「micro:bit BOSON Starter Kit」が用意されており、電子回路とプログラミングの学習が可能だ。その他、Atomを搭載し、Windows 10が動作する高性能マイコンボード「LattePanda」も展示されていた。

DFRobotのブースで展示されていた「Max:Bot」。micro:bitベースのロボットカーである
Max:botでは、ScratchやBlocks Editorだけでなく、PythonやJavaScriptでのプログラミングも可能
こちらはBOSONシリーズ。LEGOのブロックと形状互換性がある、電子ブロック教材である
BOSONシリーズの「micro:bit BOSON Starter Kit」。micro:bitと組み合わせて、さまざまな実験や工作が行なえる
こちらは「BOSON Inventor Kit」、数多くのモジュールが含まれている
こちらは「BOSON Science Kit」。文字が表示される有機ELモジュールもあり、このセットだけで、実験が行なえる
micro:bit BOSON Starter Kitのプロジェクトカード。このカードを見るだけで、繋ぎかがすぐにわかる
DFRobotの高性能マイコンボード「LattePanda」。Atomを搭載しており、Windows 10が動作する

 ケニスのブースでは、カードを並べてプログラミングを行ない、そのカードを小型ロボットの口に入れていくことでプログラム通りに動かせる「True True」や物理の授業などに使える超小型データロガー「PocketLab」のデモを行なっていた。PocketLabには加速度センサーや地磁気センサー、気圧センサーなどさまざまなセンサーが搭載されており、リアルタイムでタブレットなどにセンサー情報を送ることができる。さらに、micro:bitと組み合わせて実験を行なう拡張ボックスも展示されていた。

ケニスのブースで展示されていたプログラミングロボット「True True」は、まずカードを並べてプログラミングを行なう
次に、カードを順番にTrue Trueの口に入れていくことで、その内容を読み込ませることができる
超小型データロガー「PocketLab」のデモ。ジェットコースターにPocketLabが取り付けられている
リアルタイムにPocketLabで取得した加速度などの情報がタブレットで表示される。大きく動いているのが、コースターが落下していく瞬間だ
micro:bitと組み合わせて実験を行なう拡張ボックスも展示されていた

中国ベンチャーがユニークなロボット教材を出展

 Makeblock Japanは、同社のSTEM教材「mBot」を中心に展示を行なっていた。mBotは低価格で拡張性が高いことから、ロボット教室などでよく使われている。ブースには上位モデルの「mBot-S」や「mBot Ranger」、10種類のロボットを作ることができる「Ultimate 2.0」なども展示されていた。

 また、新製品としてブロックを繋げていくだけで電子回路の実験が可能な「Makeblock Neuron」が展示されていた。こちらも、ブロック同士は磁力で繋がるようになっており、製作に工具は不要だ。ブロック同士の接続設定は、タブレットの専用アプリで行なえるようになっており、littleBitsとMESHを足して2で割ったような感じだ。

Makeblock JapanのブースでデモされていたSTEM教材「mBot」。ロボット教室などでもよく使われている
mBot Rangerをベースに作られた鉄琴演奏ロボットのデモ
mBot Rangerにオプションパーツを追加して作られた4足ロボット
10種類のロボットを作ることができる「Ultimate 2.0」の作例
3種類のロボットを作ることができる「mBot Ranger」の作例
基本となる「mbot」(左)と上位モデルの「mBot-S」(右)
新製品の電子ブロック「Makeblock Neuron」。ブロックを繋げていくだけで電子回路の実験が可能。ブロック同士は磁力で繋がる
数多くのブロックが含まれる「Neuron Creative Lab kit」
Neuronの作例。ハンダごてやドライバーなどを使わずに電子工作を行なえる
Neuronは、裏面にも磁石があり、ホワイトボードに貼り付けることができる
Neuronのブロックは、縁の色でカテゴリー分けされており、緑がエネルギーと通信関係のブロック、オレンジが入力関係のブロック、水色が出力関係のブロックとなっている
Neuronのブロックの接続設定はタブレットで指定できる。このあたりはMESHに似ている

 中国のBellrobotは、ロボット教材「MABOT」のデモを行なっていた。MABOTは、モジュールが球体になっていることが特徴で、さまざまなロボットを作ることができ、作ったロボットの制御やプログラミングは、スマートフォンの専用アプリを使って行なえる。現在は、日本の代理店を探している最中とのことだが、なかなか面白そうだ。

Bellrobotが展示していたロボット教材「MABOT」。球体モジュールを組み合わせてさまざまなロボットを作ることができる
MABOTの作例。ロボットの制御やプログラミングは、スマートフォンの専用アプリから行なえる
MABOTを使って組み立てたロボットの動作の様子

プログラミング教室を展開する企業も増加

 小中学生を対象としたプログラミング教室を展開する企業にも注目が集まっていた。初出展となるUEIエデュケーションズは、同社が運営する秋葉原プログラミング教室関連の展示を行なっていた。

 秋葉原プログラミング教室では、小中学生向けの「プライマリーコース」と「ベーシックコース」の2コースのほか、一般向けの「AIプログラミングコース」が開講されている。プライマリーコースでは、UEIが開発したビジュアルプログラミング言語「MOONBlock」を使い、ベーシックコースではJavaScriptを利用する。

初出展のUEIエデュケーションズは、同社が運営する秋葉原プログラミング教室関連の展示を行なっていた。これはプライマリーコース用のテキストである
テキストはカラフルで、キャプチャ画面も見やすい。テキストの穴埋め問題を埋めていくことで、自然にプログラミングが身につく
プライマリーコースでは、同社が開発したビジュアルプログラミング言語「MOONBlock」を利用する
プライマリーコースのカリキュラム
プライマリーを卒業すると、JavaScriptを利用してプログラミングを行なうベーシックコースを受講できる
さらに深層学習プログラミングが学べるAIプログラミングコースも併設されている

 ワイズインテグレーションのブースでは、さくらのIoT通信モジュールに対応したマイコンボード「IchigoSoda」や、タミヤロボットスクールで使われるカムプログラムロボットにIchigoJamを組み合わせた教材、3歳から学べる「ソビーゴ こどもブロックプログラミング」やIchigoJamを採用した「ソビーゴ こどもロボットプログラミング」を展示していた。

ワイズインテグレーションのブースでは、日本生まれのマイコンボード「IchogoSoda」とさくらのIoT通信モジュールを組み合わせたデモを行なっていた
マイコンボード「IchigoSoda」。さくらのIoT通信モジュールsakura.ioに対応したIchigoJam互換機である
タミヤロボットスクールでは、タミヤのカムプログラムロボット工作セットにこども用パソコン「IchigoJam」を組み合わせたものを教材として使っている
ブロックとオリジナルアプリを使った、3歳から学べるビジュアルプログラム教材「ソビーゴ こどもブロックプログラミング」
こどもブロックプログラミングでは、実際のブロックを並べてプログラムを作り、その後タブレットでも同じようにブロックを並べてプログラミングを行なう
こちらは「ソビーゴ こどもロボットプログラミング」の教材。IchigoJam搭載のダンボール製ロボットを利用する

 また、ロボット教室のフランチャイズを全国に展開しているヒューマンアカデミーでは、ベーシックコース、ミドルコース、アドバンスプログラミングコース、ロボティクスプロフェッサーコースの各コースで製作するロボットなどを展示していた。アドバンスプログラミングコースは、プログラミング要素を増やして欲しいという要望に応えるために、2017年に新設されたコースであり、タブレットを使ってロボットを制御するプログラミングを行なうことが特徴だ。

ヒューマンアカデミーでは、同社が全国展開しているロボット教室に関する展示を行なっていた。これは、最も上位のコースである「ロボティクスプロフェッサーコース」で製作するアームロボット
こちらもロボティクスプロフェッサーコースで製作する二足歩行ロボット
2017年に新設された「アドバンスプログラミングコース」で製作するドレミボット(手前)とピッキングロボ(奥側)
アドバンスプログラミングコースでは、タブレットを使ってロボットを制御するプログラミングを行なう
こちらは「ベーシックコース」で製作するロボット
「ミドルコース」で製作するロボザウルス
小中学生向けのコースは、ベーシックコース→ミドルコース→アドバンスプログラミングコースと進んでいく
ロボットクリエイターとして有名な高橋智隆氏がアドバイザーとして教材の作成などに関わっている

 ORSOは、超小型ドローン「DRONE STAR 01」を利用したプログラミング学習「DRONE STARプログラミング」のデモを行なっていた。DRONE STARプログラミングでは、ブロックを並べてプログラミングを行ない、ドローンの動作を制御する。いくつかのミッションが用意されており、その課題をクリアするためのプログラムを考えるというものだ。

 ブースでは実際にドローンを飛ばしていたのだが、ドローンが小さく、カメラなどによる自己位置推定は行なっていないため、ホバリングを指定してもかなり上下左右に動き回ってしまい、細かな制御は難しそうであった。

ORSOが展示していた超小型ドローン「DRONE STAR 01」。プロペラガードがついているので部屋の中でも安心して飛ばせる
DRONE STARを利用したプログラミングを実現する「DRONE STARプログラミング」。ドローンの動作をプログラミングで制御する。アプリは月額料金制となっている
DRONE STARプログラミングでのプログラミングの例。上昇や下降などのブロックを組み合わせて、プログラミングを行なう
DRONE STARプログラミングのミッション一覧
ドローン25台がセットになった「DRONE STARパーフェクトパック」
特別価格でDRONE STARが限定販売されていた
プログラミングでDRONE STAR 01を飛ばしている様子。ホバリングを指定しているのだが、ドローン自体が小さく、安定度が低いため、一点に静止するというわけにはいかない

教育機関向けSTEM教材や学習ソフトも充実

 EDIXは元々教育関係者向けの展示であり、学びNEXTでも一般には販売されていない教育機関向けの教材や学習ソフトも展示されていた。アバロンテクノロジーズは、3次元座標の理解にも役立つ教育向け3D CAD「作ってみよう!」やプログラミング学習ツール「動かしてみよう!」のデモを行なっていた。

 動かしてみよう!は、Scratchと似たビジュアルプログラミング環境を実現しており、タブレットでも動作する。シミュレータも備えているので、単体でもプログラミングを行なえるほか、実機の専用ロボットも用意されており、プログラムでロボットを制御できる。

アバロンテクノロジーズが開発した教育向け3D CAD「作ってみよう!」。XYZの3次元座標を理解しながらモデリングが可能
アバロンテクノロジーズのブースには、XYZプリンティングのフルカラー3Dプリンタ「ダヴィンチColor」が展示されていた
こちらは、アバロンテクノロジーズが開発したプログラミング学習ツール「動かしてみよう!」
動かしてみよう!では、Scratchと似たビジュアルプログラミング環境を実現している
動かしてみよう!は、タブレットでプログラミングを学ぶだけでなく、専用ロボットも用意されている
専用ロボットの底面
専用ロボットにはマイクも搭載されており、例えば、手を2回叩いたらロボットが動きだすといったプログラミングが可能

 ダイセン電子工業は、中学技術向けロボットキット「TJ3B」と「αーXplorer」のデモを行なっていた。どちらも多くの中学校で導入されており、C言語をアイコン化した独自の開発環境を利用でき、拡張性も高いことが特徴だ。C言語への移行もしやすいので、高専などの教材としても使える。

ダイセン電子工業の中学技術向けロボットキット「TJ3B」。4つのタッチセンサーと赤外光センサー、反射センサーを搭載する
こちらは「αーXplorer」。オプションのBluetoothモジュールを搭載することで、iPadによるプログラミングや無線通信が可能
αーXplorerによるライントレースの様子
ダイセン電子工業のロボットは、C言語をアイコン化した独自の開発環境が提供されている

 また、ソフトバンクのブースでは、等身大の人型ロボット「Pepper」を使ったプログラミング教育のデモを行なっていた。これは、Robo Blocksと呼ばれるプログラミング環境を利用して、ブロックを並べるだけでPepperの動作や音声を制御するプログラミングを行なえるものだ。学校などへの導入が前提であり、すでにいくつかの学校で使われているという。

ソフトバンクのブースでは、人型ロボット「Pepper」を使ったプログラミング教育のデモを行なっていた
Scratchに似たビジュアルプログラミングでPepperを動かすというものだ
Robo Blocksと呼ばれるプログラミング環境が用意されている。シミュレータも搭載しており、実機がなくてもプログラミング学習が行える

 山崎情報システムは2018年秋に教育機関向けに発売を予定しているプログラミング学習用教材「プロッチ」やその上位モデル「プロッチ・コロン」の展示を行なっていた。プロッチには標準で4つのセンサーと5つのアクチュエータ(LEDやブザーも含む)が搭載されており、Scratchベースのビジュアルプログラミング環境で、プログラミングを行なうことができる。

 プロッチ・コロンには、8つのセンサーと6つのアクチュエータが搭載されており、同様にプログラミングを行なうことが可能だ。そのほか、PCを使わずにプログラミングの考え方を学べる「プログラぶっく」のデモも行なわれていた。命令チップを手で並べてプログラムを作成し、スマートフォンのカメラでそれらのチップを撮影することで、プログラムが読み込まれ実行される。

山崎情報システムが展示していたプログラミング学習用教材「プロッチ」。2018年秋に教育機関向けに発売予定
プロッチには標準で4つのセンサーと5つのアクチュエータ(LEDやブザーも含む)が搭載されている
プロッチは、Scratchベースのビジュアルプログラミング環境を実現しており、初めての生徒も簡単にプログラムを作成できる
プロッチの上位モデルとなる「プロッチ・コロン」。1台で「計測・制御」と「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツ」のプログラミングが学習できる
プロッチ・コロンには、音センサーや人感センサー、温度センサーなど8つのセンサーと6つのアクチュエータが搭載されている
プロッチ・コロンも、プロッチと同様Scratchベースのビジュアルプログラミング環境を利用でき、2台のプロッチ・コロンをケーブルで繋ぐことで、双方向性のあるコンテンツのプログラミング学習が可能だ
PCを使わずに、プログラミングの考え方を学べる「プログラぶっく」。命令チップを手で並べてプログラムを作成し、スマートフォンのカメラでそれらのチップを撮影することで、プログラムが読み込まれ実行される

球形ロボットや1台3役のアームロボットなど

 ソフトバンクコマース&サービスは、同社が扱っているさまざまなSTEM教材の展示を行なっていた。スフィロの「SPRK+」は球形をしたロボットで、プログラミングによって動きや発光色などを自由に制御できる。タブレットに指で軌跡を描き、その通りに動かすことも可能だ。「Musio X」は、AI搭載の英会話学習ロボットで、自然な会話を実現している。また、Makeblockの製品の代理店ともなっているため、同社のSTEM教材「mBot」やSTEMドローン「Airblock」も展示されていた。

ソフトバンクコマース&サービスのブースでは、同社が扱っているさまざまなSTEM教材を展示していた。これは、スフィロの教育用球形ロボット「SPRK+」。透明で中の機構がよくわかる
タブレットで経路を指で描くと、その通りにSPRK+が動く
先ほどのタブレットで描い経路通りにSPRK+が動く様子
SPRK+の導入事例。いくつかの小学校の授業で使われている
こちらは英会話学習お友達ロボット「Musio X」。AI搭載で自然な会話を実現している
こちらはMakeblockのSTEM教材「mBot」
MakeblockのSTEMドローン「Airblock」

 DOBOTのブースでは、教育用の4軸ロボットアーム「DOBOT Magician」や3Dプリンタが展示されていた。DOBOT Magicianは、先端部(エンドエフェクタ)の交換が可能な設計になっており、3Dプリンタやレーザー刻印機としても利用できる。

 また、3色のフィラメントを混ぜ合わせることで、多彩な色での出力が可能な3Dプリンタ「Mooz-3z」や、レーザーモジュールを装着することでレーザー刻印が可能な3Dプリンタ「Mooz-1z」のデモも行なわれていた。

DOBOTブースで展示されていた教育用ロボットアーム「DOBOT Magician」
DOBOT Magicianは先端部の交換が可能で3Dプリンタとしても利用できる
こちらは先端部を柔らかい吸盤にしてボタンを押させるデモ
先端部をレーザーモジュールに変えることで、紙や木などへのレーザー刻印も可能
DOBOT Magicianのパッケージ
ROBOTの3Dプリンタ「Mooz-3z」。3色のフィラメントを混ぜ合わせることで、多彩な色での造形が可能
Mooz-3zの造形の様子。いわゆるデルタ型の3Dプリンタである
こちらは、コンパクトな3Dプリンタ「Mooz-1z」。エクストルーダをレーザーモジュールに交換することで、レーザー刻印が可能
Mooz-1zでレーザー刻印を行なっているところ

プログラミング学習や論理的な思考力を身につけるためのボードゲーム

 プログラミング学習には、PCやタブレットなどの機器が必須というわけではない。電子機器を使わない学習は、アンプラグドと呼ばれるが、最近はアンプラグド教材にも注目が集まっている。

 アンプラグド教材の代表がボードゲームだが、CAST JAPANのブースでは、同社が代理店となって販売しているボードゲームが多数展示されており、試遊する人で賑わっていた。こうしたボードゲームで論理的な思考力を身につけてから、PCを使ったプログラミングに取り組めば、上達も早いだろう。

CAST JAPANのブースでは、プログラミング学習に役立つボードゲームが多数展示されていた
実践編として展示されていた「AMAZE」(左)と「GRAVITY MAZE」(右)。どちらも8歳以上が対象
こちらも実践編として展示されていた「CIRCUIT MAZE」。出題された色のLEDを点灯させる電気回路をプログラミングするパズルだ
対象年齢5歳以上の「QUORIDOR KID」(左)と対象年齢6歳以上の「QUORIDOR」(右)。論理的思考力が身につく
こちらはコーディング編として展示されていた「ROBOT TURTLES」。4歳以上が対象で、PCを使わずにプログラミングを学習できる
こちらもコーディング編として展示されていた「CODE MASTER」。8歳以上が対象で、プログラミングの基本概念を遊びながら学べる
実戦的な推理&分析力編として展示されていた「HOPPERS」(左)と「CHOCOLATE FIX」(右)。HOPPERSは、カエルをジャンプさせて移動させ、ジャンプされたカエルを取り除いていくゲームで、CHOCOLATE FIXは、問題のヒントから、チョコレートの正しい配置を推測するゲームである
こちらはコーディング編として展示されていた「CODE ROVER CONTROL」。火星に送ったローバーをプログラミングでコントロールする
こちらもコーディング編として展示されていた「CODE ROBOT REPAIR」。ロボットの回路基板を修理するゲームだ
低年齢から遊べる基礎算数や英語を学べるボードゲームも展示されていた。手前側が「MARRAKECH」、その奥が「SUDOKU」。アメリカ式数独は、数字ではなく、カラーキューブを使って考える
こちらも基礎算数や英語を学べるボードゲーム。「BALANCE BEANS」(左)は、豆をシーソーに載せてバランスをとるゲーム。「MATHDICE」(右下)と「MATHDICE JR.」(右上)は、サイコロを振って出た目を使って計算式を作り、目的の数にするゲーム
こちらは総合学習編として展示されていた「KATAMINO」(左)と「QUATRO」(右)。KATAMINOはテトリスのようにブロックを組み合わせて、形を作るパズルで、QUATROは共通の特徴を持つコマを4つ一直線上に並べたら勝ちというゲームだ
総合学習編として展示されていた「RUSH HOUR」(左)と「KATAMINO」(右)。RUSH HOURは、駐車場から自分の赤い車を脱出させるパズルだ
実戦的な推理&分析力編として展示されていた「CHOCOLATE FIX」(左)と「QUIXO」(右)。QUIXOは、コマを反対側からスライドさせて入れ直し、先に自分のマーク(○か×)を一列揃えたほうが勝ちというゲームだ

段階的に学習できるロボットキットやコンパクトな光造形方式3Dプリンタの展示も

 ラジコン用サーボモーターやプロポ、ロボットキットなどを開発している近藤科学は、汎用性の高いロボットキット「KXR」や二足歩行ロボットキット「KHR-3HV」などを展示していた。KXRシリーズは、段階的に学習を行なえるように設計されており、最初はグリッパー部のみ、続いてアーム型ロボット、4輪ローバーと順次ステップアップできる。

近藤科学のブースでデモされていたロボットキット「KXR」と「KHR-3HV」(後ろの人型)
KXRで製作した4輪ローバーの動作の様子
KXRシリーズは、段階的に学習を行なえるように設計されている。最初のテーマでは、アーム型ロボットのグリッパー部のみを組み立てる
次のテーマでは、アーム型ロボットを組み立て、専用ソフトによる動作のプログラミングを行なう
次は4輪ローバーを組み立て、距離センサーや加速度センサーを使った自律制御を学ぶ
さらに次のテーマでは、Arduinoによる制御を学ぶ
今度は、4足歩行の首長竜ロボットを組み立て、Arduinoで制御を行なう
最後のテーマは、オリジナルロボットの開発と制御プログラムの開発である。KXRにオプションパーツを組み合わせることで、ヒューマノイドタイプのロボットにすることもできる
KXRのオプションパーツ。ジャイロセンサーや加速度センサーなどを追加できる
サーボアームやジョイントベース、ヒューマノイドロボット用の足裏なども用意されている

 Formlabsは、光造形方式の小型3Dプリンタ「Form 2」やその出力例を展示していた。Form 2は、机の上で気軽に使えるサイズながら、高精度の出力が可能であり、利用できるレジンの種類も多いことが魅力だ。

Formlabsのブースでは、光造形方式の小型3Dプリンタ「Form 2」が展示されていた
Form 2の出力例。利用できるレジンの種類も豊富である
こちらもForm 2の出力例。キャスタブルレジンを使うと、鋳造用の型を作ることができ、指輪などを鋳造で作ることができる
Form 2の造形の様子。レーザーを光硬化性樹脂(レジン)に照射して硬化させていく