やじうまミニレビュー
見た目で区別できないUSBケーブルの仕様がたちどころに分かる「Treedix USBケーブルチェッカー」
2025年11月27日 09:45
USBケーブルを差し込むだけで詳細なスペックを教えてくれるケーブルチェッカーは、見た目では分からないUSBケーブルの素性を知るのに重宝するアイテムだ。こうしたアイテムを家庭に常備しなくてはいけない時点で、規格としてどこかおかしい気はするが、ともあれ機会があれば手に入れておくに越したことはないのが現状だ。
この分野で知名度が高いのは、ビット・トレード・ワンが販売している「USB Cable Checker3(以下UCC3)」で、こちらはケーブルに加えてUSBポートの素性もチェックできるスグレモノだが、価格は1万円オーバーとやや高価。機能面は十分すぎるほどだが、初めてこうしたチェッカーを買う人にとっては、価格面で少々抵抗はあるだろう。
これに対して、今回紹介するTreedixのUSBケーブルチェッカーは、チェック対象はケーブルのみでポートチェックには非対応だが、6千円台というリーズナブルな価格が特徴だ。実機を購入したので、「UCC3」との違いを中心に、製品の特徴をチェックしていこう。
USB Type-CだけでなくMicro USBやLightningにも対応
Treedix USBケーブルチェッカーの本体の厚みは1.5cmほど。側面にUSBポートがあり、ここにケーブルを挿してスイッチをオンにすると、上面に搭載された液晶画面に、それらのスペックが表示される仕組みだ。この種の製品は基板だけで販売されていることもあるが、しっかりした樹脂製のケースに組み込まれているので安心して使える。
USBポートは、USB Type-C、USB Standard-A(以下USB Type-A)に加えて、Mini-B(Mini USB)、micro-B(Micro USB)、さらにはLightningも搭載する。前回紹介した「USB Cable Checker3」は、USB Type-C以外はUSB Type-AポートとMicro USBのみという割り切った設計だったので、さまざまなポートに対応していることは、本製品の1つの強みだ。
液晶画面は2.4型と「UCC3」の2倍近くのサイズがあり、そのぶん余裕を持って情報を表示できる。小さな画面に高密度で情報を表示する「UCC3」に対して、本製品は見やすさを優先している印象だ。
電源は、内蔵の単四電池1本か、あるいはUSB給電の2択だが、本製品はこのいずれかを選択するスイッチが実質的な電源ボタンになっており、使い終わったあとにオフにするのを失念しやすいほか、スリープ時も変わらず放電していると思しき挙動が見られるので、なるべくUSB給電で使用することをおすすめする。これに関しては「UCC3」のほうが使い勝手は上だ。
4つの画面を切り替えてケーブルにまつわるさまざまな情報を表示
では、具体的にどのような情報を表示できるのかを見ていこう。利用にあたっては電源をオンにしたのち、まず右側面、次いで底面の順にUSBケーブルを挿入。側面にあるFnボタンを押すことによって測定が実行される。ちなみにポートは左側面にもあるが、こちらは給電用のUSB Type-Cポートなので間違えないようにしたい。
画面は4つに分かれており、側面のボタンを繰り返し押すことで、それらがループ表示される仕組みだ。
1番目の画面で分かるのは「データ転送速度」および「USB PD規格」。前者はUSB 2.0とUSB 3.2の2択で、USB4以上でもすべて「USB 3.2」扱いとなる。最新規格のUSB4以上には非対応だが、USB 2.0なのか、それ以上なのかという大雑把な判別であれば問題ないが、より詳細な測定をするには向かない。後者はUSB PD 3.0もしくは3.1の2つで、両方消灯していればUSB PD 2.0と見なされる。
2番目の画面は、USBケーブルの内部の結線を表示してくれる。すべてのラインについて表示されるので、具体的に結線を見たほうが分かりやすいという人に適しているほか、断線をチェックするには重宝する。ちなみにMicro USBやLightningなど、ケーブルの種類によって画面のデザインは変化する。このあたりの作り込みは細かい印象だ。
3番目の画面は抵抗のテストで、プルアップ/プルダウン抵抗の測定のほか、内部の抵抗値、およびシェルの接地状態を見ることができる。内部の抵抗値はほかのチェッカーでもおなじみの項目で、ケーブルの品質の良し悪しを比較する場合に役立つ。
最後の画面は、USB Type-CケーブルのeMarkerに書き込まれている内容を読み取るモードで、アクティブかパッシブかといったケーブルタイプの判定、レイテンシの表示、USB PDへの対応状況の表示、転送速度、ベンダーIDなどの情報を表示できる。電源についてはEPRへの対応の有無も表示できる。またThunderboltへの対応の有無も表示可能だ。
これらは1番目の画面と内容が重複しているように見えるが、この画面で表示されるのはeMarkerに書き込まれたいわば「自称」のスペックであり、つまり偽装の余地があることに注意したい。その一方、1番目の画面でUSB 3.2と表示されていても、こちらの画面ではUSB4対応であることが表示されたりと、今後登場する新しい規格も含めて表示が(自称ではあるものの)可能だと考えられる。
ケーブルチェッカーとしては必要十分。実売6千円台で導入しやすい
最後に、前回の「UCC3」と比べて、画面にどのような違いがあるのか、同じケーブルを測定した結果を掲載しておく。測定対象のケーブルは、USB 40GbpsおよびUSB PD EPR(最大240W)に対応した、エレコムのUSB4ケーブル「USB4-CCPE10NWH」を用いている。
本製品は4画面、「UCC3」は2画面でケーブルにまつわるすべての情報を表示できる。4画面あるからといって情報の種類が多いわけではなく、同じ情報の見せ方が異なっているだけで、ほとんどの情報は同じものだ。
一方で4画面目にあるベンダーIDは、UCC3では内蔵のリストと付き合わせてベンダー名まで表示しているが、本製品はIDのままだったりと、付加価値の面ではUCC3のほうが上という印象だ。もっともケーブルの結線も含めて生に近いデータのほうが扱いやすい人もいるはずで、どちらが優秀というよりは好みの問題だろう。
以上のように、「UCC3」のようなポートチェック機能こそないものの、ケーブルの素性を知る目的であれば十分で、またLightningケーブルなどに対応できる強みもある。何よりのメリットは実売価格が6千円台と、ケース入りの製品としては比較的安価なことで、この種の製品を買ったことがないユーザーにとっては、心理的なハードルは低いだろう。
気をつけたいのは、Amazonの評価を見る限り、初期不良の割合がやや高めに見えることだが、しばらく使っていると発生するタイプの不具合ではなく、最初に使った時点で一目瞭然であることが多いようなので、本稿を参考に挙動をチェックすればトラブルは回避できるだろう。こうしたUSBチェッカーが便利なことは分かっていつつ、コストの高さからこれまで導入できなかったユーザーにお勧めしたい製品だ。
































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