やじうまミニレビュー
スマホ初となるXperia PROのHDMI入力を試してみた
2021年2月4日 06:50
スマートフォンとしてはじめてHDMI入力を装備し、映像のプロによる利用を前面に打ち出した「Xperia Pro」が発表された。2月10日の発売に先立って試用する機会を得た。本稿では、そのHDMI入力のみの検証レポートをお届けする。スマートフォンとしての詳細なレビューは別途後日掲載の予定だ。
Xperia PROは、Micro HDMI端子を装備し、スチル/ムービーカメラの外部ディスプレイとしての利用や、Xperia PRO自体の高性能なカメラ機能を活用し、撮影している動画をそのまま5Gで配信するなどの用途が想定されている。発表のタイミングで開催された体験会では、同時発表された8K動画対応カメラ「α1」と組み合わせたデモも行なわれた。
と言うことで今回は敢えて、カメラ以外のデバイスで、そのHDMI入力を試した。実売で25万円近くする本製品をただのパソコン用サブディスプレイとしてのみ使う人はいないが、Xperia PROは一応パソコンとの接続にも対応している。
まず試したのは、パソコンとの接続。GeForce RTX 2080 Tiを搭載したデスクトップとXperia PROをHDMIケーブルで接続すると、パソコンからは4Kディスプレイとして「Sony Xperia」を認識する。しかし、Xperia PRO側では、「映像機器が接続されていません」と表示されてしまった。
そこでWindowsから解像度を1,920×1,080ドットに変更すると、無事映像が映し出された。さすがに6.5型のディスプレイにフルHDをドットバイドットで表示すると文字が小さすぎるが、これもWindowsの設定でスケーリングを150%や200%にすれば読める。また、画面を縦回転することもできるので、Twitterのタイムラインを表示したりするのに向いている。
パソコンにHDMI出力が余っているなら、手元でサブディスプレイとして使うのもありだ。HDMIの取り込みに使う「外部モニター」アプリを閉じれば、ケーブルはそのままでスマートフォンとしても使える。
パソコンとの接続ができることがわかったところで、3,840×1,644ドットというこのディスプレイをフル活用できないかと、GeForceの設定で、カスタム解像度として3,840×1,644ドットにしてみたものの、やはり映らなかった。GeForceとの相性の可能性もあるので、ノートパソコンにつなぎ、Intel内蔵GPUでも試してみたところ、4Kはもとより、フルHDでも、10秒ほど使っていると「アプリを使用できません」というエラーが表示され、取り込みが停止してしまった。
次にPlayStation 4に接続したところ、こちらはまったく映像を映し出せなかった。筆者は、PlayStation 4 ProをPS VR→AVアンプ経由で出力しているのだが、Xperia PROには、解像度は4KとフルHDそれぞれにおいて、AVアンプ経由、PS VR経由、PlayStation 4直接の3パターン(いずれもHDCPはオフ)でつなぎ、いずれもダメだった。
一方、720p出力のPlayStation Classicとの接続はなんの問題もなく表示できた。また、表示遅延はとくになく、スムーズに操作できた。
先日の体験会では、ソニーのα1のほか、パナソニックのLUMIX GX7 Mark3でも接続できていたので、カメラ機器との接続は大丈夫なようだが、そのほかの機器についてはちょっと不安定というのが正直なところだ。
と言っても、この結果を持ってして、Xperia PROのHDMI入力が使えないという結論にはするつもりはない。ゲーム機は想定されない使い方だし、アプリのバージョンアップで改善される可能性も高い。また、パソコンやゲーム機とうまくつながっても、HDR規格、BT.2020色域、10bit入力に対応というXperia PROの仕様は生かしきれない。なにより、HDMI入力を装備させることで、スマートフォンの新たな用途を提案してきたソニーモバイルコミュニケーションズの心意気を買いたい。