やじうまミニレビュー

かわいいだけじゃない。人気のデスクトップマスコット「Desktop Mate」とは

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Desktop MateのSteam上のページ

 2025年1月8日にインフィニットループが公開した「Desktop Mate」が人気だ。
公開から2日経過した1月10日時点で30万ダウンロードを達成したという。

 Desktop Mateは“次世代のデスクトップマスコットプラットフォーム”と謳っているのだが、まずはデスクトップマスコットについておさらいしていこう。

 デスクトップマスコットとは、OSのデスクトップ画面上に動きのあるキャラクターを表示し、ユーザーへ話しかけてくれるソフトウェアのことを言う。画面上のキャラクターが動いたり、会話したりすることにより、楽しさをユーザーへ与えることがデスクトップマスコットのゴールとなる。あくまでも筆者の肌感覚ではあるが、Windows 98からWindows XP時代頃まではこのようなカスタムが流行っていたように思える。

 今回公開されたDesktop Mateは美麗なグラフィックでキャラクターが動き回るところが特徴で話題になったことはもちろんだが、基本無料で追加キャラクターをDLCで課金という形態なので導入までの障壁が低かったところもポイントと言えるだろう。

Desktop Mateの特徴

 Desktop Mateの特徴は以下の通りだ。

  • リアルタイムな3Dキャラクター表示
  • ウィンドウ上での着座やジャンプなどの多彩なアクション
  • マウスによる対話的なコミュニケーション
  • 便利なアラーム機能

(公式サイトより)

順を追って紹介していこう。

リアルタイムな3Dキャラクター表示

 まず、Desktop Mateはデスクトップマスコットとしてはリッチな3Dキャラクターが表示される。無料で使用できるキャラクターはインフィニットループ公式イメージキャラクター「あいえるたん」となる。DLCの第1弾キャラクターとしては「初音ミク」が用意されており、2025年2月8日にはSNOW MIKU 2025の開催に合わせた形で「雪ミク SNOW MIKU 2025 Ver.」が登場予定という。

 美麗な3Dキャラクターに加えて、影も搭載されていることにより、デスクトップに奥行き感を出すことができている。

 現状キャラクターが喋ることはないが、今後登場するキャラクターによってはボイス搭載が予定されているものもあるそうだ。

インフィニットループ公式イメージキャラクター「あいえるたん」は配信でも制限なく使用できる

 システム要件としては、最低でCPUがCore i5-8250U 1.6GHz/Ryzen 3 3300U、ビデオカードがIntel UHD Graphics 730/Radeon VEGA 8ということで、Windows 11が動作する世代の内蔵GPU環境であればおおよそ大丈夫と考えて良いだろう。

 なお、筆者はRyzen 7 7700+NVIDIA RTX A2000 6GB(GeForce RTX 3050~3060くらいの性能)の環境で使用しているが、CPU使用率が5%程度、GPU使用率が20%程度(グラフィック設定:高)だった。動作が重い場合やデスクトップマスコットにそこまでリソースは割きたくないぜ……という読者はグラフィック設定を下げればフレームレートを下げることが可能だ。

筆者の中では「GPU 20%の女」という認識

ウィンドウ上での着座やジャンプなどの多彩なアクション

 Desktop Mateはデスクトップ上で立ちっぱなしが基本状態ではあるが、ウィンドウやタスクバーに近づけると座ってくれる。ウィンドウに座っているときはアクティブなウィンドウへ追従する動作(ジャンプ)をするため、常に自分の視界にキャラクターが表示されるようになる。

 実際のところこの動作は、「お座りマスコット」として一時期流行っていたELEMENTAL SOFTの「ActWin32」(およびその派生となるX Window System向けのActX等)を現代にアレンジしたものと筆者は勝手に認識している。

 また、画面の隅に持って行くと、マウスポインタを近づけた時だけヒョコッと出てくる仕草をしてくれる。作業中にあまり邪魔にならないため嬉しい配慮だ。

 左右に分割したディスプレイの境界で同様に行なうと、見えない部分のキャラクターがどうなっているのか確認できる(これが仕様なのかは分からないが……)。

画面と画面の境界に配置した場合

マウスによる対話的なコミュニケーション

 Desktop Mateは(少なくとも現時点では)キャラクターと会話をするという機能は搭載していないが、キャラクターをクリックしたりマウスポインタを近づけたりすることで専用のモーションが発動する。

 また、キャラクターが同じ画面内であれば、マウスポインタの方向を向いてくれるため、高解像度環境でもマウスポインタが迷子になりづらい。さながら現代版xeyesといった感じだ。

マウスを動かしたりクリックしたりすると特別なモーションが発生する

便利なアラーム機能

 ここまでDesktop Mateは言ってしまえば9割「かわいい」だけのアプリなのだが、アラーム機能を搭載している。Desktop Mate上でアラームを設定し、時間になるとキャラクターが画面をジャックしてユーザーへアラームを教えてくれるというシンプルなものだ。

 アラーム設定をオンにした場合、毎日アラームがセットされるため曜日によってオン/オフといった複雑な制御はできない。また、PCの電源がオフの場合、(当然ではあるが)アラームは機能しない。

アラームセット画面
時間になるとアラーム音に加えてメイン画面のタスクバー付近からキャラクターが通知してくれる

シンプルな機能に絞りとりあえず起動しても良いかと思える

 Desktop Mateは3Dキャラクターをユーザーのデスクトップに表示するというシンプルな機能がウリだ。別にログインボーナスやミッションがあるわけでもないため、気楽に起動していられる。キャラクターがかわいければそれでいいよね!という読者や、最強のビデオカードを使っているけどXしかやっていない……といった読者はこれを機に導入してみてはどうだろうか?

 もちろん、“次世代のデスクトップマスコットプラットフォーム”と謳っているため単なるキャラクターのDLC追加のみで終わることはないと思うが、今後のアップデートに期待したい。

ほかのデスクトップマスコットソフトウェアの状況

 ここまでDesktop Mateについて紹介してきたが、せっかくなのでほかのデスクトップマスコットについても簡単に紹介していこう。それぞれ方向性の違いもあり、どれも面白い。

 一部導入のハードルの高い物があることも確かだが、もし気になったら試してみてほしい。

たくさん起動すると賑やかになる

SSP

 Desktop Mateでよく比較される「伺か」の現在主力となるベースウェアとなる。

 このベースウェアにゴースト(キャラクター)とシェル(イラストやアニメーション等)を組み合わせて使用する。主にデスクトップ上で漫才が繰り広げられるわけだが、今流行のAIではなく予め準備されたスクリプトによるものだ。よってゴースト作者のセンスが問われるわけだが、なかなか面白い物が多い。

 SSPは2025年にも更新があり現在も続いていることが分かる。

 なお、「伺か」についてはペルソナウェア時代からの複雑な歴史があり本記事では書ききれないため気になる読者は以下も参照されたい。

SSP本体に同梱されているゴースト Emily/Phase4.5
プリセットでPC WatchのRSSが登録されている

独立伺か研究施設 ばぐとら研究所

ぽな (C.Ponapalt)氏
https://ssp.shillest.net/

Vcot

 自作のVRMデータを読み込みたい、AIを使ってキャラクターと会話したい場合はVcotと呼ばれるソフトがある。フォルダー内のVRMAvatarへVRMデータをコピーすれば好きなアバターへ変更が可能だ。筆者は試していないが、ChatGPTのAPIキーを入力すればキャラクターと会話ができ、VOICEBOXと併用すれば声を出すこともできるそうだ。

 ただ、筆者の環境であるRyzen 7 7700+NVIDIA RTX A2000 6GBで、GPU使用率が50%近く持って行かれるため、実行にはそれなりのスペックが必要と考えた方が良いだろう。

ChatGPTのAPIキーを入れればマスコットと会話することが可能だ

Vcot

ナマリカルテ
なまり氏
http://namarikarte.com/vcot/manual/

Doudou(逗逗)

 AIで会話できるデスクトップマスコットとしては中国が先行している。

 北京心影随形科技有限公司が開発したDoudouはAIによる会話やソーシャルゲームライクなクエストや課金モデルが整備されている。キャラクターはLive2Dで表現されている。

 Doudouは日本語も対応しているが、UIとキャラクターそれぞれ設定が可能だ。

 会話する度にバッテリの容量(日本語UIではパワー)が減っていくが、こちらはゲーム内で貰えるコインを使うことでチャージが可能だ。

日常会話はもちろん、ゲームでのアシスタントとしての用途も想定されている
初回は中国語で起動するのだが、実は設定を変えることで日本語もサポートしている
会話はデスクトップ上のキャラクターを右クリックして上に表示されるテキストボックスから行なえる。また、音声入力も可能だ(初期設定ではAlt+Xで録音開始)

 キャラクターの言語設定を日本語にすると、キャラクター自身も(多少抜けはあるものの)日本語で実際に喋ってくれる。ただ、まだ個性の部分は最適化中といったところだ。

 たとえば毒舌が売りの「ニカ」は、日本語だとAIにそのまま答えさせたような回答が来るが、中国語にすると個性のあるしゃべり方に変わる。キャラクターの個性を重視したい場合は中国語言語設定の方が良いだろう。中国語言語設定と言っても喋りが中国語になるだけで、そのまま日本語を理解してくれるし一部中国語も混じるが日本語でテキストを返してくれる。

ニカへ「Steamの積みゲーをなんとかしたい」と聞いた場合

 また、キャラクター言語設定が中国語時のみサポートしているキャラクターもいる。たとえば中国のIPコラボは日本語設定時に一覧から表示されなくなる。

 IPコラボの中にはASUSの中国向けTUFこと天选シリーズのキャラクター「天选姬」も準備されている。

キャラクター言語設定を中国語にした場合

逗逗AI游戏伙伴

北京心影随形科技有限公司
https://www.doudou.fun/

Steamではまだ公開されていない
https://store.steampowered.com/app/2715220/Doudou/

VPet

 深センのLB GameがSteamで配信しているVPetはデスクトップマスコットに育成要素を加えたものとなる。

 ゆるいタッチで描かれたキャラクターの「Lolis」がデスクトップをちょこまか動き回ったりダラダラしたりする。たまに邪魔と思うこともあるかもしれないが、そういうソフトだと理解しておこう。

 仕事をさせたりゲームをさせたり、お腹が減ったらごはんをあげたりと育成要素が充実している。音楽を再生すれば「Lolis」が踊り出すなど芸も細かい。

 また、ChatGPTのAPIキーを入力することで会話も可能になる。

 日本語のUIには非対応だが、そこまで難解なものはないため問題はないだろう。

本アプリのキャラクター「Lolis」
突然遊び出す「Lolis」
勉強をサボる「Lolis」
ショップではスタミナ回復で使用する食事などのほかにCPUを買うことができる