やじうまミニレビュー
PCやNASの不意の電源断を回避したい人に。汎用の電源コードと交換するだけで使える「ロック式抜けない電源コード」
2025年8月13日 06:13
動作中のPCやNASを移動させようとして電源ケーブルが不意に抜け、シャットダウンの憂き目に遭ったことがある人は多いだろう。運転中に場所を動かそうとするユーザーの側が悪いと言えば悪いのだが、ほんのちょっと置き場所をずらそうとしただけで抜けてしまうのは、納得がいかないものである。
そんな電源ケーブルの不意の脱落を防止してくれるのがトキトレーディングの「ロック式抜けない電源コード(COD-WS001002A)」だ。汎用のIEC規格 60320 C13型(IEC C13)の電源プラグに、抜け止め機能を追加した便利な製品だ。
この形状の電源ケーブルが用いられているのは、PCやNAS、モニター、また電源が外付けになっている製品のACアダプタといったところだろうか。PCのマニアであれば、この形状の電源ケーブルが、家に数本どころか10本以上は転がっていてもおかしくない。
本製品は、それら汎用の電源ケーブルと互換性があり、交換するだけで利用できる。PCやNASの電源の差込口はそのままに、ケーブルを本製品に取り替えるだけで恩恵に預かれるのがメリットだ。
具体的な仕組みを見ていこう。本製品はプラグの左右に、赤色のつまみを搭載している。ケーブルを抜く場合は、このつまみを手前にスライドさせながらケーブルを抜く。ただそれだけだ。スライドさせずにそのまま引っ張っても、ロックがかかっていて抜くことができない。
実際の構造はどのようになっているのだろうか。先端にある3つの穴のうち中央の穴を見ると、側面のつまみをスライドさせることで、内側の金属パーツが動いてロックが解除され、元に戻すと金属パーツが出てきてロックされるのが分かる。さすがに数十kgもの荷重をキープするほどの保持力は期待できないが、不意にケーブルを引っ掛けて抜けてしまうトラブルは、ほぼ完全に回避できると考えてよい。
そもそもこうした電源ケーブルが、一定の力が加わると抜ける設計になっているのは、機器本体が引きずられてダメージを被るのを防ぐ意味合いもあるので、本製品のようなロック機能を備えた製品は、時と場合によっては利用が不適切な場合もあると考えられる。価格が1桁ないしは2桁は上の産業機器であればなおさらだ。
それでも個人ユーザーにとっては、PCに差し込んだプラグが徐々に緩んできて、冒頭に紹介したようにちょっと置き場所をずらそうとした時に抜けてしまったり、あるいは足を引っ掛けて脱落することのほうが、より脅威という人も多いはず。そうした人にとっては、本製品は十分なメリットがあるはずだ。
そんな本製品の実売価格は2千円程度。過去にケーブルの脱落によって重大なデータの損失事故を起こした経験がある人にとっては、まったく問題にならない額だろう。メーカーであるトキトレーディングは医療機器や産業機器を取り扱っており、本製品もPSEをきちんと取得しているので、一定の信頼が置けるとみてよいだろう。
ネックとなるのは、コンセントに差し込む側が2P仕様のモデルはすでに終息しており、現状は3P仕様のモデルしか販売されていないこと。また販路も、Webでざっと探した限りでは、筆者が今回購入したヨドバシドットコムや共立エレショップなどごくわずか。製品の便利さがより知られることで販路が拡大しつつ、また2Pモデルが復活するのも望みたいところだ。
