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インテル、つくば本社を東京本社に統合

インテルつくば本社※2012年三浦優子氏撮影

 インテル株式会社は、茨城県つくば市のつくば本社を、2017年1月1日付けで東京本社に統合する模様だ。

 同社は、東京・丸の内の東京本社とともに、つくば本社の国内2本社体制を敷いていたが、今後、つくば本社の機能を東京本社に集約し、1本社体制とする。

 つくば本社は、1981年に、研究開発拠点として開設。今年で35年目を迎えていた。かつては、日本のPCメーカーを始めとする国内企業と、モバイル関連技術の共同開発を行なうなど、日本のPC産業の拡大において、重要な役割を果たしてきた拠点。1976年に日本法人を設立したインテルにとっても、早い時期から設置した拠点であり、同社の日本国内の事業展開上、象徴的な役割を担っていたほか、つくば市や筑波大学との地域連携を行なうなど、地域に根ざした取り組みも積極化していた。

 昨今では、つくば本社は、国内サプライヤーとの連携窓口としての役割を果たしており、世界各国のインテルの工場で使われる半導体製造装置や、材料メーカーとの連携窓口としての役割に加えて、品質管理、人事や経理部門など、約150人の社員が勤務していた。

 また、つくば本社内には、IoT関連の最新技術やセンサー、ロボットなどを利用したデモストレーションを行なったり、インテルの歴史展示が見られたりする「インテル コラボレーションセンター」を開設しており、メーカー企業やエンドユーザー企業との協業においても同センターが活用されていた。

 今回のつくば本社の閉鎖は、2016年4月に米本社で発表された事業再編策の一環として、春から検討が行なわれてきたものだ。

 新たな事業方針では、これまでのPCを主軸とした事業体制から、データセンターおよびIoTなどの分野へとシフトする姿勢を明確に打ち出す一方、従業員の11%に相当する12,000人を削減することも発表。つくば本社の閉鎖は、その中で実施されている世界的な拠点再編の動きの1つとなる。

 国内のサプライヤーとの窓口機能は、つくば本社閉鎖後には、米本社に集約するのではなく、日本法人の東京本社へと集約する考えだ。各種機能も基本的には、東京本社に集約する。

 2016年12月15日に本誌を始めとするメディアへの共同インタビューに応じたインテルの江田麻季子社長は、記者からの質問に対して、日本法人の役割について発言。「インテルは、データを作る『デバイス』、データを運ぶ『ネットワーク』、データを解析する『クラウド/データセンター』の全てに関わるデータ・カンパニーを目指す。日本市場は、こうしたインフラが整っており、優れた技術を持ったパートナーがいる市場。その一方で、解決しなくてはならない課題も多い。こうした国は世界を見渡しても数が少なく、世界に先駆ける形で、インテルの技術を活用した課題解決に取り組むことができる。そこに日本法人の役割がある」とコメント。「私が米国本社から求められているのは、インテルのハードウェアが、さまざまな場面で活用されることによって、出てくる価値を、日本から創造することである」などと語っており、今後も日本法人の役割に変更がないことを強調している。

インテルの江田麻季子社長