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Apple、IP67防水防塵になった「iPhone 7」

~ついにFeliCa対応。カメラは手ブレ補正付き

iPhone 7 Plus

 米Appleは7日(現地時間)、IP67防水防塵になった「iPhone 7」シリーズを発表した。日本では9月9日より予約開始をし、16日に発売する。搭載OSはiOS 10。

 iPhone 6s/6s Plusは容量16GB、64GB、128GBの3モデルだったが、iPhone 7は価格据え置きで32GB、128GB、256GBという3つのラインナップとなった。後述するが、新たに投入されるジェットブラックは128GBと256GBのみ。

 税別価格は、4.7型液晶搭載「iPhone 7」の32GBモデルが72,800円、128GBモデルが83,800円、256GBモデルが94,800円。5.5型液晶搭載「iPhone 7 Plus」の32GBモデルが85,800円、128GBモデルが96,800円、256GBモデルが107,800円。

iPhone 7(右)とiPhone 7 Plus
iPhone 7

 iPhone 7の最大の特徴は、内部にシーリングを施すことでIP67に準拠した防水防塵仕様になった点。なお、規格上粉塵が内部に侵入せず、水中に漬けても影響を受けないものだが、Appleは水濡れによる損傷は保証の対象外になるとしている。

 防水防塵になったのをきっかけに、ホームボタンが従来のクリック感のあるタイプではなく、本体と一体化した「ソリッドステートボタン」となった。クリックの感触は新たに搭載された「Taptic Engine」によってフィードバックされ、あたかもホームボタンを押したような感覚が得られるという。さらに、ホームボタンはAPIでさまざまな定義が可能となった。

 iPhone 7では、従来のブラック、シルバー、ゴールド、ローズゴールドに加え、新たに9段階の酸化皮膜処理と研磨加工を施すことで高光沢を実現した「ジェットブラック」色を用意する。

ジェットブラック
多くの工程を得てジェットブラックが完成する
ホームボタンはソリッドステートボタンとなった
シーリングを採用し、IP67準拠の防水機構となった
水に落ちても大丈夫

 NFCによる決済機能「Apple Pay」は、ついに日本国内で使用されているFeliCaに対応した。これによりSuicaといった非接触決済にも対応可能となる。Suicaは10月にも対応がされる予定で、電車乗降時にも利用できるという。なお、同時発表された「Apple Watch Series 2」のNFCにもFeliCa対応が加わっている。Apple PayのFeliCa対応についてはAppleが特設サイトで解説しているので、合わせてご覧頂きたい。

FeliCa対応になったためSuicaが使えるようになった

 iPhone 7のカメラユニットには新たに光学手ブレ補正機構が搭載された。これにより3倍長い時間の露光が可能になった。その一方でカメラレンズの明るさはF1.8となり、従来から光量が50%向上。センサーも60%高速化され、効率が30%改善されている。付属するLEDフラッシュも「Quad-LED True Tone flash」となり、4つのLEDを制御することで自然に近いホワイトバランスが得られ。また、従来より光量が50%向上した。

 新カメラの搭載に伴い、SoCに内蔵されるイメージ処理プロセッサもスループットが2倍となった。1枚あたり1,000億回を超える処理をわずか25ms(ミリ秒)以内に処理できるという。これに伴い、ライブフォトのキャプチャおよび編集用API、RAW(DNG形式)で画像を保存するAPI、広色域キャプチャAPIなどが追加された。前面のFaceTime HDカメラに関しても、700万画素に強化されている。

 上位の「iPhone 7 Plus」では、新たに広角レンズと望遠レンズ(F2.8、2倍)のデュアルレンズ構成となった。いずれも単焦点で切り替え式だが、望遠レンズを使えば改良されたデジタルズームと組み合わせ、最大10倍のズームを実現しながら、画質を大幅に向上させるとしている。

 さらに、iPhone 7 Plusだけの機能として、ポートレート撮影時にソフトウェアによって被写界深度を浅くするエフェクトが、年末にソフトウェアアップデートによって提供される。カメラアプリに統合され、パノラマやスクエア写真、スローモーション撮影を行なうのと同様、画面を左右にスワイプしてポートレートを選ぶだけでこの機能が有効になる。

iPhone 7 Plusでは10倍デジタルズームが可能
一新されたカメラセンサー
クアッドLEDフラッシュ
光学式の手ぶれ補正ユニットを内蔵
F1.8の明るいレンズ
6群のレンズユニット
新開発のイメージ処理プロセッサはスループットが2倍となった
1,000億の処理を25ms以内に完了させる
iPhone 7 Plusでは、ポートレートモード時に人物の体などを認識し、被写界深度をソフトウェア的に浅くできる
被写界深度フィルタを適用した写真例

 内蔵するSoCは「A10 Fusion」となった。A10は2つの強力なCPUコアと2つの省電力コアを組み合わせた、いわゆる「bigLITTLE」構成となる。高性能コアの方はA9より40%、A8より2倍高速。一方省電力コアは消費電力を5分の1に抑えられる。この制御を行なうためのパフォーマンスコントローラも新たに開発し、iPhone 7はiPhone 6sより2時間、iPhone 7 PlusはiPhone 6s Plusより1時間長時間駆動が可能。iPhone史上最長のバッテリ駆動時間を実現している。

 GPUに関しても、A9より50%、A8より3倍高速となった。その一方で消費電力はA9の3分の2、A8の2分の1になったという。初代iPhoneと比較すると、グラフィックス性能は実に240倍に達した。

SocはA10 Fusion
グラフィックス性能は初代の240倍
このような高度な3Dグラフィックスを実現する
バッテリ駆動時間もシリーズ最長となった

 Retina HDディスプレイも強化され、最高輝度が従来より25%向上したという。また、広色域により写真の再現性も高まっている。スピーカーはiPhoneシリーズとしては初めて、横置き時に左右独立したチャネルを持つステレオスピーカーとなった。ダイナミックレンジが改良されたほか、音量も2倍向上しているという。

 なお、上部へのスピーカーの搭載に伴い、3.5mmステレオミニジャックは本体から廃止された。音声出力はLightningコネクタを通じてデジタルで出力を行ない、標準で付属するイヤフォンもLightning接続のデジタルタイプとなっている。なお、従来の3.5mmステレオイヤフォンを使いたいユーザーのために、Lightning→3.5mmステレオミニジャックもバンドルされる。

 無線周りでは、新開発の無線ヘッドセット「AirPods」が紹介された。標準付属するEarPodsからケーブルを省いただけのように見えるこのAirPodsには、さまざまな革新的な機能が搭載されている。

AirPods

 まず、AirPodsはケースに収められているのだが、このケースはバッテリを内蔵しており、AirPods本体へ無接点充電を行なう役割を持っている。AirPods単体では5時間の連続再生に対応しているのだが、ケース内蔵のバッテリと組み合わせることで合計24時間の駆動が可能になる。

 もう1つ特徴的なのは、iPhoneの近くでこのAirPodsのケースの蓋を開けるだけで、iPhoneがAirPodsとのペアリングを1ステップで行なえる点。蓋を開けると画面にAirPods検出のポップアップが出るので、そこに表示されている接続ボタンを押すだけで本体とペアリングできる。

 AirPodsはヘッドセットとして機能するため、マイクや通信アンテナ、バッテリはもちろんのこと、2つの光学センサーと2つの加速度センサー、およびAppleが新開発した「W1」チップも内蔵されている。これにより、AirPodsをダブルタップすることでSiriを起動するといった動作を実現する。

AirPodsの外観
AirPodsの紹介ビデオより
ケースの蓋を開けるだけでペアリングのポップアップが出る
AirPodsの構造

 そのほかの仕様は、iPhone 7の液晶は1,334×750ドット表示対応の4.7型IPS、iPhone 7 Pluseの液晶は1,920×1,080ドット表示対応の5.5型IPS。いずれも1,400:1のコントラスト比を持ち、3D Touchをサポートする。日本での対応キャリアはソフトバンク、au、NTTドコモ。

 対応バンドは、FDD-LTEが1/2/3/4/5/7/8/11/12/13/17/18/19/20/21/25/26/27/28/29/30、TD-LTEが38/39/40/41、TD-SCDMAが1,900/2,000MHz、CDMA EV-DO Rev.Aが800/1,900/2,100MHz、UMTS/HSPA+/DC-HSDPAが850/900/1,700/2,100/1,900/2,100MHz、GSM/EDGEが850/900/1,800/1,900MHzなどとなっている。LTEの最大下り通信速度は450MHz。また、IEEE 802.11ac対応無線LANやBluetooth 4.2、NFCを備える。

 本体サイズおよび重量は、iPhone 7が67.1×138.3×7.1mm(幅×奥行き×高さ)/138g、iPhone 7 Plusが77.9×158.2×7.3mm(同)/188g。

 なお、iPhone 6sと6s Plusはしばらく併売するが、最低容量は16GBを廃して価格据え置きで32GBになる。また、旧モデルのiOS 10アップデートは13日に予定されている。