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旧式メーカー製スリムデスクトップPCが4K対応で別物に
2018年5月30日 12:09
あまり高度な作業はしないので、なんとなく惰性で利用し続けてきた古いメーカー製のデスクトップPC。老眼の兆しかディスプレイの表示がだんだん見にくくなってきたこともあり、文字や表示が美しいという「4K対応液晶ディスプレイ」に乗り換えたいのだが、この古いPCでどうすればよいのかが分からない……ここではそんなユーザー向けに、古いPCで4K対応ディスプレイを利用するための基礎知識と、実際の導入方法を紹介する。また古いPCはメモリやストレージも弱いので、ここも強化していきたい(TEXT:竹内亮介)。
カテゴリー | |
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CPU | Intel Core i5-3570(3.4GHz) |
マザーボード | Intel Q77チップセット搭載 |
メモリ(空きスロット) | PC3-12800 DDR3 SDRAM 2GB×2(2) |
グラフィックス | Intel HD Graphics 2500(CPU内蔵) |
HDD | 500GB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
電源 | 240W(80PLUS Bronze) |
CPUクーラー | ブロアータイプ |
ここが不満
- 4Kディスプレイ快適利用には
スペック不足 - OSやアプリの起動が遅い
OptiPlex 7010 SFF搭載パーツと現在のスタンダードとの比較 | |
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CPU | |
搭載パーツ「Core i5-3570」 | 現在のスタンダード「Core i5-8600」 |
2012年に発売された、Ivy Bridge世代の4コアモデル。Windows 10を利用する程度ならまだまだ現役だ。ただしCPU内蔵グラフィックスで4Kディスプレイを利用するのはツライ。 | 内蔵コア数は6コアに増え、Turbo Boost時のクロックも4.3GHzまでアップし、性能は大きく強化された。 |
メモリ | |
搭載パーツ「PC3-12800 DDR3 SDRAM 2GB×2」 | 現在のスタンダード「PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×2」 |
2012年当時の主流はDDR3メモリだった。搭載量は4GBと少なめで、複数のアプリを切り換えながら使うのはツライ。DDR3メモリはまだ安く買えるので、増設はしやすい。 | IntelやAMDの最新CPUでは、PC4-21300以上に対応する高速メモリを標準でサポートするようになった。 |
システムドライブ | |
搭載パーツ「500GBのHDD」 | 現在のスタンダード「500GB前後のSSD」 |
2012年は、2011年に起きたタイの洪水でHDDが供給不足になり、価格が高止まりしていた時期だ。容量は少ないし、OSやアプリの起動も遅い。システムドライブはSSDに換装する。 | OSをインストールするPCのシステムドライブはSSDが主流に。 |
PCMark 10−Extended | CrystalDiskMark シーケンシャルリード | CrystalDiskMark シーケンシャルライト | |
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ベースPC(2012年) | 1,288 | 112.3 | 110.2 |
アップグレード後のPC(2018年) | 3,953 | 554.6 | 511.3 |
【検証環境】OS:Windows 10 Pro 64bit版、室温:22.6℃、PCMark 10:PCMark 10 v1.0.1493 ExtendedのScore、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.5.1 POWER SUPPLYテストを10分間動作させたときの最大値
マニュアルに従って拡張ベイなどを外す
海外の大手メーカー製PCは、メンテナンスしやすい構造を採用していることが多い。とはいえ何も考えずやみくもに作業すると、固定用のツメやフックを壊してしまうことがある。マニュアルをかたわらに置き、よく見ながら作業したい。紙のマニュアルをなくしてしまっても、多くのメーカーではWebサイトにPDFファイル形式でアップロードしているので、それをダウンロードすればよい。
今回使うOptiPlex 7010 SFFも、非常によく考えられた構造だ。重なった状態で組み込まれているスリムドライブや3.5インチHDDは、拡張ベイごと取り外し可能。また、それぞれの拡張ベイとドライブは、ドライバーなしで簡単に着脱できる。
それらの拡張ベイごとドライブを外すと、マザーボードにアクセスできるようになる。CPUクーラーやメモリスロット、拡張スロットの状況が一目で分かる構造だ。コンパクトながらも拡張の余地を十分に残しており、アップグレード作業も容易だ。
ビデオカードを追加して4K対応ディスプレイを接続
PCで利用する「4K対応ディスプレイ」は、基本的に横の解像度が3,840ドット、縦の解像度が2,160ドットの液晶ディスプレイのことを指す。フルHD対応ディスプレイでは縦が1,920ドットで横が1,080ドットなので、ドット数で比較するとフルHD4枚分のドットを表示できる計算となる。パネルサイズが同じであれば、より精細な画像や文字が表示できるのだ。
またWindowsでは「スケーリング」という機能を導入しており、100%以上にスケーリングを設定することで、アイコンや文字を拡大し、ジャギーのない美しい表示が行なえる。Windows 10ではこのスケーリング機能が強化されているため、4K対応ディスプレイを利用しやすくなっている。
そのままではリフレッシュレートは30Hzビデオカードの追加は必須
詳しいことは後述するが、4K対応ディスプレイに4K解像度で出力する場合、PCはHDMIかDisplayPortの出力端子を装備する必要がある。OptiPlex 7010 SFFはDisplayPortを2基備えており、実はビデオカードなしでも4K解像度の表示は行なえた。
ただし、理由は不明だが4K対応ディスプレイのみを接続した状態だとPCが起動しない。DisplayPortの一方にフルHD対応ディスプレイ、もう片方に4K対応ディスプレイという環境でないと、4Kディスプレイ側にデスクトップが表示されないのだ。
また4K対応ディスプレイの「リフレッシュレート」(1秒間の画面書き換え回数)が30Hz(つまり秒間30回)で、動きがカクカクしている。これでは4K対応ディスプレイを接続しても快適に利用することはできない。ということで、やはりビデオカードの増設は必須である。
GeForce GT 1030搭載Low Profileカードがオススメ
まずはどのようなビデオカードが最適かを考えたい。ビデオカードを含む拡張カードは、PCが装備する拡張スロットのサイズに合わせる必要がある。OptiPlex 7010 SFFでは、Low Profileという幅が狭いタイプのビデオカードに対応する。
次に、GPUの対応規格を確認する。左の表は、Low Profileのビデオカードに搭載されることが多いGPUの4K出力対応状況を整理したものだ。前述のリフレッシュレートは、表示のなめらかさに影響する。フルHDディスプレイでは一般的に60Hzであり、1秒間に60回の画面書き換えを行ない、スムーズで違和感のない表示を行なう。そして4K解像度でリフレッシュレート60Hzでの表示を行なうには、「HDMI 2.0」か「DisplayPort 1.2」以降の規格に対応するビデオカードが必要だ。
OptiPlex 7010 SFFではLow Profile対応ビデオカードしか使えないことを考えると、現実的にはNVIDIAの「GeForce GT 1030」を搭載するカードが有力な選択肢になるだろう。MSIの「GeForce GTX 1050 Ti 4GT LP」のように、3D描画性能の高いGeForce GTX 1050 Tiを搭載するモデルもある。しかしPCゲームをプレイする予定がないなら、そこまでよくばる必要はない。
4K対応ディスプレイ側の対応も確認しておこう。4K解像度でリフレッシュレート60Hzの表示を行なうには、4K対応ディスプレイ側も、HDMI 2.0以上やDisplayPort 1.2以上に対応していなければならない。
かすんだ表示がくっきりと老眼を意識したら4Kに移行
実際のアップグレード方法は、下で紹介しているとおりだ。ビデオカードを拡張スロットに挿すだけでよい。最新版のデバイスドライバをインストールすれば、残りの設定は基本的に自動で行なわれる。
フルHD解像度の液晶ディスプレイと比べると、文字やアイコンがくっきりと表示されることに驚く。筆者は以前、文字やアイコンがかすんで見えるのは目が悪くなったせいだと思っていたが、4K対応ディスプレイを導入したら解決してしまった。老眼を意識するユーザーにこそ、4K対応ディスプレイへのアップグレードをオススメしたい。
HDMI 2.0とDisplayPort 1.2に注目
以下は、現状で購入しやすいローエンド~ミドルレンジクラスのビデオカードが搭載するGPUの対応規格を整理した表だ。4K解像度時に、リフレッシュレート60Hzで表示したいなら、HDMI 2.0以上か、DisplayPort 1.2以上に対応するものを選ぼう
メーカー名 | GPU | 搭載ボードの実売価格 | 4K解像度でリフレッシュレート60Hz表示 |
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AMD | Radeon RX 550 | 12,000円~15,000円前後 | 現行世代のローエンドモデル、DisplayPortとHDMIが対応 |
Radeon RX 560 | 14,000円~20,000円前後 | 現行世代のエントリーモデル、DisplayPortとHDMIが対応 | |
NVIDIA | GeForce GT 730 | 7,000円~10,000円前後 | 前世代のローエンドモデル、対応しない |
GeForce GT 1030 | 8,000円~10,000円前後 | 現行世代のローエンドモデル、DisplayPortとHDMIが対応 | |
GeForce GTX 1050 | 14,000円~18,000円前後 | 現行世代のミドルローモデル、DisplayPortとHDMIが対応 | |
GeForce GTX 1060 | 30,000円~46,000円前後 | 現行世代のミドルレンジモデル、DisplayPortとHDMIが対応 |
メモリやSSDの増設も簡単に行なえる
一つ一つの操作に対する応答性が鈍く、もっさりしている原因は、メモリが少ないことと、システムストレージが古い3.5インチHDDであることだ。使用感を改善するために、ここにもメスを入れていこう。
メモリは、PC3-12800のDDR3 SDRAMが2枚組み込まれている。容量は2GB×2なので合計4GB。Windows 10を利用するにはやや心もとない容量なので、空いているメモリスロットにメモリを増設しよう。今回は8GBモデルを2枚追加し、合計で20GBにしたところ、3分以上かかっていたWindows 10の起動が3分未満に改善された。
システムドライブをSSDに変更起動時間が大幅に短縮
さらにシステムドライブを2.5インチSSDに変更しよう。今回は使用頻度の低くなった光学ドライブを外したままにし、そこに2.5インチSSDを入れてケーブルを挿し直すだけなので、作業的には簡単だった。SSDに交換することでOS起動時間はさらに1分前後まで短縮され、使用感も大幅に向上した。
なお、2.5インチSSDを固定する場所がないので宙ぶらりんになってしまうが、運用上は問題ない。気になるなら、粘着テープ付きの面ファスナーなどで、フレームやドライブベイに貼り付けてしまおう。
DOS/V POWER REPORT 7月号は「PCの強化・延命」がテーマ
DOS/V POWER REPORT 7月号の特集は「パーツ交換でPCをもう3年使う~メーカー製PCも自作PCもめんどう見ます~」。この特集では、3年前、5年前の古いPCのパーツを交換することで、より長く使い続けるテクニックについて解説します。CPU交換、メモリ増設、ビデオカード増設、HDD→SSD換装といったパーツのカテゴリごとに交換に必要な知識から、交換用にオススメのパーツまで紹介し、スタンダードノート、ゲーミングノート、ゲーミングデスクトップ、スリムデスクトップ、Sandy Bridge自作機、AMD FX自作機のアップグレード実例を詳しくお見せします。自作PC、メーカー製PCを問わずに使えるテクニックを満載した本特集をぜひご覧ください。