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レノボ、ThinkPadでテレワーク時の“万が一”を500万円まで補償
2018年4月13日 13:51
レノボ・ジャパン株式会社は、テレワーク時の情報漏えいが原因の損害にする保険が付帯した「あんしんテレワークPC」を発表した。法人のみに提供され、4月17日より受注を開始する。
あんしんテレワークPCでは、テレワーク時のPC紛失、情報漏えいなどのトラブルに対応した「テレワーク保険」が付帯する。保険の正式名称は「特定危険担保特約付帯サイバーリスク保険」で、東京海上日動火災保険株式会社が提供する。
この保険は2018年1月に、日本マイクロソフトと協力して発表されており、今回が初の導入事例にあたる(日本マイクロソフト、ITの近代化を実現すべくMicrosoft 365の訴求を目指す参照)。なおレノボによれば、購入時点で保険が付帯する法人ノートPCは、日本で業界初だという。
保険付帯の対象となるのはLTE搭載オプションの用意されたThinkPadの一部製品で、ThinkPad X1 Carbon/X1 Yoga/X1 Tablet、ThinkPad X280/X380Yoga/T480sの6製品。
オプションでLTE搭載を選択することで、自動でテレワーク保険が付帯し、追加の料金などはなく、既存のLTE搭載モデルと同じ価格で提供される。PCに付帯する保険のため、別途東京海上日動と契約などを結ぶ必要はない。
補償されるのはメールの誤送信や機器の紛失、標的型メール攻撃による情報漏えい、ランサムウェア感染による金銭要求、マルウェア感染などの情報セキュリティに関する事故で、PC本体の物理的破損などは補償対象外。
損害賠償金や弁護士費用、対応に要した残業代、原因調査費、情報漏えいの見舞金などについて保険金が支払われる。1台あたり最大50万円、1企業あたり500万円が上限となっている。
保険の有効期間は1年間で、東京海上日動では更新オプションの用意を検討しているという。
記者会見では、レノボ・ジャパン株式会社 執行役員専務の安田稔氏、東京海上日動火災保険株式会社 常務執行役員の大塚祐介氏が登壇。
安田氏は、レノボ・ジャパンでは働き方改革に取り組んでおり、育児などのために在宅勤務時間を増やす、どちらかというと“保守的”な動きではなく、時間や場所にとらわれない柔軟性の高い働き方、個々人に最適な環境を提供することによる労働生産性の向上、企業の内/外の壁が溶けていくことでの共創型プロジェクトの実現という「攻めの働き方改革」を目指していると説明。
そのなかで、テレワークは起爆剤となり得る手段だと述べた。
テレワークの普及に向け、同社では日本のテレワーカーに最適なノートPCや周辺機器、コミュニケーション環境の製品化を行なっているほか、NECレノボジャパングループとして「無制限テレワーク」を制度化し、自社で実践しているとした。
しかし、2020年に35%を掲げる政府目標に対し、実際にテレワークを導入している企業は、大企業でも20%、中小では3%しか導入されていないという。
同氏は、そのおもな原因は、導入効果の把握が難しいこと、適正な労働管理が困難という理由に加え、「セキュリティの確保」がもっとも大きな導入を見送る理由であると述べた。
今回発表されたあんしんテレワークPCでは、PC単体で「どこでもネットワークに接続できる」、「どこでも安全な通信ができる」、「どこでも管理対象になる」という3つを実現し、それにセキュリティ事故の損害補償、対応費用を保険でカバーすることで「万が一への備え」を設け、PCの持ち出しに“+α”の安心を提供すると説明。安心して使えるテレワークのためのPCを提供するとした。
大塚氏は、東京海上日動では、経営戦略として働き方改革に取り組んでいると述べ、その一環としてテレワークの対象を17,000人の全社員に拡大していると説明。実際にテレワークを導入したことで見えてきた課題などをもとに、「テレワーク保険」を発表したと語った。
テレワークの最大の課題はセキュリティだが、ICTの整備だけでは不安を払拭できないのが現状であると述べ、そこをカバーするのが保険であるとした。
企業向けに「サイバーリスク保険」としてより大規模な保険は用意しているが、高額なため中小企業などでの導入は難しいことから、保険単体で提供せず、PC付帯という形で端末が感染した場合にのみカバーする「テレワーク保険」の提供に至ったと説明した。
なお、レノボ以外のメーカーとも同保険の提供に向けた協議が行なわれているという。
今回レノボではLTE搭載モデルのみで保険の付帯を行なっているが、同社によれば、東京海上日動では「Windows 10を搭載した安全なPC」を対象に提供するという条件のため、必ずしもLTE搭載PCだけに提供される保険ではなく、今回の製品のフィードバックなどを参考に、LTEオプションが用意されていないPCでも保険を付帯する可能性もあるとのことだ。